【TAAF2016】日本動画協会の主張を鵜呑みにする東京都!「東京アニメアワードフェスティバル2016」の破綻は待ったなし?

3月3日(木)20時0分 おたぽる

「東京アニメアワードフェスティバル2016」公式サイトより。

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 3月18日から21日まで東京・TOHOシネマズ日本橋で開催が予定されている「東京アニメアワードフェスティバル2016」。これまで、報じてきたように、事務局である日本動画協会が海外からのコンペティション応募作の審査を放棄し、国内外からの不信が募る事態になっている。

 さらに、日本動画協会側は公式サイトで昨年一方的に“解任”を宣言したフェスティバルディレクター・江口美都絵氏を非難すると共に、当サイトに対しても「虚偽内容の記事」を掲載したとして編集部と執筆者に合計7,200万円の支払いを求める内容証明などを送付してきている(http://otapol.jp/2016/02/post-5718.html)。

 そうした中、雲隠れしていたこの事業を所管する東京都産業労働局観光部振興課の若林和彦課長が、ついに特別取材班の前に姿を見せた。

 だが、課長はTAAF2016は民間のイベントであるとして、5,000万円を出資しているにもかかわらず、東京都は答える立場にないという言い訳に終始。さらに迷走する発言の中で、ついには実行委員に名を連ねていた江口氏が、「実行委員だったことはない」とまで言い出したのだった。

 今回は、その取材の一部始終をお知らせしよう。


──現状でも、TAAF2016は問題なく運営が行われていると考えているのですか?

若林 私どもとしては、問題なく運営されていると考えています。開催に向けてですね、漏れなく準備が、フェスティバルディレクターも新しく変えて、準備が進んでいると聞いていますので……。

──実際に審査が行われていない作品があることについては?

若林 審査していない……まず、その経緯を確認したところSFD(註:shortfilmdepot.comはフランスのSauve Qui Peut le Court Metrage Associationが運営する映画祭に作品を応募するためのプラットフォーム。なお、SFDへの取材については、別途記事掲載予定)で受付をしていたのですが、この業務を行っていたのが江口さんだった。日本動画協会のサイトでも書かれていますが、SFDが応募作品を取りまとめて引き渡すというやりとりになっていた。

 そのところ、業務委託契約解除後の総額の支払いを条件にSFDの管理している作品を引き渡すという申請があったという話になっていまして。SFDとしては、係争中であるから引き渡さないとなっていたところです。

 日本動画協会として、再度、TAAFのほうに応募し直してくださいという告知を出した。それで、申込みをし直した作品が173点ありまして、そういう意味でSFDに申込みが530点でしたので、差し引きの部分は確かに審査できないことになっている。

 もうひとつ、日本動画協会のほうは再三にわたってSFDに対して、引き渡しの申し入れを行っていたということでございます。

──SFDが引き渡しを拒否している?

若林 それについては、よくわからないと聞いています。

──SFD側は担当者の突然の変更に対して、実行委員会全員の署名を求めるなどしたが、日本動画協会側から返事がなかったと聞いているが?

若林 それについては、私のほうは聞いていないのですが。

──つまり、聞き取りは日本動画協会からしか行っていないのですね。

若林 そうです。

──問題が起きていることを把握しても、情報を収集しようとする気はなかったのですか。

若林 SFDの問題については、交渉自体は東京都としては、それをちゃんとやっていくように、日本動画協会に強く申し入れはしていました。

──どの時点で?

若林 10月の段階で。

──日本動画協会は12月下旬に江口氏に対して仮処分が行っているが、これについては。どの時点で知ったのか。

若林 仮処分の申請については……10月の段階だっけ……?(註:隣に座る部下に尋ねる)ええ、申請については10月の段階で把握しておりました。

──そういった状況でも、東京都は第三者として仲裁をする意志はなかった。

若林 あくまでも、窓口である法人との契約の部分もありますので、係争中の部分については、そこに立ち入るのではなくて、日本動画協会に対して、ちゃんとやれよと強く申し入れをしていたということですね。

──申し入れはどういう形でおこなったのか。

若林 口頭で。

──誰に対して?

若林 日本動画協会の事務局に対して。

──事務局の誰ですか。

若林 松本悟事務局長です。

──事務局である日本動画協会が実行委員をクビにしたこと自体が、おかしいことだと思うが、実行委員会に対して働きかけなどは行っていないのか。

若林 え〜と、実行委員会の委員ではないです。

──いや、実行委員会の委員ですよね? 少なくとも当方が入手している8月時点の実行委員会名簿にはそう記してある。

若林 いえ、フェスティバルディレクターであって、実行委員ではありません。

──8月の時点でも?

若林 8月の時点でもそうです。

──取材班の入手している資料と違いますね。

若林 そこ、違うと思いますけど……実行委員会の委員ではないです。それは、ご確認いただいてもよろしいかと。

──本当に間違いないですか?

