中身に対する期待感が膨らむ、南部的でゴージャスなジャケット~オールマン・ブラザーズ・バンド『アメリカン・ユニバーシティ1970』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

2月10日(水)13時0分 耳マン

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第131回:中身に対する期待感が膨らむ、南部的でゴージャスなジャケット


立て続けに今週も昨年の100回記念セコセコショッピング企画(https://33man.jp/article/column38/009021.html)にて購入したなかから、あの17枚のなかでは高額なほうだったオールマン・ブラザーズ・バンドのライブ盤を。

オールマン・ブラザーズ・バンド『アメリカン・ユニバーシティ1970』(2003年)

オールマン・ブラザーズ・バンドはいわゆるサザンロックと呼ばれるジャンルの代表的バンドで、サザンロックとはアメリカ南部の土臭い空気感を前面に押し出したロックのことである。ブルージーで荒々しく、酒臭そうな声のボーカルがまさにサザンロックのイメージを体現している。ちなみに僕と同年代の人にオールマン・ブラザーズ・バンドの話をすると100%「え? 大事MANブラザーズバンド?」と返される。「大事」じゃなくて「オール」だから。それが大事。

そんな彼らのなかでも特筆すべきは、何といってもギタリスト、デュアン・オールマンの存在。エリック・クラプトン(デレク・アンド・ザ・ドミノス)の名曲『いとしのレイラ』のソロを弾いていた人といえばピンとくる人も多いと思うが、わずか24歳で亡くなってしまったとはいえ、彼のギタープレイはロック界に大きなインパクトを残し、白人のブルースギタリストとしても最強の部類に数えられるほどの評価を得ている。またスライドギターの名手でもあり、空を駆けるような彼のスライドの音とその容姿から『スカイドッグ』という秘密組織みてえなあだ名で呼ばれてもいた。

そんな彼のギタープレイはライブでこそ真価を発揮するものであり、今回取り上げるのはまだバンドが無名だった時代に大学の施設内で行われた貴重なライブ音源を収録したもの。バンドのブレイクのきっかけとなった強力なライブアルバム『フィルモア・イースト・ライブ』の直前くらいの時期に当たる。もともと録音状態が非常に悪く、音質もドイヒーだったものをすごい人が何とか商品として成立するレベルにまでがんばって修復し、こうして過去の貴重なライブ音源として発売してくれたというわけである。

とはいえこれでも音質的に良いとは正直いえない状態ではあり、デュアンと張り合えるほどの腕前を持つもうひとりのギタリスト、ディッキー・ベッツの音が小さいなどの不満はあるといえばある。ただまあ技術的にたぶんこれが限界なのだろうし、肝心のデュアンのギターはクリアに聴こえるうえ、プレイに関しても絶好調で、アドリブ重視型のスタイルと独特の乾いた音はまさにデュアン・オールマン以外の何者でもない。『フィルモア・イースト・ライブ』が気に入った人なら間違いなくこちらもお勧めである。

ジャケットに関しても彼らのアルバムは素敵なものが多いが、このシリーズはまるで宣伝ポスターのようなデザインで統一されていて、いかにもアメリカ南部的な雰囲気もありつつゴージャスさも感じさせるあたりがライブの中身に対して期待感が膨らむところだ。

あまりに若くして亡くなってしまったために現代の人からの知名度は低いと言わざるを得ないが、デュアン・オールマンは俗にいう3大ギタリストにも劣らぬ魅力を持った間違いなく5つ星クラスのギタリストである。そのすごみを現代の人にももっと知ってほしいと思う。

聴くこと。それが大事。

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。

耳マン

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