竹下景子さんが「徹子の部屋」に出演。健康の秘訣や西田敏行さんの思い出を語る。「足の見える化検診」を受けたら「骨粗鬆症予備軍」と言われ「足の8020運動」を
2025年2月11日(火)11時0分 婦人公論.jp
「せっかくだから徹底的に診てもらおうと、足の総合的な診療ができる専門病院を受診することに」(撮影:宮崎貢司)
2025年2月11日、竹下景子さんが、「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に出演。古希を過ぎ、健康の一番の秘訣(ひけつ)は愛犬との毎日の散歩で、加えて足の定期健診にも通っていると語る。今の目標は自分の足で山登りをすることだという。竹下さんが足の健康について語った記事を再配信します。
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今年、古希を迎える竹下景子さん。さまざまな役を演じる姿は、元気そのものです。しかし、左膝に違和感を覚えて病院を訪れたところ、足の老化が始まっているとの診断が。そこで始めたのが、竹下さん流の「足の8020運動」でした。
(構成:平林理恵 撮影:宮崎貢司)
竹下さんが西田さんへの思いを語った記事はこちら
「足の曲がり角は50歳」と言われてびっくり
左膝に違和感を覚えたのは、2022年の夏。旅番組で訪れた対馬で、段差のある場所を歩いていたときのことでした。痛み自体はそれほどでもなかったのです。でも、日本舞踊を長く習ってきて、中腰の姿勢でゆっくり動いたり、止まったまま上半身だけひねったりと、膝には負担をかけてきたなという自覚はありました。
これまでも、正座ができなくなる、膝に水が溜まるなどして、かかりつけ医のところへ駆け込んだことがあったため、70歳を前に積もり積もったものが出てきてしまったのかもと気になりまして。私の仕事は肉体労働ですから、やはりここで心配事は解消しておかなくては、と考えました。
せっかくだから徹底的に診てもらおうと、足の総合的な診療ができる専門病院を受診することに。皮膚や爪の状態、血管、骨格、骨密度、そして歩き方までくまなくチェックする「足の見える化検診」を受けることになりました。
実はまだこの時点では、ちょっと自分を過信していたのです。膝に少々違和感はあるものの、週3日もジムに通っているのだから運動不足ということはないはずだし、この年齢にしては丈夫な部類に入るのではないか、と思っていましたから。
ところが、検査の結果は——。まず膝については、このまま放っておいたら変形性膝関節症になっていたかもしれない、ちゃんとケアしないといけない、と言われてしまいました。弱っている左側をかばった歩き方をしているため、力のかけ方がアンバランスだということも数字で示されてしまい……。
そして何より、骨粗鬆症予備軍であることがわかったのです。想像もしていなかったので、心底ビックリしましたね。年齢とともにどうしても骨密度は下がりやすくなるので、これ以上進行しないようにすることが大切、とのことでした。
70年近くも使い続けていればいろいろ不具合が出てきてしまうものね、と思いを巡らせていたら、先生が「足の曲がり角は50歳ですよ」と。50歳!もうとっくに過ぎています(笑)。わが身に降りかかって初めて、健康について学びました。
まず、人間が死に至るまでには、階段を3段下っていくということ。1段目は「歩けなくなる」という階段、2段目が「トイレに行けなくなる」、最後が「食事が思うように摂れなくなる」。
多くの人が「健康寿命を延ばしたい」と願いますよね。これは、最初の階段を降りるまでの期間を引き延ばすということ。つまり、自分の足で歩ける期間をどれだけ長く延ばせるかにかかっているのだそうです。
「足の8020運動」があることも、このとき初めて知りました。「80歳のとき、自分の歯を20本残そう」という「歯の8020運動」は有名ですが、足の場合は「80歳のとき、20分間自分のペースで補助なしにシャキシャキ歩けることを目指そう」というもの。
生涯歩ける自分でいたいのなら、努力して歩ける足をつくっていかないといけない。60代最後の年になってからではありますが、このことを知ることができて本当によかったと思いました。
運動を楽しく続ける方法を発見
以来私は、日々の生活のなかで、生涯歩ける足づくりに励んでいます。毎日やっているのは、「アキレス腱伸ばし」。まっすぐに立って、片方の脚を一歩後ろに下げ、前方の脚の膝を曲げる動作を左右それぞれ1日5回行います。
アキレス腱が硬いと、土踏まずのアーチが崩れて歩きにくくなり、さまざまな足の痛みに繋がるのだとか。また、血液を下から上に送るふくらはぎのポンプ作用の低下にも関係し、冷えやむくみの原因にも。アキレス腱をゆっくり伸ばすことは、キホンのキともいえますね。
次に、正しい姿勢で歩くために必要な大殿筋を鍛える「片脚立位保持」。片脚で立ち、床についていないほうの脚の膝を90度まで上げる動作を両脚それぞれ20〜30秒、2セット。私はいつもこの運動を、電子レンジを使うときにしているんですよ。30秒の温め時間に合わせて片膝を上げて、チーンって(笑)。いつも〈ながら〉でやっています。
