満を持して高橋一生回!夫婦とは、結婚とは、離婚とは…「男って他人の言うことは信じるのに、妻の言うことは信じない」/『カルテット』第四話レビュー

2月9日(木)1時0分 messy

別荘のインテリアがただただ羨ましい(画像:『カルテット』公式サイトより)

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 視聴率が1ケタ台でもほとんど悪評の聞こえてこないTBS火曜ドラマ『カルテット』。あらゆる媒体の記事が集まるヤフーニュース内の記事を閲覧していても、『カルテット』及び出演陣に対する評価は軒並み高いんです。脚本も演出も小道具もそして役者陣も全部、これぞドラマ! って感じですもんね。学芸会ではなく、テレビドラマとしての完成度の高さよ。また、これによって再注目されている高橋一生記事の多いこと多いこと。そりゃもう、ファンは何本だって読みますよ〜。

 カルテット(4重奏)を組むことになった30代の男女、真紀(松たか子)、すずめ(満島ひかり)、愉高(高橋一生)、司(松田龍平)。一話ではとにかく謎だらけだった4人ですが、一話の終盤で真紀の夫が失踪していることが明かされ、二話では司の恋愛、三話ではすずめの過去が明かされるなど、ちょっとずつ各々の人となりが見えてきています。そして四話はお待ちかねの! 高橋一生回です。

 35歳にして美容院アシスタントのバイトリーダー、謎の男に追われている愉高。前回ラストで男が見せた写真は女性と愉高のツーショットでしたが、この女性は……誰なんでしょう?

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良いパパになりたいけど、なれそうにない愉高

 第四話は、カルテット4人が暮らす別荘でゴミ出し問題浮上の件からスタート。司が他3人にゴミ出し分担を迫りますが、のらりくらり逃げる3人。軽井沢の冬の朝って絶対寒いですよね……。今回の主役・愉高はというと、司に「すずめちゃんに朝起きろは無理だよ」と意見、さらにゴミ出しする条件としてお小遣いの要求、なぜなら「バイトクビになっちゃって厳しいんだよね」。いつの間にクビになったんでしょうか。そういえばすずめも無職で、収入といえば真紀の義母・境子(もたいまさこ)が支払う真紀のスパイ報酬くらいのはず。カルテット・ドーナツホールとしての演奏収入も多少はあるでしょうが、少額でしょう。どうやってスマホ代払っているんでしょうか。4人の生活費、もしかして全部、司持ち?

 けれどそんなの些末なことで、その朝、別荘に突然の来客——愉高を度々追い詰めている謎の男2人組、半田温志(Mummy-D)と墨田新太朗(藤原季節)が訪れたことで、事態は急変します。前回終盤同様、女性と愉高のツーショット写真を手に「この女どこにいんだよ?」とドスをきかせて迫る半田。愉高は「だから、知りませんて。この根性なしの僕がこんなどうでもいい女をかばうわけが……」と相変わらず知らぬ存ぜぬを通しますが、墨田が愉高のヴィオラを持ち出すとさすがに愉高も「ワァーオ゛!ワァオ゛ッ! ウワァオ゛! ウワァーーオ゛ ウワァ!」。そのまま大事なヴィオラを持ち去られた愉高ですが、「あの人たち悪くないんです。悪いのは(写真の)この女です」と。じゃあ“この女”っていったい誰なのかというと、愉高の「別れた妻」。バツイチだったのです。

 写真の女性は、愉高の元妻・茶馬子(ちゃまこ)。2人の間には小学生の息子もいますが、現在は茶馬子が引き取って育てています。ではどうして、半田たちが茶馬子を追っているのかというと、「茶馬子は僕と離婚してすぐ、彼氏を作ったんです。その男が西園寺誠人っていう金持ちのくせに親の跡も継がずに小説家になりたいってわがまま言っている奴(お前が言うな)で、茶馬子と夜逃げをしたんです。さっきの2人はそいつの父親の部下で、目的は西園寺誠人と茶馬子を別れさせて(誠人を)家に連れ戻すこと」。西園寺誠人からは、愉高と同じにおいがするんですけど……茶馬子さん、芸術家肌のダメ男がお好きなんでしょうか。

