恋は全てを許す免罪符なのか?──ドラマ『東京タラレバ娘』第5話レビュー

2月21日(火)11時0分 おたぽる

ドラマ『東京タラレバ娘』公式サイトより。

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 この1週間、メディアでは、それまでの仕事を辞め、突然違う道へと進んだ女優のことが話題となっていた。

 多くの仕事を途中で放棄してしまった彼女に批判の声もある。辛い出来事や、耐えられない現実に直面した時、楽な道を選ぶことは、いけないことだろうか。

『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)第5話では、ちょうど同じようなテーマが描かれていた。

 仕事や恋愛に悩む倫子(吉高由里子)、小雪(大島優子)、香(榮倉奈々)の3人は、訪れた占い師(山村紅葉)に現実をズバズバと指摘され打ちのめされる。不倫や、元カレとの付き合いをやめると決意した小雪と香だが、倫子は何をしていいかわからない。

 そんな時、倫子はひょんなところでイケメンのバーテンダー、奥田(速水もこみち)と知り合う。お互い好印象だった2人は、急速に盛り上がり、付き合うことになる。

 一方、仕事では、脚本のコンペに参加した倫子だったが、残念ながら採用とはならなかった。仕事を失い、恋を手にした倫子は、仕事を辞めて結婚しようかと思い、自問する。

「頑張って生きてきたんだから、たまには楽な道を選んだっていいはずだ」

「逃げたっていいじゃん。どこにも逃げ道がなかったら生きていけないよ」

 確かに、間違ってはいない。事実、3人で集まる女子会のような息抜きは必要なことだと思う。ただ、もっと長いスパンで見た場合、方向性だけは逃げる道を選ばないほうが後悔は少ないのではないだろうか。

 そしてもう一つ。倫子は脚本家としていくばくかの才能を持っている。「売れてない」とはいいつつも、誰にでもできる仕事ではないはずだ。才能を持っている人は、その才能と向き合い、戦い続けることもまた必要なことだと思う。

 今回印象的だったのは、KEY(坂口健太郎)と倫子が偶然カフェで出会い、会話するシーン。自分が一度降ろされたドラマのコンペに挑戦する倫子は、「ピンチはチャンス」と言う。それに対し、KEYは言う「むしろチャンスはピンチだ」。

 結局、コンペには通らず、KEYの言うことが正論であったということになる。一昔前、「ピンチはチャンス」という言葉が盛んに言われた時期があった。しかし、最近の風潮は、「ピンチは、あくまでもピンチ」というものであるように思う。そして今回の「チャンスはピンチ」。

 もちろんこれらは“言葉のあや”、つまり受け止め方でしかない。

「ピンチはピンチとして正面からぶつかる」のか、「チャンスの時にも舞い上がらずピンチとの気持ちで事に臨む」のか。そういったことも、このドラマを見ていて考えさせられる。

 今回は言葉にならない、表情で見せるシーンもいくつかあった。

 倫子がコンペに落ちたと知ったKEYが、去り際に何か言おうとする。

「頑張れ」だろうか、「落ち込むな」だろうか。何か優しい声をかけようとしているように見える。

 そして、ラスト、倫子が奥田に会いに行く時、「倫子さんの幸せを願っている」というタラ(声:加藤諒)とレバ(声:あ〜ちゃん)も、どこか悲しそうな顔をして倫子を見送る。

 恋に走る倫子は幸せであり、それは祝福されるべきであろう。でも、見ている我々としても、どこか残念な気持ちにもなる。

「恋は麻薬みたいなもの」とはよく言われることだが、奥田と付き合うことになった夜、倫子は幸せを感じて街を歩く。

「今日から私、道の真ん中を堂々と歩いていける」

 これは、先ほどの「チャンスはピンチ」の考えともつながってくる。もしかすると、恋をして舞い上がっている時ほど、人は大切なものを見失いがちなのかもしれない。

 倫子にとって、本当に大切なものはなんなのか。この後、倫子は恋と仕事のどちらを取ることになるのだろうか。
(文=プレヤード)

おたぽる

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