そして、もうひとつが「膝伸ばし運動」。椅子に座って、片方ずつ脚を上げて膝を伸ばす動作を左右10回ずつ、2セット。これを1日2回やるだけで、膝を長持ちさせることに繋がるそうです。運動ってノルマだと思うと負担に感じるものですが、私は家にいるときのちょっとした隙間にうまく組み込むことで無理なく続けられています。
骨粗鬆症対策としては、薬を飲むことに加え、歩くなど生活のなかで骨に負荷をかける機会を増やすように、と主治医に言われました。自分が1日にどれだけ歩いているかなんて意識したことがなかったので、歩数を計ってみたら、「今日はかなり歩いた」と思える日でも、3000歩にいくかいかないかという結果で……。
なんとかしないと、と考えていた矢先に、わが家に保護犬を迎えることになったのです。以前から、私たち夫婦が最期まで面倒を見てあげられる年齢のワンちゃんがどこかにいないかと、犬の保護施設を探していました。
そうしたら、山のなかで育ってきた推定年齢6歳くらいの子がいるというお話が。「なんばん」という名前の、元野犬とは思えない穏やかな性格の男の子で、ご縁あって一緒に暮らすことになったのです。左膝に違和感を覚えてから2ヵ月ほど経った頃のことでした。
それからは、なんちゃん(なんばんの愛称)と一緒に朝夕の2回、40〜50分ずつのお散歩が日課に。歩き方を矯正するためにオーダーしたインソールをスニーカーの中に敷いて、歩数にして1日合計1万歩のウォーキングです。
「きれいな花が咲いてるね」なんて話しかけたり、道路の端に溜まった雨水を飲むなんちゃんを見て、「さすが元野犬ね」と感心したりしながら歩くのは、とても楽しくて。
そんな生活を始めて数ヵ月経った頃、再び足の健康チェックを受けました。骨の新陳代謝の速度を調べる血液検査の結果を見た先生が、「あれ?これ、数値が間違っていないかな」って。それもそのはず、先生も驚くほど状態がよくなっていたのです。
事情をお話ししたら「これは、ワンちゃんのおかげですね」とおっしゃるので、私もすっかり気をよくしまして(笑)。1人だったら難しいことも、お散歩が大好きな愛犬の存在がモチベーションになって、楽しく続けていけそうです。
食事は、栄養バランスに気をつけるくらいで基本的には好きなものを食べています。ただ、カロリーの高いものや量が多いものを食べるとしたらお昼に。夜は夫が毎晩ワインを飲むので、私もそれに付き合って少々飲みながら、軽く何かつまむ程度にしています。
そんな私たちの近くで、なんちゃんはいつも寛いでいるんですよ。犬と暮らし始めたことで運動習慣が身につき、夫婦の会話も増えました。いまや、なんちゃんなしの生活は考えられません。
健康管理も仕事もコツコツと
年齢を重ねてくると、同業の方たちとの間で何かと話題になるのがセリフ覚えです。ずいぶん前に淡路恵子さんとお仕事をご一緒したときに、「若い頃は台本をパラパラと見るだけで、そこに出てくる人のセリフが全部頭に入ったけれど、今はその何倍も時間がかかるのよ」とおっしゃっていたことがありました。そのときの私は、きちんと理解できていなかった。
でも、今ならその気持ち、状況がよくわかります。今の私には、台本をパッと読んで一冊まるごと頭に入れるなんてとてもできませんから。読みながら自分の中で台本が描く世界をじっくり組み立てて、頭に収めていく。こまめにメモをとる。昔とは全然違う覚え方ですが、これが、年齢を重ねた自分とうまく折り合いをつけながら仕事をしていくということなのでしょう。
若い頃よりも丁寧に時間をかけてセリフと向き合った結果が、味わい深い演技に繋がればいいのですが……。残念ながら、まだまだその境地には辿りつけていません。この先も、その時々の自分の状況に合わせて工夫を重ねていくしかありませんね。
ただ、こうやってコツコツとこの道を歩いていけるということは、本当にありがたいことだと思います。たくさんの人と一緒に新しい作品をつくり、皆さんに見ていただく。こんな日々が大きな刺激になっているからこそ、今もこうして元気でいられる。これは確かです。
今、シニア演劇がちょっとしたブームだと言われていますが、みなさんにもぜひおすすめしたいなと思っています。台本を覚えるのに脳を使う、セリフを発するのに口や喉を使う、舞台で動き回るから体を動かすなど、健康でいるために必要な要素が凝縮されていますから。
それに、新しいことに挑戦する意識、なにより人から見られることが張り合いになって、生きる活力に繋がるのではないでしょうか。
同世代の知り合いのなかには、毎日脳トレをしているという方もいます。私にとっての脳トレは、やっぱりお仕事。そして、読書でしょうか。本は昔から暇さえあれば、ジャンルを問わず、興味を引かれたものを読んでいます。心を刺激し、自分の世界を広げてくれる読書はずっと続けていきたいですね。
私は今秋、70歳になります。母は57歳、祖母は62歳で亡くなってしまったので、身近なところに70代、80代を生きていく姿を見せてくれるモデルがいませんでした。でも私には、若尾文子さん、岸惠子さん、それから草笛光子さん——と、存在そのものが刺激になる憧れの方がたくさんいます。
すばらしい先輩の背中を見ながら、健康管理も仕事も自分にできることをコツコツ続け、軽やかに70代に突入していきたいなと思っています。