「自分は宿題をしたことがない」藤本美貴が掲げるまさかの<子育て大方針>とは?「私のような人生を送ったところで同じになるとは限らないし、それが幸せかもわからないから」
2025年3月1日(土)12時0分 婦人公論.jp
(以下写真=本社・武田裕介)
ソロ歌手としてデビュー後、お笑いコンビ「品川庄司」庄司智春さんと結婚した3児の母・藤本美貴さん。大人気のYouTube「ハロー!ミキティ」から名言を集めた書籍『ミキティ語録−前しか見ない』が今、話題に。その藤本さんと対談するのは、お笑いトリオ「森三中」大島美幸さんの夫で1児の父・鈴木おさむさん。鈴木さんは放送作家として『SMAP×SMAP』などの人気番組を手掛けた後、現在ではベンチャーファンドの代表を務めています。仕事も育児も頑張るおふたりが、夫婦や家族との向き合いかたを語ってくれました。(全三回の第二回。構成=かわむらあみり 撮影=本社・武田裕介)
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みんな「何も考えていない」と言ってたのに
鈴木 受験についてはどう考えていますか? うちは小学校に入る時に勉強をしているかまわりに聞いたら、「何もしていない」と言ってたので、夫婦でその話を信じて何もしなかったんです。でもまんまと騙されたみたいで。(苦笑)みんなこっそり、勉強させていますよね?
藤本 させてますね。思い出すと、幼稚園の年中ぐらいですでに、「あいうえおを書けます」というお友達や、公文に通わせている家もありました。うちは長男が小学校受験をしたんですが、「ひとまず、ひらがなはちゃんと書けなくてもいい」と、数の数えかたや丸の描きかたとかを優先して勉強させた覚えがあります。
鈴木 うちは振り返ると、子どもに何も無理強いしなかったことで、得たことがあると思う反面、勉強には苦手意識を持たせてしまった。そもそもまず、ひらがなが書けるようになるのが遅かったんですよね。それでいて、気づいた時には数字も含めて、勉強全般が苦手になっていました。
藤本 私は中卒、夫は高卒で、二人とも全然勉強してこなかった。だからこそ「これはマズい」と思うところはあって。めちゃくちゃ頭がよくなってほしい、とまで言うつもりはないんですが、最低限やったほうがいいらしいよ、とは言いがち。でも「本当に勉強をさせたほうがいいのかな、どうなのかな?」と、どこかで思いながら過ごしています。
もしかしたら学習障害的なこともあるのかも、と
鈴木 よくわかります。そんな中で、うちはゲームで勝手に5万円課金した時「罰として九九を覚えなさい」と。「覚えたらiPadを返してやる」と言ったら、勉強が嫌いながらも必死に机に向かっていました。(笑)また「もしかしたら学習障害的なこともあるのかも」とまわりから言われて。それで学習障害やADHDなども含め、勉強にコンプレックスや苦手意識を持つ子どもに向き合ってくれる塾のような「LITALICO」を勧められて。そこに通わせることにしました。
藤本 粘り強い先生がいる、とかそういうところなんですか?
鈴木 それが全然違うんです。衝撃を受けたんですが、子どもの様子を見てもらったら「お子さんは概念を置きざりにしています」とか塾から言われたんです。たとえば「右と左」なら、右と左がどっちか、ということだけではなく「右と左とはそもそも何なのか?」という概念を伝える。
藤本 えっ! 考えたことない。
鈴木さん「右と左なら、右と左がどっちか、ということだけなく、右と左とはそもそも何なのか? という概念まで学んでくる」
鈴木 特に勉強が苦手な子だと、そのあたりを考えずに「答え」だけ読んで覚えてしまおうとするわけです。それでは物事を考えるのに必要な概念を置きざりにしてしまう、と。「半年かけて概念を取り戻します」と塾が言うので、どうするのか様子を見ていたら、これがびっくりするぐらい褒める。あとは事前に、息子の笑福(えふ)の好きなキャラクターをこっそり僕に聞いておいて、教材に好きなマーベルやポケモンをしのばせたり。まずはビジュアルで興味を持たせて、勉強っぽくなく会話を進めていくという…。あくまで笑福の場合ですが。
藤本 すごくいいですね。
鈴木 それでなんと半年後、自分から進んで宿題をやるようになりました。
藤本 すごい!
