攻めつつ守る!『ママガール』に見る勝ち組女性のしたたかさ

2月25日(火)13時0分 messy

『mamagirl冬号2014年01月号』エムオン・エンタテインメント

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 数あるママ雑誌を不定期にレビューする本企画、今回はこちらを取り上げたい。

 創刊号となるvol.1は2012年8月に発売されているが、vol.2は2013年5月、vol.3は2013年8月、そして4冊目となる今号は2013年12月発売となっており、完全に不定期のようである。その間、『mamagirlceleb(ママガールセレブ)』と題された海外セレブの子育て事情を取り上げたものも発売されており、こちらもかなり気になる。

 Amazonではほとんどの号に「人気」の帯がついている。表紙はvol.3が“バウ・リニューアル婚”を大々的にブログで取り上げたがさして話題にならなかった吉川ひなの、他が小倉優子。「ママだけどガールだもん♪ おしゃれも子育ても楽しんでいこうよ」と雑誌タイトルの上に銘打たれたキャッチコピーにブレはなく、目次には「アクティブママの年末年始1ヶ月着回しカレンダー!」「『子どもがグズらない』ショッピングモールの歩き方」「ママたちは『ながら美容』の天才です!」など、ママになっても女であることは忘れたくない女性たちの心をしっかり掴みそうな特集が目白押し。“1ヶ月コーデ”や“最新コスメ事情”といった女性誌の定番企画をママ向けに落とし込んでいるといった印象だ。

 巻頭特集の「おしゃれママ有名人の『Girlな冬ファッション』&『Mamaな1年インタビュー』」では表紙も飾った小倉優子がトップバッター。子育てに奮闘した2013年を振り返り“たくさん悩んだけれど息子とともに成長できた1年でした!”と新米ママの謙虚さも見せつつコメントしている。またマイブームだというフルートを吹きながらの写真も。なんでも、ゆうこりんは学生時代フルートを習っており、その頃は腹筋が6つに割れていたという意外な過去をカミングアウト。運動が苦手だから、フルートで腹筋を鍛え直しているのだという。ずいぶん回り道をしているような気もする。“息子もちゃんとお昼寝してくれるようになったので、その間に練習しています”と語っているが、寝ているときに楽器の練習をしても子供が起きない家に住んでいるのかとさりげなく一般市民との格の違いを見せつけるゆうこりんであった。

 引き続き、東原亜希、ミキティ、小畑由香里、SONOMI……とママタレ、ママモデルが続々登場。皆、お子さんが小さいながらもヒールの靴を履いていたり、首周りのアクセサリーを欠かしていなかったり、ビジュー付きのニットを着ていたり……と、子育て中の女性が我慢しがちなところもおかまいなしに攻めの姿勢。発言小町では叩かれそうだが、こういったママさんたちの姿には大変勇気づけられる。とにかく、写真だけ見ているとただの女性誌そのままといった印象で、それ以外のコラム的なスペースで「妊娠中から玄米生活」などといった発言をしているのを目にして、そういえばこれはママ雑誌だった……と我に返る。

 「パパ、ママ、子どもの冬のおでかけファッションをキャッチ!!関東、関西、海外セレブ発おしゃれファミリーSNAP」では、各地で撮影されたパパ、ママ、そしてお子さんという3ショット(たまにお子さん2人の4ショット)がずらり。タイトルに“パパ、ママ、子ども”とあるせいか、シングルマザーは皆無。誌面では“子どものコーデをパパかママどちらかに寄せる”といったオシャレ指南も見られることから、企画的にパパは外せなかったのだろうか。若干の不自然さは否めない。先日『tocotoco』をレビューした際も感じたが、読者スナップはその雑誌がターゲットとしている層が非常によく分かる企画である。この『mamagirl』のスナップを見ると、女性はヒール、ミニスカート、ロングヘアにハイブランドのバッグ……といった具合で、ぺたんこ靴、ミナペルホネン、布バッグ率の高い森ガールの延長だった『tocotoco』の対極にある。たとえば夫婦ともに29歳、夫は会社員、妻は主婦、4歳の男の子、11カ月の女の子4人のファミリースナップでは、妻がセリーヌのバッグ、シャネルのパールアクセを身に付け、息子さんに至ってはグッチのダッフルコート! 専業主婦で子供2人という家族構成にもセレブ感が漂うご時世だが、グッチにシャネル、セリーヌといったハイブランドのオンパレードには、29歳の夫(整えられたヒゲがポイント)がどんな仕事をしているのかものすごく気になり、ファッションチェックどころではない。この夫は妻の素敵なところとして「同じ料理が月に2度並ばない」ことを挙げていた。それはもちろん素敵でしょう。でも「この料理は今月2回目だ!」と、この夫は分かるのだろうか? 恐ろしすぎる。ますます夫の仕事が気になってしまいファッションチェックどころではなくなってしまった。

