『べらぼう』流れてきたうめき声。その先に客の相手をするヒロインが…歴代大河屈指の<胸クソ展開>を視聴者絶賛そのワケは「吉原の本質」「子供に見せられないとかそんな話でなく」「実らない恋の描き方が上手い」
2025年3月4日(火)11時33分 婦人公論.jp
(『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』/(c)NHK)
大河ドラマ『べらぼう』
横浜流星さん主演の大河ドラマ『べらぼう』(NHK総合/毎週日曜夜8時ほか)。第9回「玉菊燈籠(たまぎくどうろう)恋の地獄」が3月2日に放送され、話題になっています。
*以下「玉菊燈籠恋の地獄」の放送内容のネタバレを含みます。
●「玉菊燈籠恋の地獄」あらすじ
市中の地本問屋たちが吉原と手を切ると言い出したために「細見などを作っても、市中で売り広められなくなる」と危惧する蔦重。
そんな中、鳥山検校(市原隼人さん)が、瀬川(小芝風花さん)を身請けしたいと申し出たとの話を耳にする。
その時、初めて瀬川を思う自分の気持ちに気付いた蔦重は、ある行動に出て…。
そして、新之助(井之脇海さん)も思いを寄せるうつせみ(小野花梨さん)を連れて吉原を抜け出そうと、思い切った計画を立てるが……。
自分の気持ちに気付いた蔦重だったが
蔦重のつくった細見の反響もあって、吉原一の花魁となった瀬川は、盲目の大富豪・鳥山検校から身請けを申し込まれます。
その話を知った蔦重は初めて瀬川への恋心を自覚。瀬川に「俺がお前を幸せにしてえの」などと本心を伝えると、年季明けに一緒になることを約束します。
対する瀬川は涙ながらに「心変わりなんてしないだろうね!」と蔦重の胸倉を掴んで詰め寄りますが、蔦重は「あたりめえだろうがよ! おりゃ自分の気持ちに気付くまでに20年かかってんだぞ。心変わりなんかできっかよ」とあらためて想いを伝えるのでした。
その後、瀬川は「もっと価値を高めるため」といった理由をでっちあげて、松葉屋の主人・半左衛門と女将・いねに身請け話を断りたいと伝えます。
一旦はその話に納得したようにみえたいねでしたが、瀬川にマブが出来ていて、その相手が蔦重では、というところまで見抜いており、「お定め破り」となる二人の仲を引き裂くべく画策し始めます。
一晩で五人もの客を押し付けられた瀬川
まずは瀬川に監視をつけてその証拠をつかもうとしたいねでしたが、瀬川と蔦重もそれに気づき、なかなかしっぽを出しません。
そこで「やるしかない」と覚悟を決めたいね。「襲名披露のご祝儀に大金がかかった」といった理由で、瀬川へ一晩で五人もの客を押し付けます。
あまりの扱いに「女将さんは、もう一度四代目瀬川を作るおつもりで?」と伝える瀬川。
しかしいねは「わたしゃ四代目がかわいそうだなんて毛筋ほどもおもっちゃないんだよ。ありゃあ松葉屋の大名跡を潰してくれた迷惑千万なバカ女さ」と話し、瀬川を突き放します。
襖の向う側には…
一方の蔦重。半左衛門から「瀬川と三人で話したいことがある」と言われ、松葉屋の中へついていくと、聞こえてきたのは男のうめき声。
「花魁は…ちょっと長引いているみたいだな」「気持ちが入っちまうと、聞こえ方も違うか?」と蔦重に伝え、襖を少し開く半左衛門。その間からは客の相手をしている瀬川の揺れる背中が…。
思わず顔を背ける蔦重。瀬川も蔦重に気づき、目を逸らします。
すると半左衛門は「どれだけ飾りたてたって、これが瀬川のつとめよ。年2日の休みを除いてほぼ毎日がこれさ」「客をとればとるほど命はすり減ってくもんだ。年季明けの前に逝っちまうなんてこともザラさ」「今お前にできるのは、何もしないってことだけだ」と伝えます。
蔦重は半左衛門をにらみつけるも、何も言い返すことができないまま、その場を去っていくのでした。
視聴者の声
恋するヒロインが客の相手をしているところを、主人公の目の前で見せつけられるという、これまでのテレビドラマでみることがなかった衝撃的で残酷な展開。しかしそのシーンの痛切さに反して、好意的に受け止める視聴者が多かったようです。
たとえば視聴者からは「歴代大河でも指折りの胸ク*展開…でもこれが吉原の本質なのよね。本当に今作は覚悟をもって作ってる感」「戦争物とは別ベクトルでめちゃくちゃ苦しいんだけど面白い…」「子供に見せられないとか、そんな話でなく、好き同士が添い遂げられない理不尽な世界が今も昔もあるという意味でも見るべき。製作陣に敬意」「曖昧にしないと言う姿勢も人気の秘密かも」「ほんの一瞬で見事表現された吉原の厳しい定めと女郎の悲哀。歴代大河の中でも指折りの名シーン」「実らない恋の描き方が上手いのよ森下先生はさぁ。そして見事に落とし込んで役を生きている俳優さんたちもさぁ、凄すぎんだろ!」といった声が、SNSやコメントなどを通じて見受けられました。
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大河ドラマ第64作となる『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』は、“江戸のメディア王”として時代の寵児になった、”蔦重”こと蔦屋重三郎が主人公。
蔦重を演じるのは、NHKドラマ初出演となる横浜流星さん。脚本は、連続テレビ小説『ごちそうさん』大河ドラマ『おんな城主 直虎』などを手掛けた森下佳子さん。
さらに語りは、蔦重らを見守る吉原の九郎助稲荷(くろすけいなり)として、綾瀬はるかさんが担当する。
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