女子大生スマホ自転車死亡事故遺族、ながらスマホ放置に怒り

2月23日(金)11時0分 NEWSポストセブン

女子大生スマホ自転車死亡事故の現場

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 2017年12月7日午後3時、神奈川県川崎市のショッピングモール「新百合ヶ丘マプレ専門店街」で死亡事故が発生した。商店街を歩いていた米澤晶子さん(享年77)に、1台の電動自転車が衝突した。運転していたのは、20才の女子大生。彼女は左手にスマホ、右手に飲み物、左耳にイヤホンをした状態で運転。衝突するまで気づかなかったという。


 自転車に衝突された晶子さんは、その衝撃で倒れそのまま動かなくなってしまった。診断は脳挫傷。連絡を受けた晶子さんの夫・茂さん(82才、仮名)は医師に懇願し、延命手術を施すも、ほどなくして晶子さんは息を引き取った。


 三重県で400年続く名家に生まれた茂さんは、東京の大学を卒業後、金融機関に勤めた。晶子さんとはお見合いの末に結婚。2人の娘に恵まれ、愛犬は柴犬(雌)という“女系一家”を支えるため、身を粉にして働いた。憩いの時間は、夫婦での海外旅行だったという。


「家内が旅行好きでしてね。特にヨーロッパがお気に入りで、スイス、ロンドン、パリといろんなところを回ったものです。老後はゆっくり時間が取れるようになったから、温泉や海外に2人で行くことが楽しみでした。昨年11月には家内の喜寿祝いで、5泊7日でハワイに行ったんです。私は足が悪いから、家内に車いすを押してもらって」(茂さん)


 残りの人生、どこの国に行こうかと夫婦で話す時間が、至福のひとときだったという茂さん。飛行機に乗る際は、万一に備えて貴重品の場所を明記した遺書まで準備したというしっかり者の妻が自慢だった。


「家内はコーラス部だったから、声がよく通った。町内で詩の朗読をしたり、一緒にカラオケにもよく行きました。美空ひばりをよく歌ったっけ」(茂さん)


 花を愛した晶子さんは、自宅の庭の手入れも欠かさなかった。しかし、彼女亡き今、月下美人をはじめとした色とりどりの花々は、すべて枯れていた。庭の隣にある車庫も、現在は空車になっている。


「去年8月に運転をやめたんです。やっぱり危ないから。家内もそれまでは電動自転車に乗っていたのですが、私が無理言ってやめさせました。高齢者にとってはスピードが出すぎるんです。家内を見ていたら、曲がり角で停止するのも難しいみたいでね。加害者になってしまう危険もあるから、と説得しました。逆に家内が被害者になるなんて、考えてもいなかった…」(茂さん)



 突然の悲劇に、心が壊れかけた茂さんと家族。長女は赴任先のボストンから、次女も名古屋から駆けつけ、失意の底で通夜と葬儀が営まれた。


「棺桶には娘が、家内の書いていた日記を入れていた。加害者の女性や親族は、参列しなかった。お詫びに来たのは、葬儀の後です」(茂さん)


 両親とともに自宅を訪れた女子大生は、ただひたすら「ごめんなさい」と謝り続けたという。


「正直に言えば会いたくなかったけど、どうしても謝罪したいっていうもんだから。今まで3回謝罪に来ていますが、涙を見せたことはないです。賠償金は向こうの弁護士と保険会社がやってるから、加害者側と直接お金のやり取りはありません。一度ね、彼女に将来の夢を聞いたことがあったんです。そしたら『幼稚園の先生です』と。でも今回の事故で、それも難しいでしょう。憎いか憎くないかでいえば、もちろん憎い。でも、彼女もまた不注意で人生を棒に振った。そう考えると、“ながらスマホ”を放置している社会だったり、電動自転車をなんの規制もせず野放しにしている国に対して、強い怒りがわいてくるんです」(茂さん)


 神奈川県警麻生署は2月15日、女子大生を重過失致死容疑で横浜地検に書類送検。近く検察が起訴等の処遇を決める。


※女性セブン2018年3月8日号

NEWSポストセブン

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