小林弘幸「どうして評価されないんだ!」と思った時点で自律神経は乱れまくり…家康と日光東照宮に見る<自分に流れを引き寄せるコツ>とは

2024年2月23日(金)8時0分 婦人公論.jp


小林先生「どうして自分が評価されないんだ、と思う時点で自律神経は乱れまくっている」(写真提供:Photo AC)

厚生労働省が2023年に発表した「労働安全衛生調査」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により1ヵ月以上休業した労働者の割合は、1,000人以上の事業所規模で1%だそう。自律神経が乱れていると「なんとなく気分がすぐれない」と感じるようになると話すのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。さらに小林先生、「どうして自分が評価されないんだ、と思う時点で自律神経は乱れまくっている」とも言っていて——。

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「評価されること」を目指さない


誰だって「人に評価されたい」と思います。仕事をしていれば、上司や同僚、お客様や取引先に評価されることも大事でしょう。

しかし、組織で生きていれば、思うような評価を得られないこともあります。自分の仕事の質が低くて評価されないのは仕方ありませんが、相応の仕事をしているのに評価されない。

それどころか、自分より質の悪い仕事しかしていない別の誰かが評価される。組織の中で、誰もが経験することではないでしょうか。

そんなとき「どうしてあいつが評価されて、自分が評価されないんだ!」といいたくなりますが、この時点で自律神経は乱れまくっています。

納得がいかない気持ちはよくわかります。組織である以上、どんな世界も理不尽なことだらけです。

組織や社会とはそういうものです。実力や実績がそのままフェアに評価されるのではなく、そのときどきの流れによって決まるもの。

それは歴史が証明していて、たとえば源義経や武田信玄、黒田官兵衛がどんなに実力があり、実績があろうと流れがよくなければ望む結果は得られず、命さえも奪われることがあります。

「自分がコントロールできるもの」に目を向ける


人の評価、組織の評価、社会の評価とはそういうもの。評価とは「自分のコントロール外」にあります。

自律神経を乱さず、常に安定したパフォーマンスを発揮するためには、自分のコントロール外のことに惑わされず、「自分がコントロールできるもの」に目を向けることです。

たとえば、努力をして自分なりに実力をつけていく。知識や経験を積み上げていく。

こうしたことに着目して、それをどう評価されるかは流れに任せておく。

その切り分けができると、自律神経はとても安定してきます。

人を恨まず、悪口をいわず、笑顔でいる


流れが悪いときの極意は「人を恨まず、悪口をいわず、笑顔でいる」だと私は考えます。

私も聖人君子ではありませんから、若い頃はそんなことはまったくできませんでした。自分より優遇されている人は恨みたくなりますし、陰で悪口もいいました。笑顔でいるなどもってのほかです。

しかしそんなことをしても、状況はまったく改善されません。むしろ、自分の自律神経を乱し、嫌な思いをいつまでも引きずり、集中力が下がり、ミスも増えるなど悪いことばかりです。

組織であれ、社会であれ、物事の大勢は流れで決まります。

2023年の大河ドラマは徳川家康の生涯を描いていましたが、彼ほど流れに味方された天下人はいません。


徳川家康を祀った日光東照宮には「見ざる、言わざる、聞かざる」の「三猿」があります(写真提供:Photo AC)

徳川家康に実力がなかったとはいいませんが、巡り合わせによって天下を治めるまでに至ったことは明白です。

人生とは修行のようなもの


徳川家康を祀った日光東照宮には「見ざる、言わざる、聞かざる」の「三猿」があります。これこそじっと流れを待つ極意であり、自律神経を乱さない基本でもあります。

自分に流れが来ていないとき、ぜひとも「人を恨まず、悪口をいわず、笑顔でいる」を意識してみてください。

修行みたいなものですが、そもそも人生とは修行のようなものです。そんな修行をはじめてみてはいかがでしょうか。

恨んだり、悪口をいうどころか、流れがよく、調子に乗っている人を「あの人は素晴らしいですね」と褒め称えるくらいになれば一流。

もちろん皮肉ではなく、本気でいうのです。でも、それこそが自分に流れを引き寄せるコツ。

流れはコントロールできませんが、自律神経が安定し、いつも笑顔でいる人に、いい話は転がり込んでくるものです。

※本稿は、『はじめる習慣』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

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