六本木歌舞伎の舞台に立った寺島しのぶ 海老蔵がオファー

2月10日(金)7時0分 NEWSポストセブン

初の歌舞伎の舞台でも賞賛を浴びる寺島しのぶ

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「イヤな渡世だなァ…」。市川海老蔵(39才)が演じる座頭市の決め台詞である。2月4日、海老蔵が主演する六本木歌舞伎「座頭市」が東京・EXシアター六本木で始まった(20日まで)。


 六本木歌舞伎は、海老蔵が歌舞伎の新境地を開くべく始めた舞台。第二弾となる今回は、脚本・リリー・フランキー、演出・三池崇史という異色のコラボで、海老蔵が得意の「目力」を封印し、盲目の座頭市を演じる。今回の公演に先駆けて、海老蔵は「歌舞伎と女性」についてこう語っていた。


《歌舞伎が今の形になってから二、三百年という月日が経ってそろそろ考え直す時期がきていると思うし、垣根というものがありますが、本来はそれがないはずだと僕は思っています。(中略)性別を理由に女性が歌舞伎をできないことが、僕にはわからなかったんです》(「座頭市」パンフレットより、以下《》内同)


 今回、1人の女性が女人禁制とされる歌舞伎の舞台に立った。名門・音羽屋の長女・寺島しのぶ(44才)だ。


 寺島の父は人間国宝である尾上菊五郎(74才)、母は女優の富司純子(71才)。歌舞伎の名家に生まれた彼女が最初に試練を味わったのは5才の時。音羽屋の跡継ぎとなる弟・尾上菊之助(39才)の誕生がきっかけだった。寺島はこう述べている。


《歌舞伎の家に女として生まれるということは、私にとってすごく過酷だったんですよ。弟が生まれるまでは「蝶よ花よ」となんでもやらせてもらいましたが、五年後に弟ができると、がらりと世界が変わる。それはまるで天変地異のようでした》


 恋路でも深い痛手を負った。幼なじみの市川染五郎(44才)と結婚を視野に入れて交際し、“歌舞伎役者にはなれなくても、梨園の妻に…”と願ったものの、2003年に染五郎が資産家令嬢と結婚。またも歌舞伎にかかわる道は閉ざされた。



 その後、女優として大活躍することなった寺島は、2007年にフランス人のアートディレクター、ローラン・グナシアさん(49才)と結婚し、2012年に長男・眞秀くん(4才)が生まれた。


 結婚会見で「男の子ができたら歌舞伎役者にしたい」と宣言していた通り、実際に眞秀くんには早くから歌舞伎の英才教育をはじめつつ、父の菊五郎にもその意思を伝えていた。


 寺島はようやく“母として”歌舞伎界とかかわっていく道を見つけたようだった。「もし息子が本気で歌舞伎役者を目指すと言うなら、私は母として覚悟を決め、女優の仕事はセーブする」とまで周囲に語るようになった。


「2015年5月に眞秀くんは菊五郎さんに連れられて歌舞伎座デビューを果たしました。昨年、取材会で菊五郎さんが、『音羽屋の大名跡である“梅幸”を眞秀くんに継がせる』と発言した際は大きな話題になりました。“本流”である菊之助さんの長男・和史くんではなく、“ハーフの歌舞伎役者”である眞秀くんが大名跡を継げば、それは大事ですからね」(歌舞伎関係者)


 今年5月の「團菊祭」(歌舞伎座)で眞秀くんは正式な初お目見えをする予定だ。その晴れ姿を寺島は誰よりも心待ちにしている。


 今回の六本木歌舞伎は歌舞伎座や国立劇場で行う正調の歌舞伎とは異なる。だから寺島が舞台に立てたのだが、その演技には歌舞伎のプロたちも舌を巻いた。


「しのぶさんは花魁と盲目の少女の二役を演じます。実は昨年11月末の制作発表の時点ではリリーさんが脚本を書き上げておらず、上演直前まで振り付けが変わるなど、かなりバタバタの進行でした。それでも、彼女の身のこなしや立ち居振る舞いは見事の一言。女性そのままではなく、歌舞伎の女形を演じきっています。初めての歌舞伎の舞台とは到底考えられないレベルです。花魁の出来には、歌舞伎専門の演出スタッフも思わず息をのんだほど。しのぶさんの歌舞伎への執念を見た思いでした」(舞台関係者)



 座頭市(海老蔵)に一目惚れした花魁(寺島)は、女郎宿に市を呼び出し、妖艶な仕草で迫る。手を握り、帯をほどき、腰に跨またがって…。アドリブを交えた海老蔵と寺島の息の合った絡みは、聴衆を甘美な世界へと誘う。今回、寺島の挑戦は、海老蔵からのオファーだったという。


「今回の出演は眞秀くんの将来にとって“成人してから歌舞伎の舞台を踏んだことのある母親”として大きなプラスになると考えたようです。それに40年、歌舞伎への憧れを抱えて生きてきたわけですから、何より自分がその舞台に立てるという喜びも大きかったでしょう。寺島さん、本当にイキイキとしてました。


 六本木歌舞伎は生前の中村勘三郎さんから『どうせなら地球を投げ飛ばすくらいの荒事をやってみろ』とハッパをかけられた海老蔵さんが、“新しい時代に合った新しい歌舞伎を創る”ことを目指して始めたものです。歌舞伎の名門中の名門、成田屋の大黒柱である海老蔵さんは、歌舞伎界での発言力はずば抜けて強いし、まだ若いので行動力もある。


 女性の役者にとって大きな一歩になるかもしれません。海老蔵さんを自分の味方に陥落させてしまうのは、さすが寺島さんです」(前出・歌舞伎関係者)


 1滴1滴、ポタリポタリと落ちる水滴が長い年月をかけて、強固な岩盤を穿うがつことがある。今回の寺島の挑戦は、硬い岩盤を穿つ最初の1滴となり得るのかもしれない。海老蔵はこう言う。


《しのぶさんは日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を取ったり、(中略)僕たちには経験できない世界を体験している。だからこそ、あとは歌舞伎しかないというのが、僕の個人的な意見です。》


 花魁となった寺島は六本木歌舞伎の舞台でこんなせりふで“見得”を切っている。「この世でいちばん怖いのは、鵺(ぬえ)でもなく、築地のなまずでもなく、女でありんす」──。


※女性セブン2017年2月23日号

NEWSポストセブン

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