『後妻業』の木村佳乃 大阪弁は及第点もテンション高すぎか

2月23日(土)16時0分 NEWSポストセブン

大阪人からはどう見えているか(番組公式HPより)

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 方言を扱う作品は、ネイティブか非ネイティブかによって評価が二分されてしまうことがよくある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。


 * * *

 連続ドラマも折り返し地点。「今期は大人を満足させるドラマが少ない」という嘆きの声もちらほらと聞こえてきます。スタート当初、中高年世代から熱い期待が寄せられたドラマ『後妻業』(フジテレビ系火曜午後9時)はどうでしょうか?


 主人公は遺産相続目当てに資産家老人を狙う結婚詐欺・後妻業の女=武内小夜子。演じるのは木村佳乃さん。小夜子は真っ赤なコートにヒョウ柄スカートのコテコテ大阪女。顔一面パックしたスッピン姿はもはやホラー感すら漂い、ジェイソン(『13日の金曜日』)を連想させました。美形の女優がここまでやるか、というぶち切れ感は凄いものがある。


 そしてドラマは中盤にさしかかり、評判に変化が見てとれるとすればそれは……?


 当初、最も注目された点は木村さんの大阪弁でした。言葉巧みにジジイを騙す悪女の物語だけに、東京・世田谷区出身の木村さんの大阪弁には正直、一抹の不安もあった。ご本人も「できる限り練習をし、ネイティブの方に及第点をいただけるまでは頑張りたいと思っています」と意気込みを語っていたほど。猛練習を重ねたとか。


 そこで関西人に木村さんの大阪弁の感想を聞いてみると……「ほとんどヘンに思うところはない」「イントネーションに問題なし」。想像以上に高い評価で驚かされました。特訓の成果なのか、「ネイティブの方に及第点をいただける」水準に達しているもよう。


 いや、問題はむしろ別のところに潜んでいそうです。


 小夜子はやたらテンションが高い女。大口を開けて笑い、煙草をくわえて吼える。「あまりに高いテンションに違和感あり」と大阪人は指摘するのです。


「関西人=テンション高い、と一般的に思われてるのかもしれないけれど、普段は押さえて低空飛行している人、いっぱいおるで。やり過ぎると不自然になる」


 なるほど。関西人=やたら高いテンションというのは、関西をよく知らない人の身勝手な固定概念、いわば偏見かも。ハッとしました。江戸っ子の私にはとうてい気付くことのできないポイントです。


「いくら大阪のオバチャンでも、あそこまでテンション高い人はなかなかいない。ドラマの中で関西スタンダードといえば、やはり濱田マリ(小夜子の妹・尚子役で登場)。普段話す時は低い声で、時々妙に高いテンションになるのが自然」


 なるほど。木村さんの入りっぱなしのスイッチに問題がありそう。ファッションもド派手です。ショッキングピンクにヒョウ柄、毛皮に総レースにサングラスで歩いている人なんて、今どきいるか。ゲスな大阪人になろうなろうとテンパりすぎかも。


 役作りにおいてやり過ぎは禁物で引き算が大切、という教訓かもしれません。


「主人公だけはせめて関西出身の役者を使ったらよかったのに」という声も聞かれました。では、いったい誰なら小夜子役にぴたっとハマるのか?


藤山直美あたりに主演してほしかったわ〜」「いや、尾野真千子やろ」「転落して陰りのある藤原紀香なんかどう?」


 と好き放題、無責任に放談できるのがテレビドラマの楽しみであり大きな魅力でしょう。



 さて、主役以外の評判はどうでしょうか?


 小夜子のバディ・柏木を演じる高橋克典さんの大阪弁には激しいツッコミが。


「雰囲気は大阪弁でも、単語のイントネーションが完全に違う時があって語尾が下がる所で上がってたりするんよ。だから全体として下手な印象になる」と、ネイティブ視聴者ゆえの鋭い指摘。


 また、予想外に演技の評価が高かったのが、小夜子に騙される3爺──泉谷しげる、佐藤蛾次郎、麿赤兒。騙されっぷりが哀しくて、枯れ具合がいい。人間が弱っていく悲哀を体現している。それでもエロや強欲が落ちない。煩悩を見るようだと好評です。


 そう。シニア・シルバー層にはまたまだ味わい深い役者がたくさん潜んでいそうです。若い頃は突っ張って肩で風を切っていても、そのポジションを自覚的に降りる頭の良さがあれば、枯れた人間の味わい深い演技ができる……と、ドラマの中には予想もつかない味わいポイントがあちこちに隠れています。だから、見るのをやめられません。

NEWSポストセブン

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