物足りない日本の五輪実況をジョニー・ウィアー解説と比較

2月22日(土)9時0分 messy

激萌え(『羽生結弦カレンダー2014年』株式会社ハゴロモ)

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スポーツ実況inJAPAN

 私はスポーツに関してはとんと不調法者でして、ほとんど拝見することもないのですが、フィギュアスケートとなると、話は別です。競技ルールに関してはちっとも詳しくないし、ルッツ・ジャンプとフリップ・ジャンプの見分けすらつきません。けれど、古くはターニャ・ハーディングとナンシー・ケリガンの戦いの時代から、このスポーツに私は魅了されてきました。

 先週は、日本の19歳、羽生結弦選手がフィギュアスケート日本男子としては初の金メダルを獲得しましたね! それも、ショートプログラムでは世界最高得点、史上初の100点超えの演技で。ワタクシ、テレビに張り付いて観戦しておりましたが、非常にありがたいものを見せていただいた気持ちでいっぱいでした。ありがたい、というのは、羽生選手が人智を超えた存在のようで、彼の背後にキラキラとした後光が射して見えたからです。五条の橋で弁慶の上をひらり、ひらりと飛び越える牛若丸も、こんなかんじだったのかなぁ……、と。

インターネットで調べれば良いが…

 このようにテレビでフィギュアスケートが拝見できるのは、非常にありがたいことではあるのですが、同時に、私はいつも、ある種のもやもやも感じます。それは日本のフィギュアスケート実況・解説の、圧倒的情報量の少なさに対してです。

 例えば、羽生結弦選手がフリープログラムでお召しになった衣装は、ジョニー・ウィアー氏のデザイン。ジョニー・ウィアー氏といえばトリノオリンピックとバンクーバーオリンピックで入賞した米国の元フィギュアスケート選手です。その衣装は、ピンクと緑の宝石が散りばめられたようなデザインが印象的でしたが、ピンクと緑は、羽生選手のラッキーカラーなのだそう……(注1)。

 などなどの情報を、私インターネットから得たんですが、もうちょっとその辺の情報も与えてくれるような実況と解説を、テレビでもやってくれないものかしらね〜? なんて、思っちゃったワケですよ。

 「ふん、これはあくまでもスポーツの実況。衣装のことやラッキーカラーのことなど解説する必要などないわ!」というのが理由だとするならば、ジャンプやスピンの採点に関する解説は、足りていると言えるでしょうか。今回、羽生結弦選手、フリーの演技では2回ジャンプの着地に失敗しながら、金メダルを獲得したじゃないですか。それは見ていてとても嬉しかったし、羽生選手の演技には、文句なしに金メダルの価値があると思います。が、具体的には何がどーなって2位のパトリック・チャンに勝ったの? そのあたりの詳しい採点のことだって、知りたいじゃあないですか。

「フリーの得点が高かったから……?」「チャン選手は3回ジャンプに失敗したからじゃないの?」

 ってくらいなら私にだって思いつくんです。そうではなくて、フィギュアのど素人の私にはわからない、競技の細かい部分、採点やらなんやらに関する解説をしてもらいたいのです。けれどテレビの実況・解説では、ジャンプの種類くらいしか教えてくれません。

 再度インターネットへ。各選手のジャンプの種類と得点を表にしたページを参照(注2)しました。このページはカーソルオーバーで加点・減点まで出る親切設計です。

 ふむふむ。羽生選手は、4回転ジャンプの次に得点の高いトリプルアクセル、しかもコンビネーションを、二度、決めているのね……。対してパトリック・チャン選手は、トリプルアクセル(コンビネーションではない)をプログラムに一回しか組み込んでいなかった。なのに、その一度のトリプルアクセルを失敗……。なるほどー、だからフリーでも羽生選手の総得点のほうがチャン選手より高かったのかー。と、分からないなりになんとか解釈をひねり出してみたものの、いかんせんど素人なもので、この理解で正しいのか判断がつかない。解説の人、教えて! って思ってしまうのです。

