「生長の家」が脱原発、自然との共生を前面に打ち出す理由

2月21日(火)16時0分 NEWSポストセブン

生長の家総裁の谷口雅宣氏 写真/渡辺壮一

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 近年、環境保護運動に注力する新宗教団体「生長の家」。昨年の参院選では安保法制にともなう憲法解釈の変更、原発政策を巡り「与党とその候補を支持しない」方針を打ち出した。谷口雅宣・生長の家総裁(65)に、ジャーナリストの小川寛大氏が、原宿から富士山麓へ本部を移転した理由、宗教離れが進む日本と教団について聞いた。


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 山梨県北杜市。富士山麓、 標高1320mの森の中に「生長の家」国際本部はある。東京・原宿からこの地に教団本部の機能を移転したのは2013年のこと。約2万坪の敷地に並ぶログハウス風の建物すべてに太陽光パネルが設置され、木材チップを使ったバイオマスとの併用で、教団施設で使用する電力の大半を賄う。谷口雅宣総裁は、教団の理念として「脱原発」「自然との共生」を前面に打ち出している。


──本部移転の理由は何か。


谷口:われわれは、現代人の“都市化”した生活に、非常に危ういものを感じています。あふれるモノに囲まれ、ネットやスマホから洪水のように流れてくる情報に振り回されている。欲望は留まるところを知らず、『人間とは何なのか』を考える余裕もない。


 東日本大震災は、そのことを日本人に教えてくれる契機となりました。原子力発電所という、人間が制御できないほどの危険なものを、都市生活を成り立たせるために使っていた。しかもそれは首都圏の電力を賄うために、東北地方に建設されていた。人間は、このままの都市生活を送っていくべきなのか。これ以上、都市化と本来の人間生活は共存しえない段階に来ているのではないか。生長の家としては今後、そういうことを考え、訴えていきたい。


──宗教離れが進む日本にあって、生長の家も信徒数は減少傾向にある。戦後の最盛期に300万人と言われた国内の信徒数も、現在は約52万人に減った。こうした現実をどう受け止めているのか。


谷口:1995年のオウム真理教事件以降、日本社会には“宗教は悪いもの、怖いもの”というイメージが広がり、なかなか宗教団体のメッセージが世の中に伝わりにくくなりました。生長の家を含め、宗教団体の社会への影響力は確実に落ちていると思います。


 しかし一方、東日本大震災や昨年の熊本地震などでは、多くの若者が被災地にボランティアとして駆けつけました。またパワースポットがブームとなり、神社仏閣などを訪れる人も増えているといいます。彼らは特定の宗教団体に入信しているわけではないのでしょうが、慈悲の心や未知なるものへの探究心といった“宗教心”を持っているのだと思います。


 その意味では決して将来を悲観視していません。生長の家も従来型の布教活動だけでなく、個々人の趣味を通した活動や、地域コミュニティの形成といった、新しい輪の広げ方を模索していきたい。信徒さんは多いに越したことはありません(笑)。


●たにぐち・まさのぶ/1951年東京都生まれ。第2代総裁、谷口清超の次男。青山学院大学法学部卒業後に渡米。コロンビア大学大学院で国際関係論を学ぶ。同大学院修了後、産経新聞記者を経て1990年に生長の家副総裁に就任。日本国内にとどまらず、海外でも積極的に生長の家の教えを宣布し、教団の国際化に尽力した。清超の死去に伴い、2009年3月に第3代総裁就任。


【生長の家】1930年創設。初代総裁は谷口雅春。神道、仏教、キリスト教など諸宗教の教えに加え、近代哲学や心理学を融合させた教えが特長。戦後は「反左翼」運動を推進し政治色を強めたが、1983年に政治活動を停止。近年は宗教的理念に基づくエコロジー活動に注力する。教団が公表する信徒数は国内約52万人、国外約99万人。布教施設は国内外に440か所。(いずれも2014年12月末現在)


※SAPIO2017年3月号

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