皇室典範改正 野田佳彦氏が関わる背景と韓国ファクター

2月12日(日)16時0分 NEWSポストセブン

民主党政権下では辣腕をふるった(河相周夫侍従長) 共同通信社

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 国会に舞台を移した天皇の譲位論争の裏に、何やら不穏に蠢く影がある。安倍政権の最深部にアクセスできる元TBSワシントン支局長・山口敬之氏による深層ドキュメントをお届けする。


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 昨年7月NHKのスクープで幕を開けた天皇譲位問題は、1月11日に開かれた有識者会議が特例法での一代限りの今上陛下の退位を実現するという方向性を明確にした。これを受け政府は5月上旬にも通常国会に法案を提出する方向だ。


 昨年12月に83歳になられた今上陛下が示された退位のご意向をできるだけ早く実現するには、特例法で一代限りの退位を目指すしかないというのが官邸の考え方だ。これに真っ向から反対の姿勢を示しているのが野党、とりわけ民進党だ。


 1月20日には蓮舫代表が有識者会議の議論について結論ありきの議論として批判した。民進党が求めているのは、皇室典範の改正による譲位の制度化だ。これは民進党の皇位検討委員会が昨年12月21日付けで発表した論点整理に明記されている。


 民進党内の議論と発信をリードしているのは、蓮舫代表ではなく野田佳彦幹事長だ。


 総理の座を降り内奏の機会も失われた今も、なぜ野田は声高に陛下の意向を忖度(そんたく)してみせるのか。関係者の間では、「陛下や皇族のご意向」に関する最新情報がいまだに野田に流入しているのではないかという観測が絶えない。


 そこで注目されるのが、宮内庁の河相周夫侍従長だ。天皇皇后両陛下を担当する侍従セクションのトップである河相は外務省出身で、民主党政権下の2010年1月に内閣官房副長官補に就任。野田首相にも1年間仕えた後、外務事務次官に栄転した。いわば野田によって外務省事務方トップに押し上げてもらった人物である。


 ところが野田政権が倒れて安倍が政権に返り咲くと、翌年6月に河相はお役御免となった。次官在職わずか9か月での退任は事実上の更迭と受け止められた。


 その後民間企業の顧問を経て2014年に宮内庁に入った河相は、2015年5月から侍従長を務めている。いわば、天皇皇后両陛下に最も近い役職についたのである。


 こうした経緯から、野田は自ら外務次官に抜擢した河相から今なお情報を得ているのではないかという憶測が止まないのである。


 さらに昨年12月暮れから今年にかけて陛下のご学友である明石元詔氏ら3人が、相次いで「特例法でなく恒久法での譲位実現」が陛下のご意向と述べ、政府方針に真っ向から異を唱えた。陛下のご発言やご意向が証言として表に出るのは極めて異例だ。


 しかも恒久制度にするには皇室典範の改正が避けて通れない。野田の主張を補強するかのようなこれらの証言もまた、侍従職の調整を経て公表されたものとみられている。


 官邸が「パンドラの箱」と恐れる皇室典範改正を、野田があくまで主張する背景には、「陛下のご意向」を錦の御旗に安倍政権を土台から揺さぶるという「倒閣」のにおいを嗅ぎ取る関係者は少なくない。憶測に一定の信憑性を与えているのが、安倍によって更迭された河相の存在なのである。


 さらにもう一つ、ごく一部関係者の間で「きな臭い」噂として流布されているのが、韓国ファクターである。


 昨年初め、国連の女性差別撤廃委員会が日本の天皇制について、男系と定めている事が女性への差別だとして、皇室典範の改正を求める勧告を準備しているというニュースが駆け巡った。


 国連の一部委員会はリベラル勢力と中国韓国両政府の意を受けた勢力が融合し、反日キャンペーンに利用されるケースが少なくない。女性差別撤廃委員会にも中国と韓国の委員がいる。


 そして昨年3月にまとめられた最終見解では、天皇制についての記述は日本政府の抗議によって削除されたものの、慰安婦問題について金銭賠償や公式謝罪を求める勧告が入った。


 まるで中韓の主張をそのまま書き込んだような慰安婦の報告をまとめる委員会が、天皇制について皇室典範の改正を求める動きを見せた事は、政府内で大きな違和感を持って受け止められた。


 民進党は旧民主党時代に永住外国人参政権や朝鮮王室儀軌返却など、韓国との宥和的政策を推進したことで知られる。また菅直人と野田佳彦は韓国籍の外国人や民団関係者から献金を受け取っていた事がわかり問題となっただけに、今回の民進党の動きに韓国ファクターという疑念を抱く関係者がいるようだ。


 民進党は譲位問題を「政争の具にはしない」とする一方、「典範改正」に加え「女系天皇」「女性宮家」の議論も提起した。しかし譲位とは無関係であるはずのこれらを議論の俎上に乗せる意図は明確に示されていない。


 これは野田が陛下のご意向を背負って立てた方針なのか。あるいはこの議論を国際社会も巻き込んだ「男尊女卑論争」に拡大し安倍政権を揺さぶる事が目的なのか。憲法が天皇の政治関与を禁じている以上、陛下のご意向の全体像が明らかにされることはない。


「宮内庁の一部は次の天皇の譲位を視野に入れている」という憶測すら流れる中、この議論は「陛下のご意向」というブラックボックスを巡って政策と政局が入り混じる展開が続く事になる。


●やまぐち・のりゆき/1966年東京生まれ。ジャーナリスト。アメリカシンクタンク客員研究員。1990年慶應義塾大学経済学部卒、TBS入社。報道カメラマン、臨時プノンペン支局、ロンドン支局、社会部を経て2000年から政治部。2013年からワシントン支局長を務める。2016年5月TBSを退職。安倍政権の舞台裏を克明に綴った『総理』が反響を呼ぶ。


※SAPIO2017年3月号

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