北海道ローカル『水曜どうでしょう』名物D2人が語る制作方針

2月23日(木)7時0分 NEWSポストセブン

『水曜どうでしょう』の名物Dふたりが制作秘話を明かす

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 ディレクターの声が入り込み、タレントと時に大げんかを繰り広げる。アラスカにオーロラを見に行ったのに、延々とキャンピングカーでの調理シーンを放送し続ける──。2002年にレギュラー放送を終了し、以後不定期で新作を放送し続けている『水曜どうでしょう』。常識にとらわれない番組作りは、ローカル番組というよりテレビ番組のあり方を変えたといってもいいだろう。


 番組のキーマン・藤村忠寿と嬉野雅道の両ディレクターは、ローカル局、ローカル番組について、どう考えているのか。番組の聖地『北海道テレビ放送』でWインタビューを行った。


藤村さん:ローカル局は、番組を作らなくてもいいんです。キー局の番組で、ほとんどの放送時間を埋められますから。


嬉野さん:それは恵まれていますよね。ヒット番組を出すことが死活問題じゃない。『どうでしょう』がない時代から、ローカルはそうやって、やってきました。われわれは、そこを、うまい具合に利用させてもらっているんです。


藤村さん:ローカル局じゃなきゃ『どうでしょう』はできなかった。これだけ自由にというのかな、番組自体がつぶれてもいいわけですから。温かい温泉につかりながら番組を作っているみたいなところがありますので(笑い)。


〈出演者の1人には、藤村さんがディレクターだった深夜バラエティー番組『モザイクな夜V3』に出演していた大泉洋(43才)を抜擢した。当時の彼は、まだ無名の大学生だった〉


嬉野さん:(藤村さんは)大泉洋と番組を作りたかったんです。最初からあの男に代わる男はいなかったんじゃないですか?


藤村さん:ちょっと面白い人というんじゃなくて、彼を日本一面白いなと思っていましたからね。


嬉野さん:番組が始まる前の飲み会で、(藤村さんが)フルーツフォンデュを頼んだんです。だけど、なかなか来なくて、「フォンデュはまだかフォンデュはまだか」と言っていた。それを隣に座っている大泉洋が、果敢にまねし始めたんです。余計悪人っぽく言うわけですよ。その2人の様子がね、随分おかしかった。この人の足らないところをどんどん突いていく掛け合いになる。


〈もう1人の出演者は、番組の企画構成も兼任したタレントの鈴井貴之(54才)。藤村さんと嬉野さんが2人の旅に同行する4人旅という番組形態をとった。放送開始時の裏番組は、ダウンタウン・松本人志のバラエティー番組『一人ごっつ』だった〉


藤村さん:ハプニングを起こしたかったんです。松本人志に対して、こっちは誰も知らない素人しかいない。勝つにはハプニングしかないので。ハプニングが起きやすい状況をつくっていきました。北海道の中で、知っているところをウロウロしていてもハプニングなんてたいして起こらない。大泉は九州も四国も行ったことがなかった。


嬉野さん:北海道のタレントさんは道外に出した方が、地方色が出ます。いろんなことに驚くんです。「竹藪がすげー」とかって、そんな番組ないじゃないですか。道外に出た方が驚きが多い。


〈番組作りで大切にしたのは、「こうしなければいけない」という決まりを作らないことだ〉


嬉野さん:番組作りの常識は知ってるんですけど、そこから外れた「いいな」と思う部分が、ぼくらにはある。そこを信じるしかないんですね。それをやっていくということが、唯一キー局に勝てるというか、世界を取れることじゃないですか。そこには嘘つかない。それこそ面白くない番組ができちゃったら、放送しなきゃいい。


藤村さん:どっちか1人が、編集のセオリー的にあれだから、まず駅舎撮っておいてくださいとか、食事のシーンだから1回ラーメン撮るから、みたいなことをやってたら、あの番組はだめでしたね。それよりも、バーっと撮って、編集でどうにでもなると思っていた。常識にとらわれない集団だったんです。


〈こうして始まった『どうでしょう』は、初回から高視聴率をたたき出し、口コミで徐々に全国的な人気を獲得していく。オーストラリア、アメリカといった海外を舞台にしたロケも行われている。国内も国外も撮影で訪れた場所の撮影許可は取っていない〉


藤村さん:今でも許可は取りません。そういうのをやっていて、「何かお互いにとっていいことあるの?」という気がすごくしているんです。今まで一回も注意されたことはありませんし、駅や店の片隅でカメラを回すことの何がいけないんだろうと思います。


嬉野さん:社会がとても戦闘的になってるってことだと思います。


藤村さん:アフリカに行ったとき、セスナに乗っていて、大泉に「ハイジャックしろよ」って、冗談を言ったんです。そしたら社内で「もしハイジャック事件が起きたら、放送できなくなるぞ、カットした方がいいんじゃないのか」という議論が起こったんです。いつハイジャック事件が起きるかわからないのに、そんなもののためにカットできない。そのシーンは、なくてもよかったんですけど、わざと入れました。明らかに冗談じゃないですか。こんな冗談も許されないような社会ってすごく嫌だなと思って。


〈自分たちの面白さを追求している『どうでしょう』。DVDシリーズは、400万枚以上の売り上げを記録している〉


藤村さん:昔は高視聴率が番組の目標でした。でも、DVDを売るようになって変わりました。1枚4000円で売れるんです。視聴率で10%取ろうが20%取ろうが、DVDが1万、2万枚売れた方がいいんです。ということは、今の番組作りの指標は、視聴率じゃなくて、DVDを買ってくれている1人1人になっているんです。そういう意味では、視聴者というより、1人1人のお客さんみたいな感じです。その人たちを失望させないようなものを作るというのがいちばんの目標です。


※女性セブン2017年3月9日号

NEWSポストセブン

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