センターで天才ダンサー・KAIが除隊! 再始動の期待が高まるK-POPボーイズグループ「EXO」をおさらい
2025年2月21日(金)20時30分 All About
2025年2月10日に召集解除されたK-POPグループ・EXOのメンバー、KAIさん。センターで天才ダンサーの彼が帰還したことでグループ活動の再開に期待が高まる中、今改めてK-POP第3世代を代表するグループ、EXOについて紹介します。※サムネイル写真:Mydaily/アフロ

今回のテーマは2月10日に除隊したEXOのメインダンサーでセンターのKAIさんと、再始動が期待されるボーイズグループEXOについて。今でもRIIZEやLE SSERAFIMなど若手グループが続々とカバーステージを披露し、彼らのヒット曲はオーディション番組の“必修演目”ともなっているなど根強い人気を誇ります。一方で「グループ自体のことはよく知らない」というK-POPファンが増えてきているのも事実。今回は改めてK-POP第3世代を代表するグループ、EXOについてご紹介します。
EXOの“センター”で“天才ダンサー”KAIの帰還

編集担当・矢野(以下、矢野):今回のテーマは僕からのリクエストです。あらためてEXOのことを知りたいと思っています。最近K-POPのコンテンツを見ているとEXOの曲をカバーするグループが多いことに気付きまして。それに最近メインダンサーのKAIさんが除隊(※召集解除)したことでも話題になっています。
※社会服務要員の場合は“召集解除”というのが正式
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):個人的に思い入れが強いグループなので、いつか絶対EXOのことはお話ししたいと思っていました。だから「次はEXOのことをトークテーマにしたいです」と矢野さんからメールをいただいたとき「キターーーッ!」となって。先日KAIさんも除隊したタイミングも重なり、今こそ語りたいEXOの魅力!
矢野:先日除隊したKAIさんがEXOのセンターと聞いたのですが、彼はやはりキーパーソンなのでしょうか?
ゆりこ:年少メンバーながらKAIさんがセンターです。EXOのデビュー当時はKAIさんの「EXO-K(韓国チーム)」と、「EXO-M(中華チーム)」の2つのユニットに分かれていて、EXO-Mにも別のセンターがいたのですが……その話は後でするとして。KAIさんのずば抜けたダンスの実力、そしてスキル面だけではなく表現力といいますか、彼にしかできないダンスを踊るんですよ。まるで指先から顔の表情筋まで全身が踊っているよう。幼い頃からバレエやジャズダンスを習い、休むことなく踊り続けた彼だけのパフォーマンスは、もはや芸術です。
声や歌い方は個性が分かりやすく出るものですが、ダンスにもこれほど“個のカラー”が出るんだなと気付かせてくれます。NCT DREAMのチソンさん、RIIZEのソンチャンさん、NCT WISHのシオンさん、ATEEZのソンファさんやINIの田島将吾さんもロールモデルとしてKAIさんの名前を挙げていますね。
矢野:所属事務所や国を越えて、多くのアイドルにとって憧れの存在なのですね。僕がKAIさんをしっかり認識したのは比較的最近のことで、2023年5月突然入隊が決まって涙する姿が印象的でした。久しぶりにカムバック(新譜発売)して、これから活動再開! という最悪のタイミングだったんですよね?
