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本田博太郎 良い作品はスタッフもキャストもみな共犯者

NEWSポストセブン2月17日(金)11時0分
画像:本田博太郎が必殺シリーズを振り返る
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本田博太郎が必殺シリーズを振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、無宿人の直次郎として本田博太郎が必殺シリーズにレギュラー出演した当時について語った言葉をお届けする。


 * * *

 本田博太郎は1981年、テレビシリーズ『必殺仕舞人』にレギュラー出演。メイン監督は工藤栄一が務め、撮影は京都映画撮影所(現・松竹撮影所)だった。


「あそこは工藤さんを始め、スタッフもみんな超玄人の職人がいる集団ですからね。俺みたいな小僧が行ったところで、簡単には通用しないと本能的に思いました。


 台本通りではなく、その時その時の感覚で演じました。それが工藤さんの狙いでしたから。ケタ違いの人でした。頭の中の美学は二重、三重の構造になっていて、いつも非常に深く計算している。だから、『俳優さん的な芝居』なんかで対応していたらとても間に合いません。こちらの人となりをぶつけて、それが見えた時に初めて工藤さんは『おもろい』と言ってくれます。俺の奥底にマグマが滾っていて、それが映像に足跡として残れば面白がってくれるといいますか、発想外の感覚から噴き出した演技を喜んでくれる。


 芝居が巧い、拙いというより『ザ・人間』が反映出来ればいいのです。この作品なら、人間として画面に何かを残せるかもしれないと思ってやっていました」


『必殺仕舞人』の主演は京マチ子と高橋悦史だった。


「俺のそういう自由な芝居を京マチ子さん、高橋悦史さんという懐の深い先輩が受け止めてくれたから成立したと思います。


 京さんは映画の黄金時代にトップでいた人です。だからなのか、背負っているものがまるで違う。『綺麗』というだけじゃ収まらない器なんです。例えば、涙を流す芝居ひとつにしても、その涙の深さにドキリとさせられました。


 悦史さんは僕にとっていい兄貴でした。『僕はあまり俳優とは付き合わない。本ちゃんくらいだよ』と可愛がってくれましたね。二人で飲んだり、家に伺ったり。


 悦史さんは大らかな芝居をするんです。大きく間口を広げて『どこからでもかかってこい』という懐の深い感じ。それに比べて、俺の芝居はせこい(笑)。暗闇の中、後ろから斬りかかるところがある」


『必殺仕舞人』と同じ撮影所で撮られた『鬼平犯科帳』には、異なる役柄で何度もゲスト出演している。


「今ある時代劇ではトップクラスの作品だと思っています。それは中村吉右衛門さんだからであることが大きい。全てにおいて凄い人です。


『鬼平』は『仕舞人』の頃から知ってるスタッフがやってるんですよ。その後、何年も役者を続けてきて、スタッフに『しょうもない俳優になってきたな』と思われたらアウトですからね。やっぱり気合いが入ります。深い表現をしなければいけないと思って臨みます。スタッフの方も『深い表現を』と当然思っています。そういうお互いのハートの熱さがすごく大事なんじゃないかなと思っています。


 良い作品というのは、スタッフも、キャストもみな共犯者なんです」


●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。


◆撮影/藤岡雅樹


※週刊ポスト2017年2月24日号

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