激論「皇族になる男系男子はいる!」「ならば、連れてこい!」

2月10日(金)16時0分 NEWSポストセブン

小林よしのり氏(左)と八木秀次氏が徹底討論

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 天皇陛下の生前退位について賛成、反対両陣営を代表する論客である、漫画家・小林よしのり氏と麗澤大学教授・八木秀次氏が激突したこの対談。後編の今号では、議論はさらに熱を帯び、皇位の安定的な継承を続けるために、今すぐ議論すべき「旧宮家系男子の存在」「女性・女系天皇」の問題で激しくやり合った。


 * * *

小林:有識者会議の意見を取り入れて特例法で落ち着いたとしても、引き続き皇位継承問題は残る。女性・女系天皇を公認しないかぎり皇統は続かない。もし絶対に男系男子のまま行くというなら、旧宮家系の男性で「皇族になってもよい」という人を早く連れて来てくださいよ。いない人の話をしても仕方がない。該当者がいなければ、法律も作れませんよ。


八木:もちろんそうですが、いますから大丈夫です。家族構成や年齢など、すでに把握されています。


小林:でも週刊新潮(*)が調べたら、皇族になるという人間は誰もいなかった。


【*『週刊新潮』2011年12月15日号掲載「お家断絶もある『皇籍離脱』男系男子リスト」。同記事は1947年に皇籍離脱した11宮家の末裔のうち、独身の男系男子は多くなく、東伏見、山階、閑院などの旧宮家が断絶していることを報じた。さらに、若い男系男子がいる家に、女性皇族への婿入りを聞いたところ、その意志を表明した者はいなかった】


八木:週刊誌の取材で「皇籍復帰なさりたいですか?」と聞かれて「したいです」とは答えられない。


小林:答えられないのか、なりたくないのか、いまの時点では推測することしかできないよ。法律を作るには、やはり連れて来て国民に見せてくれないと。


八木:見せたら、どうせまたすぐにバッシングするでしょ(笑)。「アダルトビデオをこんなに借りてたぞ」とかいって。


小林:そんなの当たり前だよ。週刊誌が一斉に調べて書くでしょう。国民の信頼を得るには、それもクリアしなきゃダメ。だから堂々と連れて来て、記者会見すればいいのよ。


八木:そんな必要はありません。政府として把握できていればいい問題です。


小林:いや、国民に知らせないのはおかしいよ。政府が把握できてるかどうかわからない状態では、法律に賛成も反対もできない。


八木:政府はまだ把握できていないかもしれませんが、旧宮家の当主クラスが、皇籍復帰の意向を持つ方を把握していると聞いています。


小林:仮にいたとして、具体的にどうやって皇籍に入るの? ある日突然、「この人が新しい皇族です」と発表されるわけ?


八木:政府の人間ではないので手続きを聞かれても困りますが、事前の記者会見は不要です。皇族の結婚と同じで、正式決定したら公表し記者会見をすればいい。


小林:国民が知らないうちに政府が内々に「この人を皇族にする」と決めて法律まで変えるなんて、現実的に可能だとは思えないな。その前に察知したジャーナリズムが報道して、国民は「え、何それ? どこの馬の骨だ?」となるよ。


八木:馬の骨ではないですけどね(笑)。


小林:わしも含めて、国民の大多数が「馬の骨」だと思うはずですよ。これまでの皇族と違って、聖域で育ってないんだから。竹田恒泰を見ればわかるでしょ。


八木:でも竹田さんのような方(旧宮家系の男子)が存在するのはたしかではないですか。竹田家のほかにも、賀陽家や朝香家など5つの系統が残っています。東久邇家も人数がけっこう多いですよね。


小林:ちゃんと調べれば実際には廃絶した家もあるはずだけど、それをどういう形で皇族に入れるわけ?


八木:たとえば、こういう方法もありますよ。高円宮家の次女(典子女王)が出雲大社権宮司の千家国麿さんと結婚されたことで、秋篠宮家の眞子さま佳子さまの嫁ぎ先は千家家よりも家格が上、つまり旧宮家がふさわしいと考える向きがある。将来の皇族の数を減らさないためにも、秋篠宮妃殿下もそれを想定して「女性宮家を作れないものか」と新聞記者に相談をされたようです。


 その記者から相談を受けたので私は「逆ではだめですか?」と答えました。つまりご結婚を機に旧宮家の男性を当主とする宮家を創設し、眞子さまや佳子さまが妃殿下となる。これは過去にも例があります。竹田宮家の創設がそうでした。


小林:秋篠宮殿下は自由を重んじる方だから、家柄なんか気にしないでしょう。眞子さまは電車でデートもしてたし。とにかく、眞子さまや佳子さまが結婚適齢期を迎えているのだから、急いでほしいんですよ。


八木:旧宮家の男系男子が具体的に出てきたら、賛成してくださいますか?


小林:わしは賛成も反対もないのよ。あなたたちは男系絶対主義だけど、わしは「双系絶対」と主張しているわけではない。この問題に関しては天皇陛下の見識に誰もかなわないから、その思し召しに従うまでのこと。陛下が「男系で行く」とおっしゃるなら、それでかまわない。陛下は百手先まで計算し尽くして、男系男子では皇位が安定しないとお考えだと思うけど。


八木:女系にした瞬間に皇室の中身は変わってしまいます。皇室の正統性を重視する立場からは、女系継承につながる措置は認められません。ヨーロッパのような単なる立憲君主制を維持するだけなら女系でつなぐのもひとつのやり方でしょうが、それは日本の伝統的な皇室とは違う。


小林:男系継承は日本の伝統ではなく支那から入ってきたものだから、もうやめていいんだよ。これまでとは異質な皇室でも、国民の敬意が深まればいい。


八木:国民に尊敬されて、天皇としての「機能」を発揮できればよいと認める立場もあるでしょう。しかし私はやはり「血統」が天皇の基礎であり、機能する上での前提だと考えます。


小林:血統こそが天皇だというドグマは危険ですよ。Y染色体に権威を認めると、生身の天皇陛下への承詔必謹がなくなってしまう。「天皇のいうことを聞く必要はない」となれば、もう天皇は国民の結節点ではなくなるでしょう。


八木:でも今の陛下ご自身が純粋な男系継承で天皇になられたのですから、男系継承を否定すると自己否定になってしまいます。私は、陛下が女系継承を認められていないと信じたいですね。


小林:いずれにしろ、「男系でやれる」というなら、早く手を打ってよ。


八木:まあ、政府がちゃんと検討すると思いますよ。


小林:何だよ、その他人任せの態度は(笑)。


八木:いやいや、私には何の権限もありませんから。


小林:だったら、日本会議と一緒に政府に圧力をかければいいじゃないの。


八木:日本会議はあまりアテにならないでしょう。そういう問題で前面に出て動いたことはないですからね。


小林:そうなの? だって、いつも「男系だ男系だ」と言い張ってるでしょ。まあ、誰でもいいけど、早く政府を突き動かしてくれ。もう時間がないんだから。


●こばやし・よしのり/1953年生まれ。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に新風を巻き起こす。現在、本誌にて『大東亜論 自由民権篇』を連載中。3月1日頃に『天皇論 平成29年』が発売予定。


●やぎ・ひでつぐ/1962年生まれ。早稲田大学法学部・同大学大学院法学研究科修士課程を経て、同大学大学院政治学研究科博士課程を中退。専門は憲法学。昨年11月、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で八木氏にヒアリングが行われた。


●構成/岡田仁志(フリーライター)


※SAPIO2017年3月号

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