若林 間違いないです。江口さんは、実行委員会の委員ではないです。

──そこは、その主張で承っておきます。では、東京都ではSFDが作品を引き渡さない理由を把握していないということですね?

若林 そうです。

──現状、SFDの主張を日本動画協会からは聞いていない?

若林 そうです。

──情報収集が不足されているのではないか?

若林 あくまでも、東京都としましては、なんとか、そこの手はずが取れるように働きかけていたところです。

──働きかけっていうのは、松本さんに言うこと?

若林 そうですね。

──10月からすでに5カ月を経過しているが?

若林 そこはインターネットサイトのSFDに対して、作品を引き渡すようにお願いしているということですね。交渉しているということで、聞いていました。

 それで、一つは江口さんを解任したことで、この事態が発生したという事実がありますので、江口氏のほうから、支払いを条件に引き渡すと主張しているので、仮処分申請を行ったと聞いています。

──お金の支払いで、何が問題になっているかは東京都は把握していない?

若林 把握はしています。

──どういった調査で把握を?

若林 報告を受けています。

──どなたから?

若林 事務局からです。

──いつの段階ですか?

若林 解約の段階で、お金の支払いをどうするかというのも聞いていたので、内容については聞いています。

──文書ですか、口頭ですか?

若林 第一義的には、口頭で聞いています。

──その後、11月に実行委員会では江口氏を呼んで話を聞きましたよね。

若林 実行委員会の内容については、公表できないということで。

──公表できない理由は?

若林 東京都としては、実行委員会の承諾を入れる必要があるので。

──どうやって、承諾を取ればよいですか?

若林 実行委員会に対して、公開の手続きを取っていただけると。

──どちらに連絡をすればよいのでしょう?

若林 実行委員会の事務局を行っている、日本動画協会へ。

──その日本動画協会から「おたぽる」編集部と、記事の執筆者に対して合計7,200万円払えという通告がきている。これは、ご存じですか?

若林 え〜、知っております。

──いつの段階で?

若林 内容については、法的措置を取るという連絡は受けました。

──何日に?

若林 詳しい資料はいまないんですが……。

──口頭ですか?

若林 口頭でも受けています。

──それについて、東京都はどう考えているのか。

若林 それは、日本動画協会が独自に行っているものと認識しております。

──日本動画協会の通告を、東京都は認めるのか、認めないのか?

若林 ……。

──取材し執筆している記事に対して、虚偽であると主張している。編集部からは、代理人に対してどこが虚偽か質問状を送付したが回答がなされていない。このような状況でも、東京都は運営上問題はないと判断している?

若林 あの、あくまでも。そうですね、日本動画協会の判断だと認識しているので、私どもはそれについて、どうこうを述べる立場にはありません。

──問題あると思ってる、思ってない?

若林 私どもは、どうこういう立場にはないと。

──実際、東京都が共催し5,000万円を出資している。その中で、東京都の委託先が行っているのに、東京都は関係ないと?

若林 あくまでも、日本動画協会独自の判断で行っているというふうに認識している。

──東京都は関係あるのか、ないのか、どっちでしょう?

若林 司法の問題は、東京都が関与する問題ではないと考えています。

──一切関知しないし、責任もない。

若林 責任云々ではなくて、あくまでも司法でも裁判上の話ですので。

──いや、この通告書は嫌がらせですよね。どう思います?

若林 そこについては……。

──通告書の原因となっている記事は読みましたか?(http://otapol.jp/2016/01/post-5425.html http://otapol.jp/2016/01/post-5487.html)

若林 見ております。

──虚偽ですか、どうですか?

若林 あの〜、私どもでそういう意味では700件は、そうではありませんし……。

──ほかの部分は?

若林 今すぐどうこういう部分はできないですけれども、あくまでも、こちらについては日本動画協会の判断だと。

──あなたは、どう思いますか?

若林 私ですか?

──はい。

若林 私もお互いの司法の関係のやりとりなので、コメントする立場にないと。

──いや、記事を読んだ感想をおうかがいしている。

若林 記事の感想について、私が述べる場面ではないと思いますので。

──記事に真実性があると思っているのか、思っていないのか?

若林 私としましては、日本動画協会からの情報をもらっているので、そことの数字の違いはあると思っています。

──この記事は、訴えるような内容ですかね?

若林 そこは、私が述べる立場にはないと。

──つまり、日本動画協会が勝手にやることだから、東京都は関係ない?

若林 日本動画協会が独自の判断で行っているものだと認識しています。

──じゃあ、一切問題なく開催されていると。こちらでは審査していない作品があることを取り上げて問題にしているわけですが、そのような記事が問題なのだと?