ゆりこ:エリ(EXOのファン名称“EXO-L”の略称)としてはもう絶句でしたよ。やっと8人そろってのステージが見られる! と思ったら何の前触れもなくKAIさん入隊って……。2023年2月にメインボーカルのベクヒョンさんが除隊し、ようやく2019年から約5年ぶりとなるグループ活動始動! というテンション爆上がりのタイミングだったんです。ファンやメンバー、そして本人にとっても寝耳に水、青天の霹靂(へきれき)だったはずです。
矢野:あのような形で入隊するK-POPアーティストは見たことがなかったです。一般的にメンバーの誰かが健康問題でお休みしていたり、軍隊に行ったりしていても、残りのメンバーでライブやツアーを行うグループは珍しくありません。でもEXOはやらなかったのですね。
ゆりこ:「KAIさんのダンスがあってこそEXOのパフォーマンスは完成する」という点で、周囲の意見は一致していたのかも。もちろん他の事情もあったかもしれませんが……。KAIさんにはEXOのメンバーをつないで、一致団結させる力があると思っています。
矢野:つまり、KAIさんが戻ってきたということはEXOのカムバックも近いということでしょうか。
ゆりこ:一歩前進したのでは? と期待したいです。まだ最年少のセフンさんが入隊中なのですが、予定通りにいけば今年9月に戻ってきます。本格的に動くのはそれ以降でしょうね。一部メンバーとSMエンターテインメントの間で訴訟問題が起きているという報道があり、不安要素もありますが「全員でカムバックする予定がある」と言っているメンバーたちの言葉を信じて待ちましょう。
今改めておさらいしたい「EXOってどんなグループ?」
矢野:正直に言うと、僕は母の影響でBIGBANGや少女時代は好きで聞いていたのですが、次に夢中になったのがTWICEだったので“K-POP空白期”があります。もちろんEXOの名前は知っていても、きちんと通ってきていないんです。ゆりこ:私もK-POPファンとお話しする中で、意外と矢野さんのような人が多いのを肌で感じています。年齢は関係なく、いつK-POPにハマったかというタイミングによると思います。特にコロナ禍をきっかけに聞き始めた人はピンとこないかもしれない。でもお任せください。まず、そもそもEXOとは? という基礎情報からお伝えします。
【EXOとは】
・2012年にSMエンターテインメントより韓国・中国で同時デビュー(日本デビューは2015年)。
・K-POP第3世代の始まりとなった代表的グループ。韓国では『Growl(ウルロン)』のヒットにより社会現象に。
・現在のメンバーは9人。スホさん、シウミンさん、ベクヒョンさん、チェンさん、チャンヨルさん、D.O.さん、KAIさん、セフンさん、レイさん(中国で活動中)。
※過去にはルハンさん(中国で活動中)、タオさん(中国で活動中)、クリスさん(刑事事件で服役中)が在籍していた。
・グループ名の由来は太陽系外惑星を意味する「exoplanet」。“未知の世界から来た新たなスター”という意味が込められている。
・デビュー当初は韓国人のみで構成された「EXO-K」、中華圏をターゲットにした「EXO-M」の2ユニット制でスタート。同じ曲を韓国語Ver.、中国語Ver.でリリースしていた。
・デビュー後3年以内にクリスさん、ルハンさん、タオさんの3人が相次いで脱退。その後2ユニット制ではなく「EXO」に統一される。
・ファンクラブ名は「EXO-L」(通称エクセル/エリ)。かつてチームが「K」と「M」に分かれていたためアルファベットのKとMの間にある存在としてファン=「L」となった。
・スローガンは「WE ARE ONE」「EXO サランハジャ!(愛そう)」。
・代表曲は『Growl』『LOVE ME RIGHT』『Tempo』『Love Shot』など。
・2023年に『The First Snow』(2013年発売)がSNS上でバズり、再び各種チャート1位に。
矢野:「EXO-M」とは、NCTでいうWayVのようなチームですか? 最初は中国市場を狙っていたんですね。でも中華系メンバーが続々と去ってしまったと。
ゆりこ:そうなんです。EXOはデビュー後まもなく大ブレーク、成功したグループでもありますが、その分若くして苦労したグループでもあります。私の記憶では若干EXO-Mのほうがファンが多かったんじゃないかな。中でもEXO-Mのセンター、ルハンさん(現在は中国で俳優として活動中)の人気は絶大でした。アイドルとしての華と才能を全て持ち合わせていた人だったのですが、EXOの人気がうなぎ上りの最中に専属契約無効訴訟を起こして去りました。結局3人が相次いでグループから脱退するという悲劇。私、当時M派だったので、本当にワンワン泣きましたよ。
矢野:えっ、ブレーク直後なのにもったいない……。理由は何だったのでしょうか。
大ブレークの最中に相次ぐメンバー脱退、そして復活へ
ゆりこ:報道では「あまりのハードスケジュールに体調を崩した」「中国でソロ活動したほうが儲かる」「韓国人メンバーとの扱いに差を感じてしまったのでは」など諸説ありました。でも真相は本人のみぞ知る。ただ言えるのは、あの頃のEXOの人気と仕事量はハンパなかった。寝食を削って働いていたと思います。中華メンバーにとっては異国のシステムに合わせて過ごすストレスも加わって、生命の危機を感じてもおかしくなかったでしょう。さらに中国でもEXOの人気は絶大だったので、そのブランド力と知名度を生かせば母国でも十分食べていける算段はあったはず。当然、裏で彼らを帰国へと誘導した人物もいたでしょうし……。矢野:今も昔も事務所とアーティストの契約問題は絶えないのですね。追い詰められていた中華メンバー、残されたメンバーとファンの気持ちを考えるとやるせないです。そんな大事件がありながらも、きちんと復活できたんですよね?