ジョニー・ウィアーの解説

 私はこのオリンピック、米国でフィギュアスケートの観戦ができる人を心から羨ましく思います。なぜなら、米国NBCSNのフィギュアスケート解説者は、タラ・リピンスキー氏(1998年長野オリンピック女子シングル金メダリスト)と前述のジョニー・ウィアー氏だからです。この2人はGlitterTwins(意訳:スパンコール姉妹)と異名をとるほど衣装に凝りまくって解説に挑んでいます。特にウィアー氏は毛皮のコート、金のマトリョーシカと金のチェブラーシカのリング、ホットピンクのビンテージジャケット、総スパンコールのジャケット、蝶ネクタイ、ミラーボールのような靴、などなど、毎日変わるど派手な衣装だけでも話題を呼んでいます。選手時代同様、コメンテーターになってもショーマンシップを忘れない両氏の姿勢が素晴らしいと思います。

 そんなウィアー氏の解説は選手に関するエピソードなどに富み、かつ、元スケート選手ならではの技術的な解説もばっちりで、聞いていて「ほうほう、なるほど」と思うことの連続です。2013年スケートカナダでの羽生結弦選手の演技でのウィアー氏の解説を抜粋しますね。(動画はコチラ)

「4回転サルコウ、転倒ですね……。けれど完全に回転していましたので、4回転の点数はもらえます。GOE(GradeofExecution)での減点があるだけです」「ビールマンスピンです。結弦はビールマンスピンができる数少ない現役男子選手です」「(コスチュームをデザインしたのは)ワタシです! 結弦は自分をどう見せたいか、細部にまでこだわりがあります。色は、彼のラッキーカラー。ですので、私のデザインとはいえ、結弦のデザインでもあるんです」「結弦は全要素について考えながらスケートしています。音楽、衣装、自分にとって何がラッキーか、自分のオーラなど。こんなに若い人が自分のキャリアについて全責任を負う姿勢をとるというのは、本当に素晴らしいことです」「今までの結弦は、プログラム後半に爆発するような演技だったんですね。けれど最近のフリープログラムでは一貫して冷静沈着、集中した演技を見せており、これは特に賞賛に値すると思います」「(冒頭失敗した4回転ジャンプに関して)4回転サルコウは彼が去年から演技に取り入れたばかりの要素です。長い待ち時間の後に、演技の冒頭すぐに新しい技を決めるというのは非常に難しいのです」「(トリプルアクセルがなぜシングルになったかについて)スケーターの間では『ポップ』と呼ばれている現象です。これはコントロールできません。体が『NO』と言っているのです。猫をお風呂に入れるようなものですね」「素晴らしい得点です。彼は『プー』ディウム(注:ポディウム【=表彰台】にかけている)に乗ってしかるべきですね、なんちゃって。結弦はくまのプーさんの大ファンなんです(笑)」

同性愛者として

 私は、フィギュアスケート解説者が派手な衣装を着ればいいのに、と思っているのではありません。ジョニー・ウィアー氏は、「自分に正直に生きる」ことの一環として派手な衣装を着ています。だから心を打つのだと思います。

 オリンピックが開催されているソチ市の市長は「ソチにはゲイはいない」というとんでもない発言をしたことが報道されています。こんな空気の中、自分に嘘をつかずに人前に出ることが、どれだけ難しいか。ひょっとしたら4回転ジャンプを決めるより難しいかもしれません。ジョニー・ウィアー氏は、それを勇気とファッション性をもってやり遂げている稀有な方です。

 羽生結弦選手とジョニー・ウィアー氏の活躍が見られたソチオリンピック、私の中でも記憶に残るオリンピック大会になりそうです。

 

注1)TheNewYorkTimes“YuzuruHanyuofJapanWinsMen’sFigureSkatingGold”byJereLongman注2)TheNewYorkTimes“EveryMen’sFigureSkatingJump,onOnePage”byWilsonAndrews

■歯グキ露出狂/ テレビを持っていた頃も、観るのは朝の天気予報くらい、ということから推察されるように、あまりテレビとは良好な関係を築けていなかったが、地デジ化以降、それすらも放棄。テレビを所有しないまま、2年が過ぎた。2013年8月、仕事の為ようやくテレビを導入した。

messy

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