鈴木 なので学ばせて本当に良かった、と思っていて。その一方で、そういう経験や状況を積極的に話すことも必要だなと。自分の家の中のことは、どうしても隠しがちですし。
子育てで後悔していること
鈴木 子育てで藤本さんが後悔していることはありますか?
『ミキティ語録−前しか見ない』(著:藤本美貴/CCCメディアハウス)
藤本 意外とないかもしれないですね。小学校受験をしたときに、幼稚園生にぎゅうぎゅうに教え込んだことに意味があったのかな、子どもらしさを失ったんじゃないかな、とどこかで思っていたりはするけど。でも、同時にやって良かったかな、とも思っていて。とにかく子どもたちが後悔しないよう、いろいろなことをやらせてあげたい。
鈴木 うちの場合、妻は芸人、僕は大学を中退して放送作家をやっていたわけなので、周りには芸能人夫婦が多い。そして芸能人夫婦の子どもはなぜか、みなインターナショナルスクールに入れたり、お受験をしがち。その時、僕は心の中で、相手に投げかけるんですよ。「ちょっと待て、お前はどうやってのし上がってきたのか?」と。(笑)
藤本 めちゃくちゃよくわかります。(笑)
鈴木 「庄司よ。お前はどうやってのし上がってきて、どうやって芸人になって売れたんだ」と。(笑)とにかく、どの道を進むにしても、なるべく子どもの選択肢を広げてあげることが、僕らにとってできることだとは思うんですが。ちなみに、藤本さん自身が小6の時なんかは何をしてました? ちなみに僕は、ずっとテレビを見ていましたが。
藤本 何をやっていたかという、記憶すらないですね…。
鈴木 もちろん、受験を控えてしっかり勉強をしていた、という人もいるでしょう。そして人生のほとんどを勉強に費やすことで、生まれるものもあると思う。思うんですが…それって付き合う親もめちゃくちゃ大変ですよね?
自分のことは棚に上げてなんぼ
藤本 おさむさんが子どもに怒ることもあるんですか?
鈴木 人を傷つけることを言ったとか、酷い嘘を言うとか、モラルにあたる部分ではよく怒ります。藤本さんは子どもの嘘に気づいたとき、どう対処していますか?
藤本 子どもってすぐバレる嘘をつきますよね。
鈴木 大人って、子どもへ「嘘をつくな」と言いがち。でも、大人だって嘘をつくことがある。だからその怒りかたは有効じゃない、と最近思うようになってて。それでよく嘘に対しての向き合いかたを考えるんですよね。
藤本 もし嘘だろうなと思ったら、この先嘘がつけないぐらい、「どうしたの?」と詰め寄る時はあります。
鈴木 でも子供たちって、かつての自分がやってきたようなことを、今やっているわけじゃないですか?
藤本 そうなんですよね。そんなこと言ったら、私なんて人生で宿題をやったことがない。(苦笑)
鈴木 でしょ。(笑)
藤本 子育ては”自分のことは棚に上げてなんぼ”だと思っているので。
鈴木 なるほど!
藤本 私のような人生を送ったところで、同じになるとは限らないし、それが幸せかもわからないから。
鈴木 そこに対して自問自答はすごくあるんですよ。自分でやってこなかったことをやらせないといけないかもしれない。一方で自分だって嘘をついてきたし、人を傷つけてきた。そういう意味でいくと、確かに自分を棚に上げていかないと育児はやれないですよね。
藤本 絶対やれないです。(笑)
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