ロバが“名演技” チベットを舞台に聖地ラサへの巡礼を描く

2月8日(土)7時0分 文春オンライン

 ある日突然、亡き前夫との約束を果たすためラサへの巡礼に出た妻。再婚した夫は、困惑しながらも血の繋がらない息子と共に妻を追いかける。


 チベットを舞台に聖地ラサへの巡礼を描いた映画『巡礼の約束』が2月8日(土)より公開される。本作の企画は、夫役を演じた歌手ヨンジョンジャの発案でスタートし、小説家タシダワが脚本を執筆。美術家の顔も持つソンタルジャ監督が、端正な映像で家族の物語を紡ぎ出した。



ソンタルジャ監督


「最初の脚本では、漢民族の女性とチベット族の男性が恋をする物語が中心で、その中に、老人がロバを連れてラサに巡礼に行く話が盛り込まれていました。私はむしろこのロバを巡礼に連れていくアイディアがおもしろいと思い、大幅に話を書き変えました」



 血の繋がらない親子とロバとの巡礼の旅。彼らが暮らすギャロン地区の描写も見事だ。


「ギャロンはチベットでも独特の文化を持っています。1つは方言。遊牧ではなく農耕文化で、石造りの家での定住生活が大きな特徴で、美しい民族衣装や髪飾りも有名です。映画を撮るにあたり、ギャロン文化を正確に描こうと苦心しました。漢民族の監督がチベットを題材に撮った映画では、地域による差異を無視したものが多い。私はチベットの監督として些細な違いも尊重して作りたかったのです。とはいえ映画監督として最も大事にしているのは人間の心を描くこと。父と子、夫と妻の関係を通して、愛とは何か、家族とは何かを描きたかった」



 壮大な風景の中、俳優陣の静かな演技にも目を奪われる。


「ヨンジョンジャさんはチベットではとても有名な歌手。演技はこれが初めてですが全く不安はありませんでした。子役の彼は、あの素晴らしい目つきが決め手となり抜擢しました。もう1人の名優は仔ロバ。現場では大人の俳優たちに『あなたたちの名演もこのロバにはかなわないよ』と言っていたくらいです(笑)」



ソンタルジャ/1973年生まれ。美術教師として働いた後、美術監督や撮影監督を務め、2011年に監督デビュー。長編第2作『草原の河』はチベット人監督として日本で初めて商業公開された。




INFORMATION


映画『巡礼の約束』

http://moviola.jp/junrei_yakusoku/




(月永 理絵/週刊文春 2020年2月6日号)

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