大杉漣さん ローカル局の現場でも慕われたその人柄

2月25日(日)7時0分 NEWSポストセブン

大杉漣さん出演の『名古屋行き最終列車2018』(メ〜テレHPより)

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 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、ローカル局現場からの大杉漣さんの人柄を伝えるエピソードを公開。


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 大杉漣さんの訃報を知ったのは2月21日の20時過ぎ。名古屋に向かう東海道新幹線の車中で確認したネットニュースだった。


 筆者が毎週木曜朝に出演している名古屋テレビ放送(以下、メ〜テレ)の『ドデスカ!』のディレクターと連絡を取り合ったのは名古屋駅に着いた21時過ぎ。予定していたエンタメ項目の差し替えや、同日夜にオンエアされるテレビ愛知(テレビ東京系)の『バイプレーヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人生活したら〜』を確認しておくことなど慌ただしく打ち合わせを重ねた。


 そのとき担当ディレクターは「いまの時点では何とも言えないのですが、ドラマのプロデューサーにコメントを頼んでいるところです」とも言っていた。“ドラマ”とは、メ〜テレでオンエアされている『名古屋行き最終列車2018』のこと。


 タイトルどおり、名古屋鉄道の地方駅から名古屋駅へ向かう最終列車を舞台にした作品のメインキャストとして大杉漣さんは出演されていたのである。


 同作は、メ〜テレ開局50周年を記念して2012年、オムニバスドラマとして制作され、14年からは年に1回、4〜5夜連続のスペシャルドラマとしてオンエアされてきた。


 第1弾は、『東京ドラマアワード2013』で「ローカルドラマ賞」を受賞。その後も第2弾が『平成26年度 日本民間放送連盟賞』「テレビドラマ番組優秀賞」を、第3弾も翌年度の同賞に輝くなど、ローカル局制作ドラマの“優等生”なのである。


 地方局制作と言っても、在阪局制作のドラマは系列の在京局から全国へ大々的にネットされるし、かつてフジテレビ系で人気を博した『牡丹と薔薇』を始めとする昼ドラシリーズを制作していたのは系列の東海テレビだ。


 が、『名古屋行き最終列車』は、愛知・三重・岐阜の「東海3県」のみのオンエア。正真正銘の「ローカルドラマ」なのである。



 同シリーズの第3弾から出演されていた大杉漣さんは、今年1月15日から、初めて連続ドラマスタイルをとった第6弾のポスターに主演の松井玲奈六角精児と共に映っておられる。


 松井と六角と言えば、芸能界屈指の“鉄道オタク”。まだSKE48のメンバーだった地元アイドルの松井をメインにしたのも、ローカルドラマならではのことだったと言えよう。


 果たして、22日朝の『ドデスカ!』は、6時台、7時台に3チャンスある芸能枠全てで大杉漣さんの訃報に触れ、「このドラマに出演するキャストやスタッフとまた会いたいなといつも思っていました。毎年このドラマに参加できること、作っていただけること、みんなと再会できたことを本当に嬉しく思っています」という『名古屋行き最終列車』HPに寄せた大杉漣さんのコメントを紹介。


 続いて、「スタッフだけではなく、エキストラの方やロケ地の関係者にも分け隔てなく、いつもニコニコおしゃべりする方でした。相談をすれば常に親身になって一緒に考えてくださいました」というプロデューサーのコメントもモニターに出させてもらった。


 すると『ドデスカ!』のアナウンサー陣から次々、大杉漣さんとの秘話が明かされるではないか。東京や大阪のテレビ局とは異なり、仕事で来社する芸能人の数が圧倒的に少ないなか、メ〜テレアナウンサーたちは大杉さんとのオンリーワンのエピソードをそれぞれ持っていたのである。


 いくつか紹介させていただこう。


「廊下でお会いすると、いつも笑顔で挨拶をしてくださいました」

「我々のことなんか御存知であるハズもないのに、こちらが恐縮してしまうほど腰の低い方でした」


 もっとも驚いたのは「(大杉さんが出演している)『相棒』や『緊急取調室』の取材でテレビ朝日に行くと、大杉さんに出ていただくお約束はとれていないにも関わらず、『僕はメ〜テレ・ファミリーだから』とインタビューに加わってくださいました」という、もっとも若手の上坂嵩アナによるエピソードだった。


 訃報を受けてから、多くの作品の共演者から追悼コメントが尽きないが、どれを見ても、決して偉ぶらず、後輩であっても、演技経験が少ない俳優であっても細やかな気遣いをし、優しく接する大杉漣さんのお人柄がわかるものばかりだ。そして、それは名古屋のローカル局でも全く変わらなかったのである。



『名古屋行き最終列車2018』の番組HPのトップには、監督でありプロデューサーでもある神道俊浩氏からの追悼文がアップされている。


 そこには、移動中や待ち時間でも寝ることなくスタッフや見学者、ロケ先の方とおしゃべりしたり、散歩先で見つけてきたお土産をエキストラや近所の方に振る舞うなど、人を喜ばすのが大好きだった大杉漣さんの素顔がまず綴られている。


 同作は『名古屋鉄道』の全面協力を得てはいるものの、各駅周辺にお住いの方や関係者の皆さんにも細やかなバックアップをいただいていると聞く。大杉漣さんは、そうした皆さんへの気遣いも完璧だったというわけだ。


 もっとも驚いたのは、「『名古屋行き最終列車』はいい。タイミングが合ったらぜひ出演してみたら」と東京の役者さんの事務所にオススメしてくれていた…というものだ。だからなのか、6弾となる今作から初出演しているのは、渡辺いっけい、佐戸井けん太、堀内敬子、矢本悠馬ら、在京局制作のドラマからも引っ張りだこな実力派俳優ばかりである。


 ちなみに、大杉漣さんが演じていたのは「今村武雄」なるラーメン店店主。神道プロデューサーが「今村」の過去の衣装を確認するためスタッフに連絡したところ、多くのスタッフから大杉さんとのツーショット写真が送られてきたとか。神道プロデューサー曰く「資料写真では見たことのない仲良し写真の数々…」とのことだった。


 思えば、多くの共演者が、過去、SNSにアップした大杉漣さんとの笑顔のツーショット写真を再びアップしている。それらを「アルバム」として集めることはできないものだろうか。そこには、役柄以外の大杉漣さんのお人柄がギッシリ詰まっているので…。


 大杉漣さんの御冥福をお祈り申し上げます。合掌

NEWSポストセブン

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