“安倍晋三記念小学校”総裁「夫妻と日本会議と私の関係」

2月20日(月)16時0分 NEWSポストセブン

話題の総裁は安倍首相に心酔

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 ドナルド・トランプ米大統領との「外交成果」を誇り、天皇の生前退位問題でも「政府方針」で強行突破。“オレオレ感”が増幅する安倍晋三・首相の力の源泉には保守層を中心とした高い支持がある。


 中でも安倍政権と“親密”と言われてきたのが保守系団体「日本会議」であるが、大阪で建設中の小学校を巡る問題で、両者の結びつきが浮かび上がっている。


「支持者への利権還流」疑惑まで浮上する中、渦中の「小学校総裁」に直撃した。その口から出てきたのは釈然としない説明と、熱烈すぎる安倍首相の礼讃だった。


「いかにも朝日新聞とか新左翼による、日本の歴史と伝統を潰そうという動きですよ! 絶滅危惧種みたいな人たちが朝日と手を組んで我々の学校を潰そうとしている」


 のっけから憤りを露わにした初老の男性は、問題となった小学校の総裁・籠池泰典氏(学校法人・森友学園理事長)。安倍首相の支持基盤として知られる「日本会議」大阪支部の幹部(代表委員)でもある。


 すでに「不可解な取引」の内容は初報の朝日新聞をはじめ複数メディアで報じられている。概要をまとめる。


安倍昭恵氏が名誉校長を務める私立「瑞穂の國記念小學院」(大阪府豊中市。今年4月開校予定)が近畿財務局から近隣国有地の10分の1という格安価格(1億3400万円)で学校用地の払い下げを受けていた問題。朝日新聞が最初に報じた〉


 要は「国有地の払い下げを巡って、安倍政権の支持者である籠池氏が、国(財務省)から特別に土地を格安で譲り受けていたのではないか」──という疑惑である。当事者である籠池氏は、これまで口利き疑惑を否定してきたが、本誌記者の直撃に「私の考えを話す」として、森友学園が運営する幼稚園に記者を招き入れた。


◆安倍総裁の直筆手紙


 園長室に入る前に籠池氏が記者に案内したのは、金の襖で囲まれ、金屏風も置かれた「玉座の間」。


「ここは尊い方をお迎えする場所です。あなたはきちんと取材してくれる人だと思ったのでお通ししました」


 玄関には皇太子と園児が一緒に収まる記念写真が飾られていたので、記者が「皇太子殿下もいらしたんですか?」と訊ねると、嬉しそうな表情で「それはまぁ、そう考えてもらっても」と曖昧な言い方をする。よく聞くと、皇太子と園児たちの写真の場所は幼稚園ではなく、皇太子が大阪を行啓した際に園児がエスコート役を務めた時のものらしい。


 そして園長室に促されると、籠池氏の隣に副園長を務める夫人も着席した。早速、記者が「国から払い下げを受けた小学校建設用地が安すぎると指摘されているが?」と訊くと、出てきたのが本稿冒頭の発言だった。


──財務省(近畿財務局)は「埋蔵廃棄物の撤去費用を控除した金額」とする一方で、「金額を非公開としたのは法人側の要請があった」とも説明していた(国有地の売却額は公開が原則)。


「(控除された額について)そんなのは知りませんでした。ただね、私たちは清廉潔白なので(売却経緯は)公開してくれていいと近畿財務局にはお答えしています」


 説明や反論に具体性が見えない。ところが、安倍首相との関係について話題を変えると、俄然、籠池氏の口調は滑らかさを増す。


──当初は、小学校の名称は「安倍晋三記念小学校」として寄付を募っていた。


「学校名に安倍さんの名前を冠することは、総理(自民党総裁)になる前に、昭恵夫人を通じて内諾をいただいていたんです。ただ、天下の総理大臣となったらそうもいかないでしょ。ですから(安倍首相サイドが)ご辞退されたということですね」


──でも昭恵夫人は「名誉校長」になりました。首相夫人が一法人の役職に就くのは異例であり、何か特別な関係があるのでは。


「昭恵夫人には3〜4回ほどこの幼稚園に来ていただきました。(学園の)古き日本の素晴らしい道徳性がある子供たちをご覧になって、教育方針に感動されたと思うんです。ファーストレディと言われるだけの器がある方だと思いますよ」


──安倍首相も来園したことがあるのですか?


「(2度目の)総理就任前に講演をお願いしていました。しかしそれが自民党総裁選のタイミングと重なってしまった。その時にはお詫びの電話をいただき、その後には直筆のご丁寧なお手紙までいただきました」


◆『永遠の0』は5回観た


──あなたは日本会議の活動もされている。当然、安倍首相の支持者ですよね。


「それは当たり前ですよ。日本国をしっかり引っ張っていくのは安倍さんしかいないと思っていましたから。安倍さんは日本の国柄のことをよく認識されていると思います。純粋に我が国のことと、皇室のことを考えてらっしゃる」


 ここで夫人が口を挟んだ。


「安倍総理は、偽物と本物をきちんと見分けることができるんです。うちの園長先生(籠池氏)は清廉潔白」


 籠池氏は夫人の話を引き取ってこう話す。


「清廉潔白の人間は、相手が清廉潔白だとわかる。私の周りは天下国家を考えている人が集まるんですが、それは安倍さんも同じ。安倍さんとは共鳴する部分があるんです。一方、悪人の周りには悪人が集まる」


 おもむろに夫人が、籠池氏の携帯電話の画面をチラッと見せる。何と「安倍晋三の携帯電話番号」だという(本物かどうかは確認できなかった)。親しさを証明したかったのかもしれない。さらに夫人が話を被せる。


「園長は清廉潔白で清貧ですよ。背広だって私が買ってくるのを着るだけ。ATMだって使ったことがないし、(クレジット)カードも持ったことがない。それこそコンビニでチョコ買うくらいしかお金を使わない。あっ、でも『永遠の0(※注)』は5回も観ましたけどね」


【※注:安倍首相と親交が深いことで知られる作家・百田尚樹氏の小説『永遠の0』の映画版】


 その後も2人からは日本会議の活動と安倍政権の礼讃があふれるばかりだった。この払い下げ問題について、『日本会議の研究』の著者・菅野完氏が指摘する。


「日本会議は基本的に言論ネットワークであって、利権で結びついている組織ではない。それだけに、幹部が日本会議の理念に沿った学校を建設するため、安倍首相夫人を看板に国有地の払い下げや学校設置認可を得ていたのは非常に驚きです。今後、こうした例が他に出てこないかチェックしていく必要があります」


 取引の核心についてははぐらかされるばかりだったが、少なくとも「安倍首相の熱烈な支持者」の“実相”に触れることができたことがインタビューの収穫だったと思いたい。


※週刊ポスト2017年3月3日号

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