 どこまでホントかわからない、飄々とした愉高の語りではありますが、曰く「昔、Vシネの俳優やってた時に宝くじ当たったんですよ、6千万。ところが買ったまま忘れて当たったの知った時には引き換え期限切れちゃってて。やけになって毎晩飲み歩いていたらスナックで女性と出会って、飼ってたハムスター死んで悲しいって言うから一緒に映画観に行ったら映画の中でもハムスター死んじゃって。慰めてるうちに結婚しちゃいました。僕も元気なかったらね。元気があったら人は結婚なんかしないでしょ。その相手がこの茶馬子」。元Vシネ俳優、似合いますね。

 離婚したのは数年前の猛暑の夏、理由は「僕がなかなか定職に就かなかったのもあって(“もあって”じゃなくて、それが離婚の主たる理由だろ〜)。結婚ってこの世の地獄ですよ。妻ってピラニアです。婚姻届は呪いを叶えるデスノートです。毎日喧嘩して、離婚届持ってこられて、それでも……息子と離れたくないから抵抗してたんだけど(だったら定職に就けよ)、ある時駅の階段から落ちて僕入院して……(愉高、真紀をじっと見つめ、逸らしました)。とにかく、人生であんなに憎んだ人はいません」。愉高、自分に非があったって言っているようなものですが、それでも出来れば離婚はしたくなかったようだし、息子と一緒に暮らしたいと思っていたというから身勝手。そう、身勝手です。



 半田には沈黙を貫きましたが、愉高、実は茶馬子&西園寺&子どもの居場所はある程度わかっていました。離婚時、愉高は息子にこっそりヴァイオリンを持たせたのですが、茶馬子は送り返してきて、その際の宅配伝票が愉高の手元にあります。茶馬子は自分の正しい住所を書くほどバカではないが、偽装して遠くのコンビニに出すほどマメでもないそうで、集荷したコンビ二「スターマート 横須賀名取台店」(伝票に店名入りの引受印あり)の近辺に住んでいるのではないかと愉高は推理しているわけです。ちなみに茶馬子の偽造住所は東京都港区(見栄っ張りなのかな)、当時の愉高の住所は東京都調布市。荷物は平成28年2月13日に出され、配達予定日は同年2月14日(バレンタインだし!)。愉高は少なくとも約1年前までは東京に住んでいたんですね。いつから軽井沢の美容院で働きはじめたんでしょうか? ていうか、愉高のヴィオラを持ち出した隅田は、茶馬子が送り返してきた荷物を発見できなかったんですかね〜。せっかく部屋に入ったんだから家宅捜索すりゃ良かったのに。

 自分の結婚にまつわる過去を話し終えた愉高は「明日、茶馬子に会ってきます。会ってちゃんと話つけるように言ってきます」と。愉高は茶馬子ではなくまず息子を探すんだそうです。ダメ夫さんだった愉高ですが、2人組にどれだけ脅されても口を割らなかったのは、息子の身を案じていたから。こうなったら、息子さんに会いたいんでしょう。

 翌日、横須賀までワゴンを走らせる愉高。愉高の恋人のふりをするすずめも一緒です。目星をつけた小学校の校門付近に立って、下校していく子どもたちをウォッチングする彼らは早速先生たちに怪しまれます(シチュエーション的に、不審者もしくはDV夫が子どもを連れ去りにやってきたのかも……と、先生たち警戒しているのではないでしょうか)が、ビンゴ! 愉高と息子くん、無事に再会できました。息子の光太くん(大江優成)、ランドセルカバー見る限り1年生っぽいですが、リコーダーでたどたどしくも『Are you sleeping?』弾いています。すごいわ。けれど「離婚」の意味は正しく理解していないのか愉高に「帰ろう」と言う光太くん。愉高は思わず光太くんを抱き上げ「パパとこ来るか」と、連れ去ってしまいました。ちょうどそのタイミングで元妻さんの茶馬子(高橋メアリージュン)&西園寺(永島敬三)が腕を組んで登場し「何してんねん!」と叫んだものの、2人組・半田と隅田がタイミングよく現れたため誘拐は大成功、光太くんは別荘に。寝る間際の光太くんに「あのさパパ、いつ離婚終わるの? だいたい何月くらい?」と聞かれた愉高は切なくなったのか、唐突に「俺カルテット辞めよっかなあ。定職就いて、また家族やり直してみようかな。俺が働いている姿見たら、茶馬子も考え直して……」と言い出しました。

