『べらぼう』<この…しょんべん女郎が!>瀬川に現実を突きつけた女将・いね。その迫力も当然いねの正体は…視聴者「善玉悪玉で語れない」「花を生ける演出に唸った」「水野美紀さん最高」
2025年3月4日(火)18時0分 婦人公論.jp
「べらぼう」公式インスタグラム(@berabou_nhk)より
大河ドラマ『べらぼう』
横浜流星さん主演の大河ドラマ『べらぼう』(NHK総合/毎週日曜夜8時ほか)。第9回「玉菊燈籠(たまぎくどうろう)恋の地獄」が3月2日に放送され、話題になっています。
*以下「玉菊燈籠恋の地獄」の放送内容のネタバレを含みます。
●「玉菊燈籠恋の地獄」あらすじ
市中の地本問屋たちが吉原と手を切ると言い出したために「細見などを作っても、市中で売り広められなくなる」と危惧する蔦重。
そんな中、鳥山検校(市原隼人さん)が、瀬川(小芝風花さん)を身請けしたいと申し出たとの話を耳にする。
その時、初めて瀬川を思う自分の気持ちに気付いた蔦重は、ある行動に出て…。
そして、新之助(井之脇海さん)も思いを寄せるうつせみ(小野花梨さん)を連れて吉原を抜け出そうと、思い切った計画を立てるが……。
「通行切手」で連れ出そうとするも
身請けの話が出たのをきっかけに、お互いの想いを確認し、二人で生きるための道を探し始めた蔦重と瀬川。
しかし、それは吉原における<お定め破り>であるうえ、松葉屋の主人・半左衛門(正名僕蔵さん)と女将・いね(水野美紀さん)から早々に気付かれてしまいました。
結果、瀬川は一晩に5人もの客を付けられ、蔦重には実際に瀬川が客の相手をしているところをあえて見せることで、女郎の現実を知らしめようとします。
思い悩んだ蔦重でしたが「通行切手」を使い、吉原から瀬川を連れ出すことを思いつくと、貸本に切手を挟んで瀬川へ手渡すことに。
一方、同じことを先に考えついていたのが浪人・小田新之助。
実際にその夜、松葉屋の座敷持ち・うつせみを連れ出し、吉原からの脱走<足抜け>を試みますが、簡単に追っ手に捕まってしまうのでした。
それの…どこが幸せなんだって聞いてんだよ!
その後、松葉屋へ連れ戻されたうつせみ。
松葉屋の庭で頭から水をあびせかけられると、いねから「芝居のネタにでもなるつもりかい?このしょんべん女郎が!」と詰められます。
「あんた養おうとあいつは博打。あいつ養おうとあんたは夜鷹。なれの果てなんてそんなもんさ。それが幸せか?ああ!?幸せか?それの…どこが幸せなんだって聞いてんだよ!」と周囲の女郎たちに聞こえるような大声で、うつせみへ言い放ついね。
その様子を松葉屋の中から瀬川は静かに見つめます。
瀬川を背負うってのはそういうことだと思うけどね
さらにドラマ終盤。
花を生けるいねのもとに歩み寄った瀬川は、自害した先代・四代目瀬川についてたずねます。
対して、四代目が自害しなければ、その後多くの女郎が豪儀な身請けを決めて吉原を出て行ったはずだったと話したいね。同時に、五代目が<幸運の名跡>にしたいと言ったのが嬉しかったとも語ります。
最後に「ここは不幸なところさ。けど、人生をガラリと変えるようなことが起きないわけじゃない。そういう背中を女郎に見せる務めが…瀬川にはあるんじゃないかい? 瀬川を背負うってのはそういうことだと思うけどね」と話すと、瀬川は言葉を失うのでした。
視聴者の声
今回、足抜けを選んだ女郎を待つ過酷な現実を伝えると同時に、名跡を受け継ぐことの意味を、あらためて瀬川に伝えた老舗女郎屋の女将・いね。
なお<いね>がどんな人物なのか、あらためてNHKの紹介サイトを見てみれば「ーー元花魁(おいらん)で、女郎の“光と影”を知り尽くす、老舗女郎屋の女将(おかみ)ーー代々、瀬川という伝説の女郎を輩出する老舗の松葉屋の女将。いねもかつて花魁であったが、主人(正名僕蔵)に見初められ女将として見世の経営に携わる。四代目・瀬川とは同年代であり、いつしか花の井(小芝風花)に瀬川の名跡の“或るいわく”について語る。」とあります。
つまりいねも「元花魁」で、自害した四代目・瀬川とはかなり近い関係に…。だからこそ伝えられる言葉の深さや重み。それを実感させられる展開となりました。
視聴者の声
そして、そうした複雑でありながら唸らせられる脚本のすばらしさはもちろん、いね役・水野美紀さんの圧巻の演技に感じ入った視聴者がとても多かったようです。
たとえば視聴者からは「背筋がゾクゾク。水野美紀さんの亡八、ヤバかった。最高でした」「いねが花を生けながら話す演出に唸った。花(女郎)を選んで、美しく映えるように」「松葉屋夫婦・正名僕蔵さんと水野美紀さんが素晴らしい。単純に善玉悪玉で語れないリアリティ」「残酷な金の亡者のようだが、忘八なりの理も情も持っているというところにこの作品の複雑さが」「MVPは今回も小芝風花だけれど、裏MVPは水野美紀だと思う。忘八にも情はあるんだよ…」といった声が、SNSやコメントなどを通じて見受けられました。
一方で演じる水野さんご自身はエックス(@mikimobilephone)にて
「大河「べらぼう」の現場では、モニターに映る小芝風花に見惚れていると急に水木しげる先生の妖怪みたいな婆がアップで映って「ヒイっ!」てなるから油断ならない。
誰だよあの妖怪。
あたしだよ。」
とお茶目なコメントを呟いていらっしゃいました。
ーーー
大河ドラマ第64作となる『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』は、“江戸のメディア王”として時代の寵児になった、”蔦重”こと蔦屋重三郎が主人公。
蔦重を演じるのは、NHKドラマ初出演となる横浜流星さん。脚本は、連続テレビ小説『ごちそうさん』大河ドラマ『おんな城主 直虎』などを手掛けた森下佳子さん。
さらに語りは、蔦重らを見守る吉原の九郎助稲荷(くろすけいなり)として、綾瀬はるかさんが担当する。
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