癌と戦った鈴木宗男氏「北方領土問題前進させずに死ねるか」

2月17日(金)7時0分 NEWSポストセブン

自身のがん体験を語る鈴木宗男氏

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 医療の進歩により、がんになった後も以前と変わらぬ人生を送れる人が増えている。ところが依然として、世に出てくる闘病記は暗く過酷なものばかり。もっと明るく、あっけらかんと語ったっていいではないか。過去に胃がんと食道がんが見つかった政治家の鈴木宗男氏(69)はこう語る。


「がんと戦う日々を苦とも思わなかったのは、政治家としての使命感があったからです。“生涯政治家”を自負する私のライフワークが北方領土問題。“がんに負けて北方領土問題を前進させずに死ねるか”との思いが、がんを克服する原動力となった」


 そう話す鈴木宗男氏にとって、この15年ほどの出来事は、天国から地獄へと往復するジェットコースターのような日々だった。人間ドックを受診した際に胃がんが見つかったのは2003年9月。あっせん収賄罪などの容疑で逮捕され【※注】437日におよぶ勾留直後のことだった。


【※注/北海道開発局の工事や林野庁の行政処分をめぐり、不正に口利きした見返りに業者から現金を受け取ったとして、受託収賄やあっせん収賄など4つの罪に問われた汚職事件。2010年9月、懲役2年、追徴金1100万円の刑が確定。鈴木氏はいまだに冤罪を主張している】


「主治医から“悪性のスキルス胃がんで転移の可能性がある”と告げられ、“もう人生が終わった”と思い、ただ涙が出てきた。当時は55歳。政治家としては“もうダメかもしれない”と思ってしまったんですね」


 約5時間にわたる手術で胃の3分の2を摘出。幸い転移はなく、抗がん剤治療も不要だったという。手術の2週間後には、開腹手術の跡も生々しく残り、背筋を伸ばして歩くこともできないなか、「予後にいい」と聞いた温泉巡りに出た。


「全国から届いたがん患者からの激励の声と娘・貴子の“お父さん、健康が一番よ”の声が励みになりました。留学先のカナダから帰ってきた娘と一緒にいられたことが何より嬉しかった。“がんになって良かった”とさえ思ったほどです(笑い)。医師からは術後、“節制すれば大丈夫です”とだけ言われた。だから消化の悪いものは一切口にせず、腸の運動を活発化させるウォーキングやジョギングを日課としました」


 予後も順調で、がんを克服。だが、2010年には最高裁の上告棄却で有罪となり収監、同時に失職する。悪いことは重なるもので、その直前に受けた人間ドックで、今度は食道がんが見つかった。しかし不安や心配は一切覚えなかったという。


「2回目のがんは恐るるに足らず、でした。私にとってがんは“未知の恐ろしい病気”ではなくなっていましたから。2度のがんを経験・克服したから私が言えるのは、日本の優れた医療を信じることです。何より大事なのは早期発見。年に1回の定期検査は必ず受けてくださいね」


【プロフィール】すずき・むねお/政治家(新党大地代表)。1948年北海道生まれ。1983年初当選。国務大臣北海道開発庁長官、内閣官房副長官などを歴任。2010年9月、汚職事件により実刑判決確定で衆議院議員を失職。


撮影■ヤナガワゴーッ!


※週刊ポスト2017年2月24日号

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