慶大生らDV父親刺殺事件 自分がやらないと家族が…と責任感

2月12日(月)16時0分 NEWSポストセブン

DV家庭で少年少女の恐怖は憎悪に…(写真/アフロ)

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「アンタを守ってこうなったんだから、今度はアンタがあの子を守らなきゃダメだよって。私そう伝えたの。そしたら、『はい…』って彼女はうつむいていた。あまりにも悲しい事件だよ」


 神奈川県横浜市の小さなアパート前で、1人の女性住人が物憂げに話す。1月20日、同マンションに暮らす高校生の少年(18才)が、自宅リビングで父親(44才)を刃渡り20cmの包丁で刺殺した。捜査関係者が語る。


「両親のけんかを止めようとして、咄嗟に刺してしまったらしい。両親の仲が悪く、母親へのDV行為もあったといいます。少年は3人きょうだいの長男で、『父を殺さないと家族全員が暴力を振るわれると思った』と供述している。父親の家族へのDVが恒常的に行われていた可能性も視野に、取り調べが続けられています」


 冒頭のアパート住人によれば、夫婦には別居の過去があり、最近母親が戻ってきたばかりだったという。


「長男は小柄で大人しい子で、母親思いの良い子だったよ。きょうだい仲もよくてね。昔はお父さんも自分で布団干したり、登下校の見守り活動をしたり、普通の一家だった。でも、いつしか夫婦仲が険悪になっちゃって…。思春期で多感な時期の長男にはつらかったろうね。


 母親は事件の2日後に『ご迷惑をおかけしました』って詫びにきたの。そこで少し話ししてさ。自分を守るために息子が殺人を犯すなんて、想像もしてなかったろうね…」(アパート住人)


 奇しくもこの事件の2日前、東京・大田区のマンションでも同様の事件が起きている。1月18日夜、慶應大学経済学部2年生の鳥屋智成容疑者(20才)が、酒に酔って帰宅した父親(58才)をナイフで刺殺した。


 捜査関係者によれば、発端は酩酊状態の父親が帰宅するなり弟を怒鳴りちらしたこと。それに気づいた鳥屋容疑者が自室から飛び出し、間に入ったという。


「やめろ!」


 弟を守るため、父親を制止しようとした鳥屋容疑者。父親の激昂理由は、次男の衣類の管理に関する些細なことだった。それでも弟への恫喝を続ける父親に対し、鳥屋容疑者はこう叫んだという。


「やめないなら刺すぞ!」


 自室に戻り、刃渡り13cmの果物ナイフを手にした鳥屋容疑者は、そのまま父親の腹部を一突き…。


「別室にいた母親が気づき、慌てて救急車を呼ぶも、すでに手遅れ。病院到着後に亡くなりました。長男は『感情的になって刺してしまった』と供述し、全面的に容疑を認めています」(捜査関係者)


◆あいつは優しい男だった…


 現行犯で逮捕された鳥屋容疑者の身辺を巡っては、その後悲しい事実が続々と判明している。



 父親も慶應、弟も付属の高校生という“慶應ファミリー”で育った鳥屋容疑者。一家の住む自宅は、キッチンスタジオやハーモニースタジオを併設した超高級物件で、一見、周囲も羨む一流家庭の“ボンボン”に見える。


「父親は不動産会社の代表で、祖父は元漫談家のコロムビア・ライト。智成は付属校時代から空手部に所属し、後輩思いのいいやつだった。でも、あの一家には闇があった。父親が相当なDV癖だったらしいんです。よく体中に痣があって、『オヤジに殴られる』とこぼしていました。『母親や弟も相当殴られてる』って。父との関係にはずっと悩んでいた」(鳥屋容疑者を知る学生)


 とりわけ躾や学業に関しては厳しく、テストの点数が悪ければ容赦なく拳が飛んでくる家庭だったという鳥屋家。


「あいつは優しい男だったから、自分はともかく家族が殴られているのを見るのは本当につらかったろうな…」(前出・学生)


 20年の人生で澱のように溜まった怒りと悲しみが、最悪の形で発露した事件だった。


※女性セブン2018年2月22日号

NEWSポストセブン

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