 これまたちょうど、そこに茶馬子来訪。半田から別荘の場所を聞き、息子を取り戻すべく颯爽とピンポン連打、ここから始まる高橋メアリージュンの関西ヤンキー姉ちゃんふう演技が絶品でした。彼女が元夫・愉高に投げつける台詞も、ああ坂元裕二作品。『最高の離婚』で散々語りつくされたような気もしていましたが、まだまだあるよ“夫婦悲哀あるある”。

「私の中ではあの男(愉高)も死んでますけどね」
「この世で一番鬱陶しいんはな、もういっぺんやり直したい言う男や」
「なんで男って他人の言うことは信じるのに、妻の言うことは信じひんのかなあ」
「こっちは保育園の月謝払えるかどうかに悩んでるのに、やっぱり音楽やりたい?」
「20代の夢は男を輝かせるけど、30代の夢はくすますだけや」

 中でも、もっと幼い頃の光太が熱を出し寝込んでいるのに、愉高が「別に病院行かなくていい」と素知らぬ顔をしていて結局肺炎を起こしかけていたというエピソード。不満と不信感が茶馬子の中に積もり積もって、爆発した結果、離婚しかなかったのでしょう。

 それでも光太を愛しく思う愉高は「光太はまた3人一緒に暮らしたいって言ってる」と復縁を求めます。

茶馬子「子どもとちょっと一緒におるだけで自分はええパパやって思う錯覚やで」
愉高「やり直してみようよ。俺働くし、光太のためにもう一度頑張ろ」
茶馬子「あほ、子を鎹にした時が夫婦の終わる時や。もう遅いねん、あんたはな、絶対言うたらあかんこと言うてん」

 愉高が犯した禁忌。

茶馬子「『あーあ、あの時宝くじ引き換えておけば今頃……』って。今頃何? そこにあたしはおらんかったやろ? 光太は、おらんかったやろ?」

 もし宝くじを引き換えていたら、愉高は場末のスナックで飲まなかったし茶馬子に出会うこともなく光太は誕生していません。

茶馬子「妻ってな夫にな『もし結婚してなかったら』って思い浮かべられることほど悲しいことないよ。残念やったね、6千万」

 一度放ってしまった言葉は、決して取り消せません。愉高がその「あ〜あ……」を口にした瞬間から、夫婦および家族でいる道は閉ざされたのです。その道を閉ざしたのは、ほかでもない愉高本人なのです。これ以上はどうすることもできず、復縁は諦めるよりほかありませんでした。もとより養育費も支払っていないでしょうし、復縁したからといって現状無職の愉高は茶馬子の足手まといだったでしょうね。

 どう転んでも復縁はあり得ないからなのか、茶馬子はもう、愉高に何も期待していません。翌朝、別荘に半田が現れて返却したヴィオラを愉高がぶん投げようとしたとき、茶馬子はそれを静止し、「あんたは、そのまんまでええと思うよ」と笑いました。期待していないから、求めないから、優しくもなれるのかもしれません。もし夫婦だったら、父親としての責任を果たして欲しいと思ったら、彼に「そのままでいい」とは言えないでしょう。