若林 すみません、今、手元にないので正確なことは申し上げられないので……。

──じゃあ、お待ちしていますので。読んできてくださいよ。

若林 ちょっとお待ちください。(註:部下と共に5分ほど離席し戻ってくる)お待たせしました。あくまでも、裁判で係争中のものなので、見解を述べるわけにはいかないので……。

──わかりました。現状、東京都が事務局を委託している日本動画協会は取材を拒否した上に突然、通告書を送付してきているわけです。

 こちらとしても、間違いがあれば取材して訂正しなければいけません。そのために、東京都から取材に応じるように働きかけをしていただけませんか?

若林 取材に応じるかどうかも含めて、日本動画協会の判断だと思うので。

──東京都がお金を出しているイベントですよね?

若林 そうですよ。

──お金は出すけど、命令はできない?

若林 あくまでも、こちらについて取材云々というのは、日本動画協会の判断ですよね。

──先日の都議会の一般質問でも、舛添都知事はなるべく情報は公開していくと表明していましたよね。(http://otapol.jp/2016/02/post-5842.html)

若林 話していましたね。

──なら、情報が公開されないのは、おかしいのではないですか?

若林 あくまでも、日本動画協会の判断であると思いますよ。

──ちょっと、電話をしてくださいよ。松本さんに取材に応じるように。できませんか?

若林 ん〜、その取材に応じるようにというのは、日本動画協会の判断になります。

──できませんか?

若林 取材に応じるかどうかは、一民間企業の判断……。

──一般社団法人ですよね?

若林 一般社団法人であっても。それについて、私どもからどうのこうのということは……。

──電話一本もできないということですか?

若林 そうです。

──先ほどの話に戻りますが、当方で入手している8月の実行委員会名簿には確かに江口氏の名前がありますが。

若林 実行委員会の委員ではないですよ。

──どの段階から?

若林 どの段階でも。フェスティバルディレクターは実行委員会のメンバーではありません。フェスティバルディレクターとして参加しているということです。

──そもそも10月の時点で、中心メンバーが解任というのはおかしいことだと思うのですが、日本動画協会からの聞き取り以外に調査をしようと思わなかったのですか?

若林 私どもとしては、あくまでも開催を運営していくことを日本動画協会へ働きかけていくという立場ですので。

──先日、産業労働局長は都議会の一般質問で「今後ともアニメ産業振興を行っていく」旨を話していた。しかし、今年の現状を見ると海外からの協賛もなく、単なるアニメ上映になっている。これは、去年よりもイベントの内容が後退しているように見えるのですけど、どうお考えですか?

若林 私どもとしては、イベントの内容が後退しているとは認識しておりません。

──あくまで、去年と同等レベル?

若林 そうですね。

──去年に比べると海外の協賛なども公開されていませんが?

若林 今日、発表しているのですが、上映の部分は……。

──大使館など海外の諸官庁の協賛は?

若林 まあ、そこの部分はない、今年はないですね……。

──その部分は後退ではないのですか?

若林 後退ではないですね。

──どう認識していらっしゃるのですか?

若林 共催という部分についても含めて、まあ、あの共催がないから後退しているとは認識していない。

──去年と比較して、どうお考えですか? 後退でないとすると、どうなっているとお考えですか?

若林 上映作品にしても、特別上映にしてもコンペディションにしても、去年レベルの内容で公開されると思っているのですけど。

──そうすると、もし今後、問題が発生したらどなたが責任をとるのですか?

若林 仮定の場合の質問には、お答えできません。

──システムとして、責任者がいらっしゃるでしょう。5,000万円は誰の責任で出しているのですか?

若林 舛添都知事です。

──1カ月前になりますが、取材班の電話取材に「すぐに折り返しします」といったのに、1カ月経ちましたよね。

若林 それはですね……まあ、どうして話していいか私自身整理がつかなかったので、もし、お待ちいただいたとしたら大変申し訳ない。

──嘘つきとしか思えないですよね?

若林 嘘つき?

──一晩中、電話を待っていたのですけどね。

若林 ちょっと、さすがに夜遅くなってしまった部分もあって。まあ、その後も、そういう意味でお待ちいただいたとしたら大変申し訳ない。

──覚えていたんですか、忘れていたんですか?

若林 もちろん、忘れていたわけではないですけど。

──いつ頃電話しようと思っていた?

若林 う〜、夜遅く……。

──いやいや、翌日も翌々日も明日電話しようと思っていた?

若林 そういう意味では、そうですね。どう話したらいいか整理がつかない状況でした。

──ずっと、1カ月間?

若林 そうですね、はい。


 最後には、ダイナミックな言い訳までしてきた若林課長。この問題は、東京都の信用問題どころか日本のコンテンツ産業政策そのものが、諸外国から不信を抱かれるものである。しかしながら、東京都にはそうした意識はまったくないようだ。

 都合の悪い部分はひた隠しにする日本動画協会の主張を一方的に信じて、知らぬ顔をする東京都。もはや「TAAF2016」は開催そのものの意義を失ったといえるだろう。国際アニメーション映画祭のはずが、単なるアニメ上映会になっている現実。これを、イベントの破綻といわずしてなんというのか?
(取材・文=特別取材班)

おたぽる

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