テレ東路線バスの旅 蛭子・太川のグダグダ話がリアルさ提供

2月17日(月)11時0分 NEWSポストセブン

「弱小局」「万年民放最下位」だったはずのテレビ東京は、今や続々と話題番組を世に送り出すテレビ界の台風の目となっている。“下克上”を可能にした戦略とは、いったいどんなものなのか。下手をすると他局から「アマチュアか!」とツッコミを入れられかねない手法でリアリティを追求するのがテレ東流だ。


 たとえば『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』では、旅する蛭子能収(66)と太川陽介(55)が駅で切符を買うだけのシーンや、地図を見ながら目的地までのルートを確かめ合うやり取りを長々と流す。


 ある回では、道に迷った一行が案内所に行き、目的地の道のりを訪ねるのだが、「宮の沢行き」が聞き取れずに蛭子が「ミヤオサワ行き?」と係員に何度も尋ねる何の意味もないシーンも丸々放送。


 さらに次のバスが来るまでにまだ時間があることがわかると、蛭子と太川とが「あと35分もあるよ」「あと35分」と時間を持てあます様までもがノーカットで放送されている。


「他局ならワンカットのシーンなのに、テレ東は太川さんが駅員さんと素で話しているところも全部ノーカットで見せます。プロからすると『何でこんなシーンに時間を割くんだ』となりますが、これが逆にリアリティにつながっている。


 2人がバスの中で寝入った場面や、ぐだぐだの会話シーンを残すことで、視聴者は2人と一緒に旅行している気分になるんです。今の世相はやらせや過剰演出にうるさいので、このくらいのほうがちょうどいい(笑い)」(テレビ業界に詳しい放送作家)


 収録した素材を極力カットをせずにそのまま放送することで、出演者やスタッフの拘束時間や編集の手間を省くことができる。すべては資金力のなさがもたらしたものだった。


 上智大学の碓井広義教授(メディア論)は“弱者ゆえの決心”を高く評価する。


「予算がない中で他局の真似をしても、縮小コピーにしかならない。そこで他局と同じ道は歩まないと決意したことがテレ東という“民放のガラパゴス”の姿なのです。今、それこそが局のオリジナリティであり、武器になっている」


※週刊ポスト2014年2月21日号

NEWSポストセブン

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