電通「買われた記事」問題をスクープ ワセダクロニクルとは

2月19日(日)16時0分 NEWSポストセブン

ワセダクロニクルのサイトには続報も

写真を拡大

 ネット上に突如現われた大企業と大メディアに関する「スクープ」に、動揺が広がっている。記事を配信したのは「ワセダクロニクル」なる媒体だった。所属するジャーナリストは“無給”、学生も参加しているという謎のジャーナリズム集団は、いったい何者なのか。


 無名のネットメディア、「ワセダクロニクル」が2月1日に公開した記事のタイトルは〈買われた記事 電通グループからの「成功報酬」〉。これはワセダクロニクルによる最初の配信記事である。


 記事では、大手広告代理店・電通の子会社から、大手通信社・共同通信の子会社に55万円が支払われたという内部文書をもとに、製薬会社の宣伝になる記事が共同通信から配信され、地方紙に掲載されるまでの経緯が明かされていた。


 ネット社会では、固定ユーザーのいない無名メディアの記事など黙殺されるのが常だが、このニュースはツイッターやフェイスブックで瞬く間に拡散され、他のネットニュースが次々と後追いする事態となった。


 ところが、その衝撃に比して、既存メディアの反応は薄かった。テレビで取り上げた局はNHKのみ。新聞でも毎日新聞が小さく取り上げた程度だった。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏も、この現象に注目した一人だ。


「私自身、この記事に大きな衝撃を受けましたし、記事を読んだ人の多くは、“これって氷山の一角じゃないの?”と感じたのではないでしょうか。奇異なのは、医薬品という命に関わる問題に関する報道で、しかも大企業と大メディアという錚々たる顔ぶれが登場しているのに、テレビや新聞が見て見ぬふりをしているということでした」


 ワセダクロニクルの編集長を務める渡辺周氏は、昨年3月までは朝日新聞の記者で、原発事故に関する長期連載「プロメテウスの罠」取材チームの主要メンバーだった。退社後に、早稲田大学ジャーナリズム研究所に設けられた調査報道プロジェクトの発信媒体「ワセダクロニクル」の編集長に就いたという。渡辺氏が言う。


「編集部にはフリーのジャーナリストやエンジニアも含めて10人ほどいます。それにジャーナリスト志望の早稲田大学や他大学の学生が20人ほど参加していますが、私を含めメンバーは現状、無給です。利害関係から独立するために、広告を取らず、調査報道を支える人たちからの寄付金で運営しようと考えているからです」


 ホームページでは、〈政府や大企業といった大きな権力を持つ組織の不正や腐敗を自力で取材し公表する〉とし、〈取材にあたっては、公益性(公共の利益)があると判断した場合はあらゆる手段を排除しません〉と宣言している。


 発足から約1年、約10か月の取材期間を経て用意された創刊特集が、「買われた記事」だった。


「ほかにも複数、並行して取材している記事があります。我々が今回提起した問題に、自ら斬り込んでいく大手メディアは皆無です。大手メディアとも連携してこの問題を深く掘り下げたいと考えているのですが、現実は難しいですね(苦笑)」(同前)


※週刊ポスト2017年3月3日号

NEWSポストセブン

電通をもっと詳しく

BIGLOBE
トップへ