若い熱狂的信者の量産 幸福の科学は新宗教の中でトップクラス

2月27日(月)11時0分 NEWSポストセブン

新しい信者の獲得が難しくなった幸福の科学

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 地下鉄サリン事件から22年が経ち、新宗教の信者数は激減している。有力教団のデータからその傾向は明らかだ。


 平成に入ってからの1990年、地下鉄サリン事件後の2000年、最新版の2014年で比べると信者数の推移は以下の通りだ(文化庁・宗教統計調査)。


■天理教 183万人→175万人→116万人

■立正佼成会 634万人→574万人→282万人

■PL教団 125万人→111万人→90万人

■霊友会 320万人→170万人→134万人

■生長の家 83万人→85万人→52万人


 それは現在与党の一角を占める創価学会もまた同様だと宗教学者の島田裕巳さんが指摘する。


「創価学会が公表する会員数は827万世帯で近年は変化がなく、実態はよくわからないが、実際の信者数は、現在250万人ほどと推定されます。今は高度成長期に入信した信者の高齢化が進み、宗教的な活動を行うことが難しくなった。昔ほど人間が移動しなくなって地域に定着したため、各地でゆるい地域共同体ができて宗教に人間関係を求める必要も減っています。


 しかも現在、悩みを持つ若者が頼るのは神ではなく、スマホやネットです。スマホはすぐ答えが返ってくるが、宗教は修行などで時間がかかり、スピード感のなさが若い人には物足りない。実際に米国の研究では、無宗教者とネット利用者の増加に相関関係があることがわかり、『グーグルは神の最大の敵』『神殺しの犯人』といわれています」


 かつてと比べて現在は、新宗教の勧誘が難しくなっていると指摘するのは、カルトに詳しい紀藤正樹弁護士だ。


「1995年のオウム真理教事件後、新宗教が駅前などで行う街頭での伝道活動が減りました。新しい信者の獲得が難しくなり、教勢が停滞するようになりました」


 新宗教が一斉に冬の時代に入るなか、生き残りを賭けて大きく動いたのが女優・清水富美加(22才)が出家した幸福の科学だった。幸福の科学を長く取材しているフリーライターの藤倉善郎さんが解説する。


「幸福の科学は1991年のフライデー事件後、霊言の公表をやめてメディアと対立しなくなったが、2009年ごろから再び活動が活発化しました。政治団体の幸福実現党を結党して大規模な宣伝活動を開始し、大川隆法総裁は霊言を連発するようになり、広報活動の一環としての映画製作件数も多くなりました。2012年の映画『ファイナル・ジャッジメント』は、中国を想起させる国が日本を侵攻し、それを宗教が救うというストーリーです。それまでの宗教的な活動に政治的な意味が加わるようになりました」


 新しい信者の獲得が難しくなった幸福の科学は、2世信者の「宗教教育」を徹底するようになったという。


「幸福の科学は小中高生向けの教団内学習塾、中学校と高校などを運営しており、2世信者への教化教育を徹底しています。高校生の2世信者の中には、『主(大川教祖)に命を捧げる!』と演説する者もいるほどです。



 若い熱狂的信者を量産する点では、幸福の科学は新宗教でもトップクラスです。こうした信者が成人して社会人や教団職員になることで、教団内部の結束がより強固になります。清水富美加さんもまさにそうした2世信者の1人でしょう」(藤倉さん)


 しかし、國学院大学神道文化学部の井上順孝教授は、今後は親から子への「信仰継承」も難しくなると指摘する。


「情報化とグローバルの時代になり、これまでの常識が通用しない世の中になりました。これから先は、“親が信者だったから自分も信者になる”という構図が壊れて、親から子への継承も減ることでしょう。


 これは新宗教や伝統宗教に限らず宗教全体に起こっていることで、これまで当たり前とされた先祖供養や葬式のやり方も変わってきているのが一例です。時代の変化に応じて宗教もまた変わっていくんです」


 では、このまま宗教は役割を終えてなくなっていくのだろうか。井上さんはいくら時代が変化しても、「変わらないもの」もあると主張する。


「それは、“生きている意味”を求める人間の心です。たとえば病気になったら、人間はその病気の原因やメカニズムを知るだけでなく、“どうして私は病気になったのだろう”と意味を考えます。


 実際に今、宗教に入信するのは、不幸があったり、困っているのに手を差し伸べてくれる人がいなかったり、難病に苦しんでいたりして、“なぜ私は苦しいのだろう”と考える人ばかり。そういう人は“答え”がほしくて宗教に入信します。こうした深い悩みをスマホやネットで解決するのは難しい。いつの時代も、宗教が苦しんでいる人に“答え”を与えてくれることに変わりはありません」


 信仰が人を救うこともある。「東北に元気を」「日本を信じよう」——さまざまな掛け声とともに、人々が心を1つに祈り、犠牲者を悼んだ3.11が今年も間もなくやってくる。


 2011年3月11日に東日本を襲った大震災は、1万8000人以上の死者・行方不明者を出し、さらに原発事故で多くの家族が故郷を追われ、分断された。そんななかで宗教は、人々の大きな拠り所の1つになったと作家で僧侶の玄侑宗久さんが語る。


「震災で大切な人を亡くした人々は頭では喪失を理解はしていても、心がついていかずに苦しみました。そんな時、仏教の葬儀や儀式の力を再発見することも多かったと思います。深い悲しみにとらわれた人が、祈りの時と場所を得られたことが大きかった。


 どんな宗教かを問わず、人は苦しみや悲しみにとらわれた時、“目に見えないものがわれわれを支えている”という宗教的な心を必要とします。今は雇用が不安定だったり、一部で格差も広がっています。先行きが見えず、不安の多い時代だからこそ、現実とは少し違った価値観を提供する宗教の出番があるのです」


※女性セブン2017年3月9日号

NEWSポストセブン

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