ゆりこ:代表曲『LOVE ME RIGHT』『Tempo』『Love Shot』もメンバー脱退以降のヒット曲です。全員をEXOに統一しての第二幕。グループを守り抜いたのは、やはりメンバーの実力と努力とプライド、そして諦めなかったファンの力だと思います。
矢野:そういえば、おととしTikTokでの「初雪チャレンジ」からの『The First Snow』の再ヒットも印象的でした。
ゆりこ:あれは中華メンバーも全員そろっていた頃の曲なんですけれどね。今聞いても本当に心に染みる、不朽の名曲。メンバー本人たちもチャレンジ動画を投稿していてなんだかうれしそうだったなあ。ファンとしてはその様子を見てさらにグッときてしまった(涙)。『The First Snow』が収録されているミニアルバム『Miracles in December』は私の“人生の10枚”のうちに入ると思います。全曲が神曲! 各種サブスクサービスでも聞けますのでオススメです。
矢野:あるときふとYouTube ショートに『The First Snow』が流れてきて、「いい曲じゃん。誰が歌っているの?」と調べたらEXOでした。それ以降、冬になったら思い出すお気に入りのウインターソングの1つになりました。僕も「EXOはしっかり通ってきていない」と言いつつ、いざ聞いてみると知っている曲がたくさんありました。RIIZEやLE SSERAFIMなど若手グループのカバー動画をよく目にするからかもしれません。
EXOの曲が今でもオーディション番組の課題曲として使われ続ける理由
ゆりこ:確かに昨年いろんなK-POPイベントやアワードを見ましたがEXOのカバーステージ、多かったです。また、オーディション番組でEXOの曲は必修演目かというほど頻繁に出てきます。なんだかファンとしてはうれしいです。矢野:特に『Growl(ウルロン)』は少女時代の『Gee』やBTSの『Dynamite』と並んで、半永久的に残る曲ではないでしょうか。
ゆりこ:J-POPでいえば、第75回NHK紅白歌合戦で盛り上がったB’zの『ultra soul』のような。少し話を戻しまして、オーディション番組の課題曲にEXOの曲が選ばれるのにはきちんと理由があると思っています。まず幅広い視聴者が楽しめる、大衆に認知されている曲であること。サビもキャッチーで口ずさみやすい。ただ、一見簡単そうなところに実は罠(わな)があって、EXOの曲は全体的に音域が広いのです。メインボーカル・チェンさんのハイトーンボイスはまねしたくても簡単にはできないでしょう。
加えてEXOには“歌唱力オバケ”のようなメインボーカルがあと2人もいて、そこにチャンヨルさんの低音ラップが乗ってくる。ダンスも同じくです。まねしたくなる特徴的な振り付けが要所に出てくるのですが、そこをいかにきれいにそろえられるか。さらに天才ダンサー・KAIさんのパートは難題です。つまり、EXOをカバーさせることで候補生の実力と努力量があらわになる、ごまかしが効かなくなるのだと思います。
矢野:歌もダンスもどこをとっても超一流。K-POPグループが群雄割拠する中、クオリティーの高さを目指す若いグループがお手本とするのも納得です。
ゆりこ:KAIさん、EXOの今後の活躍が楽しみです!
【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:音楽・エンタメライター。雑誌編集者を経た後、渡韓し1年半のソウル生活を送る。帰国後は、K-POPや韓国カルチャーについて書いたりしゃべったりする「韓国エンタメウオッチャー」として、雑誌やWebメディアなどでの執筆活動や、韓国エンタメ情報ラジオ番組『ぴあ presents K-Monday Spotlight』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務めるなど幅広く活躍中。
編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやビジネス記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)&MOA(TOMORROW X TOGETHERファン)。
(文:K-POP ゆりこ)