鈴木おさむ SMAP解散時「考えうるあらゆる嫌なこと」を一気に経験してメンタルがダウン。そんな時に僕を救ってくれたのは…藤本美貴と鈴木おさむが考える<夫婦の理想形>

2025年3月2日(日)12時0分 婦人公論.jp


(以下写真=本社・武田裕介)

ソロ歌手としてデビュー後、お笑いコンビ「品川庄司庄司智春さんと結婚した3児の母・藤本美貴さん。大人気のYouTube「ハロー!ミキティ」から名言を集めた書籍『ミキティ語録−前しか見ない』が今、話題に。その藤本さんと対談するのは、お笑いトリオ「森三中大島美幸さんの夫で1児の父・鈴木おさむさん。鈴木さんは放送作家として『SMAP×SMAP』などの人気番組を手掛けた後、現在ではベンチャーファンドの代表を務めています。仕事も育児も頑張るおふたりが、夫婦や家族との向き合いかたを語ってくれました。(全三回の第三回。構成=かわむらあみり 撮影=本社・武田裕介)

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出世を諦めた男性が始めがちなのが「マラソン」?


鈴木 今、ご主人の庄司が49歳でしょ? 僕は52歳なんですが、今更年期なんですよ。

藤本 男性も50歳過ぎたくらいから更年期がある、といいますよね。

鈴木 15年ぐらい前から、ようやく日本でも「男性更年期」について言われ始めています。僕もイライラしたり、血圧が上がっているような感じがあったり。放送作家を辞めた理由のひとつには、その影響もあります。そもそも更年期になった理由として、ストレスが溜まる仕事の影響もあったと思います。放送作家を辞めてからも、もちろん忙しいんですが、以前感じていたようなイライラはなくなりました。

藤本 50歳以上の旦那さんがいる方から「その年齢くらいになると、夫はちょっと変わるよ」と言われたこともあります。

鈴木 結婚して今何年ですか?

藤本 16年ぐらいです。

鈴木 うちは23年なんですが、50歳になると亡くなる人も増えてくるし、いろいろなことを考えます。そのあたりは旦那さんの性格にもよると思うし、庄司はあまり変わらなそうだけど。特に会社員の場合、50歳以上くらいから、出世で負けた人が出てくるんですよ。

藤本 それはストレスになりますよね。

鈴木 これを言うと、いつも怒られるんですが…。僕の周りの人で、出世とかを諦めた人はだいたいマラソンを始める。実際、Facebookを見ていると、かなりの数の人がマラソンをしていて。

藤本 えーっ! 面白い。でもそう言われると、そんな目で見てしまいますね。

鈴木 仕事と戦うのではなく、自分と戦い始めるんです。それを言ったら、ある人に「俺はまだ諦めたわけじゃない!」と言われましたが。(苦笑)最近だと、50代以降の熟年離婚も多いじゃないですか?

藤本 やること、やれることが少なくなっていく結果なのかもしれませんね。有り難いことなんですが、自分の場合、仕事を通じていろんなことをやらせていただく機会が多くて。そんな事情もあって、若い頃のような新鮮な刺激が、生活の中からどうしても減っていくから、マラソンを始める気持ちもちょっとわかる。マラソンではないとしても、新しい趣味を見つけたほうがいいのかな、とは思いますよね。

理想の夫婦像


鈴木 ご両親は健在ですか?

藤本 私の父は亡くなりました。

鈴木 うちも4年前に父が亡くなって、実家には母が一人で暮らしているんですよ。それで毎日、父が好きだったご飯を作っては仏壇にあげている。フライとか。

藤本 ちゃんとしたご飯だ。

鈴木 そう。毎日、ご飯を用意しているのを見て「夫婦って何なんだろう」とよく考えるんです。亡き父に依存することで、母はメンタルを保つことができている部分も確かにある。でも、もともとは他人同士。だから、すごく不思議だなって思うんですよね。それぞれの形があって、同じ夫婦はいない。ヒロミさんのところなんか、話を聞いているだけで面白いし。

藤本 それでいてヒロミさんは「絶対に離婚しない」って常々言ってますよね。

鈴木 藤本さんにとって、理想の夫婦像はあるんですか?

藤本 私は何に関しても、理想を抱かないタイプなんです。その時々にやりたいことを一緒にやれればいいかなと。あまり理想を抱くと、ちょっと違ってきたとき「こんなはずじゃなかった」と考えるのが嫌で。鈴木さんにとっての理想像は?