 他のご夫婦に目を移しても、夫は弁護士・妻は声楽家、夫は会社員・妻はエステサロン経営……など、古い言い回しであるが完全に人生の勝ち組たちだ。筆者にはこの雑誌を読む資格がないのではないだろうか……? “子供のため”を大義名分に、結局自分のエゴを満たしたいだけという面倒な欲望が透けて見える『tocotoco』の不気味さは皆無だが、こちらは敗北感でいたたまれない気持ちになる。だが、ここに登場している女性たちは、一般人ながら足をクロスさせ立派にポーズも取っている方が多く、ママになっても女であることを忘れないという気持ちがここに込められているような気もする。筆者はこういった貪欲なママさんは大好きだ。この特集の後半には「海外セレブ発おしゃれファミリーSNAP」もあったが、昨年10月に離婚を発表したミランダ・カーオーランド・ブルーム元夫妻(+フリンくん)のかつてのファミリースナップがデカデカと掲載されていた。“離婚しちゃって残念すぎる!”とキャプションにあり、やはり、あくまでもパパとママが揃ったややセレブなファミリーがこの『mamagirl』のターゲットなのだろう。

 後半の注目特集は「土田晃之 つるの剛士 ノッチが甘辛アンサー!『パパの本音』Q&A」。それぞれ1男3女、3男1女、2女の年季の入ったパパさんでもある3人が、本音で女性サイドの質問に答えるという企画である。『ママになっても妻を女性として見てくれている?』という問いに対してつるのは「僕の奥さんはむしろ、出産後の方が素敵になったな〜と思います」、ノッチは「デートをしているときに女性として“可愛いなぁ”と思う瞬間がありますね」など、質問の期待に添うような回答をしているのに対し、土田は「女というより“オカン”」とバッサリ。他の質問でも同様の姿勢が見て取れる。

 『奥さんのどんな行動に愛を感じる?』という問いに、つるのは「子どもたちに激怒しているとき!」と相変わらずの読者に添った、悪く言えば媚びた回答。絶対本音で答えてないよね! またノッチは「僕の食事管理からスタイリング、マッサージ、ストレッチ、爪とぎまでしてくれること」と、お前は猫か! と突っ込みたくなるような不気味な回答を寄せているのに対し、土田は「愛? 嫁さんの本音は“亭主元気で留守がいい”でしょうね」とこれまたバッサリ。結婚生活15年目と、この3人の中で一番長いキャリアを持っているせいか、回答はどれも達観しているが、かつて土田は『アメトーーク!』(テレビ朝日系)において、休みの日は子供を預けて妻と外出しラブホでセックスしていることを暴露されており、なんだかんだ言いつつも夫婦円満の秘訣はセックスを欠かさないことにあるのではないだろうかと思わされる。この誌面をそれぞれの妻が読むことも各人想定しての発言だろうし、土田のこうした発言もオッケーなのは実生活で家族円満だからこそではないだろうか。どの質問でも歯の浮くような家族LOVEの回答を寄せているつるのが心配になってくる。

 この号であとひとつ、気になる特集は「感動100倍返し!関西ママ西嶋さんちの“子連れウエディング”inHAWAII」。モデルの西嶋翔子が、第一子妊娠のために延期となっていた結婚式を改めて、という企画だ。夫とたびたび訪れていた思い出の地、ハワイでの子連れ結婚式の様子が写真中心で取り上げられている。会場には子供の遊び場を作ったり、娘さんと姪っ子さんにフラワーガールをお願いしたりといった“子供参加型”であることにこだわったようだ。公式ブログをチェックしたところ、娘さんの写真は顔部分をスタンプで隠しているが誌面ではばっちり顔出ししている。『アットホームなHAWAIIらしさにこだわりました!』というものの、娘の顔出しにはこだわりがあるのかないのか分からない。また、Amazonで今号の『mamagirl』をチェックすると、「大大大嫌いな西嶋翔子の子連れハワイ挙式が3ページもあるとは。綺麗事ばかり並べて不愉快極まりないです。今後は西嶋翔子が誌面に載っていたら絶対買いません」と怒りのおさまらないレビューがあり、西嶋本人を調べてみると2ちゃんねるネットウォッチ板で24スレ目までいっているツワモノであった。今後、ウォッチしていきたい。

 ママでも女であることにこだわりたい! という姿勢が強く感じられる『mamagirl』、企画もなかなか練られているうえ、有名ママタレ、イクメン芸能人もきっちり押さえ、読みどころ満載だ。他の媒体でたまに見られる“授乳しやすい服”などのように、機能性を重視するあまり女性としては萎えてしまう冴えないファッション特集とは一線を画している。授乳期であることもおかまいなしにワンピース、子どもが引っ張ったりするであろうこともおかまいなしにネックレス重ね付け、走り回る時期であることもおかまいなしにヒール靴など攻めまくっている。でありながらライフスタイルはシングルマザーの存在をスルーしており意外と古い。攻めファッションで固めることができるのも夫の財力のおかげなのであろう。そう見ると、この女を忘れない攻めファッションも自分のためと見せかけながら実は夫を喜ばせるためのものかもしれない。

■ブログウォッチャー京子/ 1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

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