「愛煙派VS嫌煙派」記者座談会 飲食店禁煙案めぐり大バトル

3月2日(木)16時0分 NEWSポストセブン

店の業態や広さでも議論分かれる受動喫煙対策(写真:アフロ)

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 喫煙場所をめぐる議論がかまびすしい──。厚生労働省が近々、国会に提出すると見られている受動喫煙対策を目的とした新法案は、原則として飲食店などの建物内を「禁煙」とする罰則付きの強化策が盛り込まれる見込みだった。


 ところが、与党・自民党内からも「厳しすぎる!」「禁煙ではなく分煙大国を目指すべき」といった反対意見が噴出。すんなりと法案が通るのかは微妙な情勢となっているなか、 「ヘビースモーカー」「他人が煙草を吸うのは勝手だが、煙が自分にかかるのは避けたい」「最近電子タバコに切り替えた」など、喫煙についてさまざまなスタンスをとる3人の雑誌記者が、今後望ましい“たばこ環境”について、大いに語り合った。


【座談会出席者】

●A氏(46)週刊誌記者/20代の頃から吸い続けるヘビースモーカー。「たばこを吸わなきゃ、いい原稿も書けない」

●Bさん(38)情報誌女性記者/基本的には嫌煙派。「仕事仲間の服についたたばこの臭いにも敏感に反応してしまう」

●C氏(40)経済誌の記者兼編集者/昨年、紙たばこから電子タバコに。「家族は喜んでいるが、“ホタル族”は変わらず……」


 * * *

A氏:新しい法案が通れば、飲食店やホテル、駅や空港ビルなど、とにかくいろんな場所の屋内で、基本的にたばこが吸えなくなるんだよね。これは僕のような愛煙家にとってはツラすぎる。


C氏:“日本は、受動喫煙対策で遅れをとっている”──というのが規制強化の大きな理由らしい。2020年には東京オリンピックも開かれるとあって、このままでは「世界の恥」だと厚労省もマジになってるようだ。


Bさん:海外では、レストランでも全面禁煙になっているところが多いらしいとか? ただそのかわり、オープンなテラス席ではOKっぽいイメージもあるけど、どうなのかな。


C氏:日本では、今は屋外も路上喫煙禁止を掲げているエリアが多いから、千代田区のように、「ちょっと外で吸ってくる」といって2000円の罰金(過料)を取られる可能性だってあるよね。そもそも、東京都内でテラス席があるような店を探すほうが難しい。


A氏:そうそう。店の中でも外でも吸えなくなったら、どこに行けばよいのやら……。僕の行きつけの焼鳥屋なんて、カウンターの焼き場は初めからモクモクだし、客の大半はたばこを吸っている。さすがに、なまものや刺し身が並べられる寿司屋のカウンターでは僕もたばこは控えるけど、焼鳥屋や焼肉屋みたいな店は許してほしいな〜。


C氏:いま法案の調整が難航しているのも、そこらしい。居酒屋や焼鳥屋、おでん屋は店の規模によって例外を設けようとか、BARやキャバレーといった、食べ物メインではなくお酒を楽しむような店は喫煙可能にしようとか、いろいろな案が検討されているみたいだね。


Bさん:それって、店の種類の問題なのかな? BARの中にだってしっかり食事も出すようなダイニングバーだってあるし、居酒屋の中にはそもそも禁煙にしているお店もある。そうやって店の種類によって喫煙の可否を分けるのって、実際問題難しそう……。


C氏:要するに、マスターが一人でやっているような小さな店で、なおかつお酒とたばこを嗜んでいる人が多いような業態は、国が許可基準にしようとしている喫煙室を設けることが難しいから、店内でのたばこもOKにしようとしているんだよね。報道では30平方メートル以下の店は例外にするとか議論が行われているらしい。


A氏:麻生大臣が「たばこが吸えないシガーバーには、もう行かない」と発言したように、店によっては喫煙規制は死活問題だからね。このままでは、たばこを規制するなら酒も規制しろっていう話も出かねないよね。


 30平米っていったら約9坪でしょ? しかも、厚労省案は客席面積じゃなく厨房も入れた延床面積みたい。9坪となると、さっき話した僕の行きつけの焼鳥屋なんて、お店そのものを少し大きくしくらいの広さ。新宿のゴールデン街もそうだけど、そんな小さな店は日本中の全飲食店の1割か2割しかないだろうから、何のための例外なのかも分からない。


C氏:そう。神奈川の受動喫煙防止条例では、延床ではなく客席面積で100平方メートル以上の店に専用の喫煙室設置が義務付けられていることを考えると、国の案は相当厳しいといえるね。


Bさん:よくよく考えると、一律に“喫煙室の設置”というのもよく分からない。


 私はたばこは吸わないし、吸おうとも思わないけれど、狭い喫煙所でたばこを吸っている人を見ると、少し気の毒になる。小学校の掃除用具入れのようなロッカー型の喫煙所が注目されているみたいだけど、あんな中で吸うほうもイヤだと思うな。


C氏:たしかに。地方に行けば、だだっ広い飲食店もあるから、そこにわざわざ喫煙室を設けるぐらいなら、分煙でもいいんじゃないかと思う。すべての屋内を全面禁煙にする案は、手っ取り早いのかもしれないけれど、そうなったら屋外の喫煙環境をもっと整えなければ、Aさんのようなスモーカーは完全に行き場を失っちゃう。


A氏:そういうCさんだって、電子たばこに変えたとはいえ、どこでも自由に吸える環境ではないでしょ。


C氏:そうなんですよ。最近、禁煙の店でも「電子たばこならOK」というところも出てきて少し嬉しいんだけど、路上の扱いも含めて普通の紙たばことの線引きが明確になっていないから、結局、喫煙可能な場所を探す生活に変わりない。


Bさん:スモーカーはみんな大変だね。


A氏:いまは店の自助努力で分煙も進んでいるし、四方を囲わなくても、たばこの煙が漏れないような換気技術や浄化設備もあるでしょ。何よりもスモーカーのマナーについては、昔とは比べものにならないほど啓発活動がすすんでいる。


 いまや、たばこを吸う人は少数派になっているわけだし、わざわざ罰則までつけて法案化して何の意味があるんだろう。東京五輪でも、現状の分煙社会をもっとすすめることで、日本人のマナーの良さも同時にアピールできるんじゃないかなと思うんだけど。


C氏:すでに受動喫煙対策は自治体ごとにさまざまな取り組みが行われているから、東京も東京の事情に合わせて決めるべきとの声はあるよね。ただ、かつて東京都が有識者を集めて規制強化の条例制定を検討したけど、結局は議論がまとまらずに先送りになったんだ。


A氏:たばこ自体が法で禁止になるなら諦めるけど、認められている以上は、吸える環境も守ってほしいというのが本音だよ。


Bさん:それもそうなんだよね。結局のところ、たばこを吸わない人にとっては、吸う人が煙がかからない配慮をしてくれたら、それでいいわけで。最近ネットで話題になってたけど、「吸っていい?」って“一応”聞いておきながら、こちらの答えを聞かずに目の前で吸い始めるとか絶対ダメ!


 世界がどうとかじゃなくて、日本には日本の事情があるわけだし、“礼儀正しい日本人”としてアピールできたらいいんだけどね。

NEWSポストセブン

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