真紀だけがまだ、わからない

 今生の別れというわけではないし、面会はきっと出来るけれど、一緒には暮らせない父と息子。客入り前のライブレストラン「ノクターン」で真紀、みすず、司、有朱(吉岡里帆)が見守る中、愉高と光太はふたりで『Are you sleeping?』を演奏しました。カルテットの演奏を聴き終え、軽井沢を去っていく茶馬子と光太に手を振り、愉高は泣きました。自業自得とはいえ、もう息子と暮らせる可能性は絶たれたのですから……じゃあ親権を巡り茶馬子と争って、愉高が息子を育てるという道はあったのかというと、きっと、あり得なかった。そこまでの覚悟を愉高が持てたかどうか——生活費を稼ぐため働きながら養育も怠らないひとり親に、なるという覚悟です。

 こうして愉高の家庭問題がひと段落しましたが、放送時間はまだ10分以上残っています。東京のマンションでベランダにゴミを出したままにして異臭騒ぎになったというクレーム電話を受けた真紀が、司を伴って上京。別荘には風邪を引いた愉高とすずめが残り、男女2:2に分かれましたね。

 チーム軽井沢では、愉高がすずめに衝撃的な告白。つい忘れそうになりますが、カルテットの4人が東京のカラオケボックスで“偶然”出会った、というのは表向きの話。三話までの放送で、すずめと司は意図的に“真紀に会いに行った”ことが明かされましたが、愉高もやはり“偶然”じゃなくて“真紀に会いに行った”のです。なぜか? それは、真紀を強請って金をせびるためでした。

 過去に駅の階段から落ちて負傷、顔まで包帯ぐるぐる巻き状態となり、ひと月入院したことのある愉高(離婚決意のきっかけだったやつです)でしたが、実はその大部屋で隣のベッドに入院していたのは“真紀さんの夫さん”。ベランダから落ちて腰を痛めたというそのひとは、愉高にこう漏らしていました。

「俺、本当は植木どかそうとして落ちたんじゃなくて妻に落とされたんだよね」

 その頃、チーム東京。ゴミ袋を放置して異臭騒ぎになってしまった真紀のマンションのベランダ……「夫がベランダから落っこちちゃったことがあって」と真紀はサラリと言いました。司は、リビングに脱ぎ捨てられた夫の靴下(をそのまま放置している真紀)に。耐えられなくなり、真紀を口撃します。

「僕、捨てちゃいましょうか。いつまで夫の帰りを待っているつもりなんですか。バカだなあって思いませんか? 靴下に恋しているなんて。靴下と三角関係なんて」
「今頃夫さん別の女の人といるかもしれません」
「愛しているけど好きじゃない妻じゃなくて、愛していて好きな恋人と一緒にいるかもしれませんね」
「あなたといると2つの気持ちが混ざります。楽しいは切ない、嬉しいは淋しい、優しいは冷たい、愛しいは虚しい。愛しくて愛しくて虚しくなります。語りかけても触ってもそこには何もない。じゃ、僕は一体、何からあなたを奪えばいいんですか?」

 真紀の手を取り、離そうとしない司。この指先の演技!!! え、えっろ……。俄かに視聴者が興奮してしまったそのとき、誰かが玄関を開ける音が……。まさに恋はスリル・ショック・サスペンス! 次回に続きます!

 第四話までで4人の過去や裏事情は一通り出揃い、ここで一幕が終章。次回からは第二幕が開きます。次回は五話、そろそろ折り返し地点に入りつつあるわけですが、どんな結末を用意しているのか想像できません。真紀の夫は? 彼らの一方通行な恋は? それに、真紀って結局どんな人間なんでしょう? 一話〜三話でも、基本的には寡黙で、けれど要所要所で激しい感情を露わにして……夫の靴下を意図的に脱ぎっぱなしにしていて……なにより、ほとんど軽井沢で過ごしているにもかかわらず、冬なのに異臭を放つゴミ袋を大量にマンションベランダに放置していたことも解せません。すべては真紀を怪しい女に見せるミスリーディングでしょうか。

 『カルテット』は最初に出された謎が多過ぎて、場面ごとに何かしら明かされていくせいか、ストーリー展開自体はそこまで早くないのに全く退屈しません。エンディングソングの迫力もあって、視聴後は放心状態になりますが、最終回まで目が離せません。

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