毎年インフルや大雪が襲うセンター試験 時期見直し求める声

2月12日(日)16時0分 NEWSポストセブン

試験内容の審議は進むも入試時期の見直しはなし

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 センター試験当日の朝、電車が止まって会場に間に合わない受験生を救ったニュースが思わぬ事態に——。


 1月14日朝、JR函館線の旭川発札幌行き特急スーパーカムイ10号が車両の不具合で運休し、JR北海道は後続列車では間に合わないと判断。同社は滝川駅からこの特急で大学入試センター試験に向かう予定だった受験生7人を、タクシーで岩見沢市の試験会場に送った。いずれも試験開始時間に間に合ったとみられるという。列車の料金は払い戻さず、タクシー代はJR北海道が負担した。


 今年も心温まるいい話が聞けてなにより——誰もがそう思っているだろうと思いきや、インターネットの掲示板やツイッターではまさかの炎上が起きていた。その理由は、「北海道の気候を考えた場合、当日受験会場に行くのは甘い」や「受験生だけ特別扱いはおかしい」といったところにある。


 機転を利かせた駅員も、送り届けた運転手も、そしてもちろん間に合った生徒も、炎上する理由はどこにもない。もしも悪いとすれば、それは、人生を左右する一発勝負の試験が、地域間で格差の出やすい1月にあるということ——。


 作家の林真理子さんは『週刊文春』の連載で、今回の一件に関してこんなことを綴っていた。


《日本人のDNAの中には、「寒い冬を艱難辛苦に耐え、そして希望の春を迎える」という暦が刷り込まれているような気がする》《四季のはっきりしているわが国では冬につらい思いをして明るい春がくるという学業のスケジュールはぴったり》


 しかし、北海道大学で地方の活性化や地方経済や交通について研究している小磯修二教授は、「雪国の立場からするとなぜこの時期に…」と肩を落とす。


「私が教えている北海道大学では、留学生などの試験は秋にもあります。それを見ていると、やはり秋だと楽だなという実感がある。一方日本の受験生でいちばん大事なセンター試験や2次試験、私大の受験日程は全部1、2、3月という雪の多い時期ですよね。ここは今後、考えていくべき教育制度の問題だと思います」


 実際、2017年のセンター試験は全国的に天候が悪く、新潟ではあまりの積雪で試験を受けられなかった74人が再試験となった。このような豪雪地帯はもちろん、全国でわが子の受験を見守る母にとって冬の試験は大きな苦難だ。東京で国立大の2次試験を控えた受験生の母が言う。


「センターの時って毎年雪が降るうえに、インフルエンザとノロウイルスの対策でピリピリします。娘のために、家族全員でインフルエンザの予防接種を受けました。だけどノロは対策のすべがないから、誰かが家に持ち込むんじゃないかって常にビクビク。もちろん、自己管理までが受験だといわれればそれまでですが、“どうしてこの時期?”という思いは拭いきれない」



 世界の大学受験事情を見渡しても、例えばアメリカは秋から春にかけて行きたい大学にエントリーし、複数回の試験を受けるシステム。お隣の韓国は11月、フランスは6月と、真冬に震えながらその後の人生を左右するといわれる試験を受けるのはわが国くらいなのだ。しかし、かといって試験日程を前倒しすれば解決するほど簡単な問題ではない。


「そのあたりは、今センター試験の審議をしている『高大接続改革』の委員のかたたちにじっくり考えていただきたいです」(滝川市大手予備校講師)


「高大接続改革」とは、現状ではバラバラになってしまっている高校教育と大学入試、そして大学での教育を1つにつなげるために国が推し進めている改革のこと。その中で大きな注目を集めたのが、2020年のセンター試験の廃止と、翌年からの「大学入学希望者テスト」「基礎学力テスト」の導入だ。


 筑波大学教授で、『高大接続改革』の委員を務める金子元久さんが説明する。


「『高大接続』の目的は高校と大学をつなげるだけでなく、知識以外にも思考力など幅広い学力をつけてもらうというところにあります。センター試験の代わりとなる『大学入学希望者テスト』は今よりも思考力や表現力、判断力を中心に評価するために、記述式の問題の導入などを検討しています。また『基礎学力テスト』は高校在学中に何度でも受けられる比較的難易度の低い問題が中心になるテストで、大学受験時に成績として提出できるほか、高卒で就職するときの資格のように利用できるようにも検討しています」


 センター試験の代わりとなる『大学入学希望者テスト』の実施時期については、審議されているのだろうか? 金子さんが続ける。


「受験時期を早めると高校から猛反対を受け、遅くしてしまえば大学の入学時期も変えることになり、大改革が必要になってしまう。だからなかなか審議されていないのが現状です。私の意見としては、小学校や短大などでもセンター試験を受けられるようにするなどして、会場を増やすことが必要だと思っていますが、それも試験監督をどう増やすか、その分のコストはどうするかということを考えると、それも難しい問題です」(金子さん)


 最低気温マイナス20℃を下回る極寒の地からの叫びは、現在のところ、ちっとも届いていないようだ。準備まで3年もの間があればなんとかなりそうなものを。そうして“ゆとり”を作ったんじゃなかったのか…。


※女性セブン2017年2月23日号

NEWSポストセブン

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