男女とも「イタイ」セックスって?越谷で小室友里と考えるトークライブ

2月26日(水)7時0分 おたくま経済新聞


 かつてトップAV女優として活躍し、現在は男女のコミュニケーションなどについて講演活動を行なっている小室友里さんが、埼玉県越谷市で「イ・タ・イセックスから考える私たちの生きづらさ」というトークライブを行いました。男女とも「イタイ」セックスとは?

 このトークライブは、越谷市議会議員の山田裕子さんと松田典子さんによる「怒れる女子会@越谷」が主催して実現したもの。日頃からジェンダーロール(社会的性別による役割に応じた振る舞い、およびその強制)に関心を寄せ、男女ともが自分らしく生きやすい社会のあり方について模索しているお2人の協力により、普段表立って話す機会の少ない“セックス”の悩みについて語り合おうという催しです。





 イベントの進行を担うファシリテーターは、ゴムの締め付けによる血行不良から解放する「ゴムフリーパンツ」づくりを手がける、Design Pants iCCHO(デザインパンツイッチョ)代表の柴崎恵子さん。



 さっそく、小室友里さんによる講演が始まります。今回のテーマは「イ・タ・イ」セックス。はじめに小室さんは、今回の講演についてヘテロセクシャル(異性愛)を題材とする、と語りました。世の中には異性愛だけでなく、LGBTQ+と総称されるように様々な愛の形があります。それぞれは同じようでいて、また微妙な違いもあるため、今回は今の日本において多数派と考えられる異性愛についての言及にとどめる、ということ。



 講演のキーワードとなっている「イ・タ・イ」。これは男女それぞれが、セックスに対して抱く3つの心境の頭文字です。

 男性の場合は

・イかなきゃ(射精しなきゃ)

・タたせなきゃ(自分の男性器を)

・イかせなきゃ(女性を)

 女性の場合は

・イかせなきゃ(男性を)

・タたせてあげなきゃ(男性器を)

・イッたフリしなきゃ(男性を気遣って)



 それぞれがセックスに際して、相手を気にしてしまう要素を端的に表したものですが、男性の方は女性に対して、女性は男性に対して「こうあらねばならない」というジェンダーロールを投影しているものであることが分かります。

 学校や家庭で行われる性教育には、このようなセックスについての具体的な話は出てきません。みんな試行錯誤しながら、そして「これでいいのだろうか」という疑問を抱きながらセックスに臨んでいるのではないでしょうか。



 女性の場合は性について肉体的な痛みを伴う場面が多く、感覚的に理解されやすいのですが、男性の場合は心理的なプレッシャーやストレスによる「心の痛み」がある、と小室さんは説きます。その心の痛みがある臨界点を超えると、肉体が反応しなくなる……いわゆる心因性のED(勃起障害)につながっていきます。



 全く違う存在同士が肌を合わせるのですから、本来なら心のコミュニケーションが不可欠なのですが、残念ながら今の日本では、それについて教えられる機会はありません。互いに「どうありたいか」を話し合えればいいのですが、なかなか口に出しにくい……。

 小室さんは自身の経験から、AV(アダルトビデオ)の功罪についても言及します。今や男女とも様々なアダルト映像などを見ることができますが、これはあくまでもフィクションであり、必ず対象となる層に対して都合の良いように作られている理想的なもの。



 現実はそういう訳にはいきません。男性からすれば「女性が気持ち良くなってくれない、イってくれないのは自分がダメだからじゃないか」と自分にプレッシャーをかけてしまいます。逆に女性の方は、男性に配慮して「気持ち良くなってるように思われなきゃ」や「射精しないのは自分がダメなんじゃないか」という気持ちになってしまうことに。不満の残るセックスという背景には、不幸なコミュニケーション不足が存在するのです。



 小室さんは、普段からのコミュニケーションが大事なのはいうまでもなく、セックスの時においても互いに「自分がどうしたいか」「自分がどうされたいか」を伝えることが必要だと語りました。相手のことを理解し、自分のことも理解してもらうことで、心と体の良好な対話を実現することが、より良いセックスにつながるという訳です。



 会場には、協賛社からのサンプル展示コーナーも。柴崎さんの手がけるゴムフリーパンツは、ゴムを使わないことでウエスト部分や足の付け根の部分を締め付けず、血液やリンパの流れを阻害しなうように作られたもの。



 ウエスト部分はドローストリングになっており、普段使いから妊娠〜産褥期まで対応可能です。もちろん男性用も用意。感覚としてはT字帯(丁字帯/越中褌)と似ていて、それをよりパンツ(ショーツ/ブリーフ)にデザインを近づけたものです。



 また、TENGAからは女性のためのシリーズ「iroha」から、刺激の少ない弱酸性のデリケートゾーン用液体ソープのほか、泌尿器科で使われている膣内射精障害(セックスでの射精ができなくなる性機能障害の一種)リハビリ用のトレーニングカップなどが展示されました。TENGAでは、これら性機能障害や妊活サポートのため「株式会社TENGAヘルスケア」という別会社を設立しています。







 このほかにも、指に装着して雑菌から膣を守るアートメディアの「フィンドム(findom)」、ジェクスの潤滑ゼリーやデリケートゾーン用保湿液なども資料として配られました。フィンドムは台湾発祥のものだそうです。

 後半は、小室さんの講演を受けての感想や質問などを募り、トーク形式で進められました。なかなか赤裸々な悩みが寄せられ、それに対して小室さんをはじめ柴崎さん、山田さん、松田さんが率直に意見を述べるなど、包み隠すことのないトークが展開。



 AVなどのアダルト動画をはじめ、性情報の氾濫している現状についての見解を求められた小室さんは、AV業界が「ユーザーが求めていること」を先回りし、サービス過剰になってしまったのではないか、とも発言。ジャンルがあまりにも細分化されたことも含め、一度縮小して再出発することも必要ではないか、とも語っていました。



 また、氾濫する性情報から子供を遠ざけるということは現実的に不可能なので、いかに世の中に溢れている性情報の虚実を見分けるか、そういった手助けをすることで、よりよい性のあり方を考える機会を与える方が良いのではないか、とも。AVの映像に映し出される行為の裏には、俳優やスタッフなどの様々な「見せるための準備や配慮」があることにも言及し、表面的に真似をすることの危険性も語っていました。



 セックスにはムード作りが大切、という点では、物が散らかった生活感あふれる部屋で気分は盛り上がるのだろうか、といった疑問など、会場が笑いに包まれる場面もありました。ファシリテーターの柴崎さんは、思った以上に男性の来場者が多かったことに驚いたと語っていましたが、逆に男性も萎縮せず、率直に意見や質問が出せる雰囲気になったかもしれません。



 あまり表立って話すことのないテーマだけに、男女の違いだけでなく、男性の間や女性の間でも考え方や感じ方の違いを発見したり、来場者にとっては新鮮な経験となった様子。やはり言葉にしてコミュニケーションする大切さを実感したイベントだったといえるでしょう。



 越谷市では3月14日にも、小室友里さんを招いてのイベント「お互いを認め合う男女コミュニケーション勉強会〜大人のセックスコミュニケーション・スタートアップ〜」が開かれるとのことです。

取材協力:怒れる女子会@越谷

(取材・撮影:咲村珠樹)

おたくま経済新聞

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