藤本さん「私は何に関しても理想を抱かないタイプなんです。あまり高い理想を抱くと、ちょっと違ってきたとき、こんなはずじゃなかったと考えるのが嫌で」

鈴木 樹木希林さんと内田裕也さん夫婦ですね。

藤本 一緒に住んでない!

鈴木 ははは。(笑)もしくは、中村玉緒さんと勝新太郎さんかな。

藤本 勝さん夫妻も、お一人ずつ、しっかり独立しているイメージ。

鈴木 樹木さんと中村さん、お二方ともに、とても大変だったと思うんですよ。でも、個としてもお二人は強かったし、何かが起きても揺らがないくらいに、ご主人と強い魂で結ばれていたというか。理想的です。

藤本 私は、昔流れていた「チャーミーグリーン」のCM(老夫婦が手をつなぐCM)のような感じがいいですね。おじいちゃんとおばあちゃんになっても手をつないで、子どもが大きくなって家からいなくなっても、ふたりで楽しく過ごしたいな。

嫌なことだらけだった時でも


鈴木 僕は放送作家をやってきたなかで、いろいろなことを経験してきました。その間、常に妻はどんな時も横にいるわけですよね。なんか夫婦って面白いなと思います。


『ミキティ語録−前しか見ない』(著:藤本美貴/CCCメディアハウス)

藤本 「ハロー!ミキティ」で質問を受けていると、旦那さんのことが理解できない、夫婦がうまくいってない、と相談をしてくる方が多くて。「どうしたらいい?」と相談されても、私自身にその経験がないものもあるから、何と答えればいいのか、よく考えるんです。考えた結果、お互いの愛情表現や向き合うところを一緒にすると、意外とうまくいくのかもって今は思っています。

鈴木 SMAPが解散した前後、2015年から16年くらいの間、僕はものすごく大変でした。それこそ自分の人生の中で考えうる、あらゆる嫌なことをその期間で一気に経験した。メンタルが辛い時でも家に帰ると悲惨な状況とは、まったく関係のない空間が、そこにあるんですよね。当時は子どもが生まれたばかりでした。


鈴木さん「家が別の空間になってくれて、マルチバースとでも呼ぶべきというか。そのおかげで、僕はすごく救われたんです」

藤本 いろいろ大変だったんですね……。

鈴木 家が別の空間になってくれて。マルチバースとでも呼ぶのがふさわしいというか。そのおかげで、僕はすごく救われたんです。

藤本 なるほど。でもそうやって世のパパたちも、会社で嫌なことがあっても、家庭で救われるような。家がそんな空間になればいいですよね。ストレスを持ち込まなくてもいい空間。

妻が「もう仕事に行くな」と


鈴木 その前、それこそ子どもが生まれる前にもちょっとしたトラブルがあって。

藤本 そうなんですか?

鈴木 結果、自分ではどうにもならなくなってしまって、そっちでは完全にメンタルがやられたんですよ。放送作家を20年やってきて、初めて身体がまったく動かなくなった。にっちもさっちもいかなくなった様子を見て、妻が「もう仕事に行くな」と、家から出してくれなかったんです。それで1週間、本当に休みました。

藤本 大島さんが…。

鈴木 さらに妻が「どうしても許せない!」とトラブルになった相手の方と5時間ぐらい電話で議論して。そうこうしている間に、僕は復活しました。最終的に妻は、相手のところへ乗り込もうとしていたらしくて。

藤本 ええー! 

鈴木 「ビートたけしさんのフライデー襲撃事件の再現だ」と妻は言っていて。ギャグと受け取っていたのだけど、後から本当に乗り込む準備を進めていたことを聞いた時、なんだか気持ちが落ち着いたんです。(笑)

夫婦は他人。だけど、ものすごくチーム


藤本 夫婦は他人。だけど、ものすごくチーム。

鈴木 夫婦って、笑うことより、実は怒ることや悲しむことが多いですよね?

藤本 はい、悩んだりね。

鈴木 でも、それがあるからこそ、笑えるわけです。一緒に怒れるのとかって、意外と大事なことだと思うんですよ。

藤本 夫婦はもちろんですが、家族ってそういうものですよね。

鈴木 そんな感じがします。性格的になさそうですが、たとえば庄司がものすごく仕事で怒った時に、藤本さんが一緒になって怒ってあげたりするのは、とても大事。

藤本 すごくいいことをおっしゃいました。私もそうだと思います。

鈴木 一緒に怒って一緒に悩む。それで一緒に笑えるのが、きっと夫婦の理想形ですね。

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