カー娘も? 芸能プロのメダリスト争奪戦裏事情

3月4日(日)7時0分 NEWSポストセブン

カー娘に芸能界入りはあるのか?

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 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、芸能事務所とアスリートタレントの関係性について語る。


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 五輪を筆頭に、国際大会で目立った成績を収めたアスリートに対し、「大手芸能プロダクションが獲得に興味を示している」という記事を主にスポーツ紙で目にする。


 平昌五輪では、なんと言っても女子カーリング「LS北見」のメンバーが注目の的だ。


“もぐもぐタイム”に因んで、菓子メーカーがCMキャラクターとして起用するのではないかとか、CDデビューをさせるべく、接触を図ろうとしているレコード会社がある…などが代表的な記事だろうか。


 ちなみに、“カーリング娘”に歌わせたいのは、かつて全国の方言ヴァージョンが出たことでも話題になった『DA.YO.NE.』ならぬ『SO.DA.NE』。フィーバーに冷静な本橋麻里選手が首を縦に振るとはとても思えないが、どうだろう。


 確かに、そうした活動をするためには、芸能プロダクションに所属していたほうが何かと都合がいい。タレント性があるうえ、メダリスト。そんな彼女たちを迎えるべく、大手芸能プロダクションの中には専門の部署を有する会社も増えているところだ。


 果たして、複数の大手芸能プロ幹部に聞いてみたところ、件のようなスポーツ紙の記事は、「記者がアスリートの固有名詞を挙げて『獲得に興味はあるか?』と聞いてくるので、『ないわけではない』ぐらいに答えているだけ」「なのに、読む人が読めば、それがどこのプロダクションであるか特定できてしまうような内容で書かれてしまう」と困惑気味だった。


「もしも本気で獲得しようと思っていたら、マスコミの取材に対して迂闊なことを言うわけがないじゃないですか」とも。


 興味深かったのは、過去、五輪に出場したアスリートの獲得に動いたが、「本人に断られた」経験をもつ某芸能プロダクション幹部の話だった。


 当時、誰もが抜群のルックスだと認め、素人から見てもタレント性が高いと見えた某女性アスリート。それこそ、すぐにCMやイベント出演が決まりそうな逸材だったが、なぜ、まとまらなかったかというと、本人に「まだ現役選手として上を目指したい」という強い意志があったからなのだそうだ。


 実はプロダクションの中には、アスリートに特化した会社もあって、情報番組やテレビ局のスポーツ局に太いパイプをもっている。当然のことながら「アスリート・ファースト」なので、バラエティー寄りのオファーには慎重を期していると聞く。


 アスリートが芸能プロに所属した先駆け的存在は、ホリプロ入りしたサッカーの武田修宏氏ではなかったか。同プロダクションの旧・文化事業部(現・スポーツ文化部)は武田氏を所属させるために設立された部署だったとも当時、言われていた。


 甘いマスクと高いファッションセンスで、あの三浦知良選手と1、2を争うほど女性人気が高かった武田氏。所属当初から女性が主役のコンテストの審査員をしたり、ファッション誌からオファーがあったりと活動は華やかで、スポーツコメンテーターとしてよりタレントとして人気者になっていった。


 クイズやバラエティーで“おバカタレント”としてブレイクしてからは、ヒナ壇タレントとしてなくてはならない存在となるも、実は近年、監督になるために自腹で勉強を重ねていた武田氏。同時に協会から“おバカ”としてのテレビ出演を禁止されてからというもの、めっきりテレビ出演は減っている。


 引退してもアスリートはアスリート。サービス精神が過ぎて、バラエティー番組での“ぶっちゃけ発言”が目立ってしまうと、自身が専門とする種目の大会があったとしても、「説得力がない」との理由で解説者として呼ばれなくなってしまうのだ。


 視聴者の皆さんにとっては一つのテレビ局だったとしても、スポーツ局と、バラエティー班を有する制作局とでは、アスリートに対する考え方が全く違う。スポーツ局では、アスリートにはいつまで経ってもアスリートとしてのリスペクトがあり、失礼な対応がないよう、細心の注意を払っている。一方、制作局ではやはりキャラクターやトーク力を重視してしまうのである。


『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)のようなスポーツバラエティーはまだいいが、それ以外のバラエティーでは、恋愛ネタを始め、「実は潔癖症」「アイドルのファン」など、自身のプライベートをいかにさらしてもらうかが鍵になる。


 女性アスリートなら、ルックスの良さも大事なポイントであり、“美形&ぶっちゃけキャラ”ということで、フィギュアスケートの安藤美姫や浅田舞は、バラエティー番組だけでなくイベントでも名前が挙がるタレントに成長した。


 そして、この二人に続く存在なのが、なでしこJAPANのメンバーだった丸山桂里奈だ。彼女も所属はホリプロ。いまのところ、初期の武田修宏氏を踏襲しているように見えるが、この先、彼女がさらにタレント寄りで活動するのか、それとも、先輩・武田氏のように、いつかは指導者へとシフトチェンジを図るのか。興味深く見守っているところだ。


 平昌五輪の解説者を見渡すと、フィギュアスケートの織田信成氏と村上佳菜子氏は、ひじょうにバランスがとれていた。両氏は、その平和的なキャラクターからバラエティー番組からも引っ張りだこだが、解説者としても存在感を表していた。村上氏に至っては、一局に絞らず、各局の情報番組にバランス良く出演する、特例中の特例だった。


 芸能プロダクションも、こうしたアスリートの志向や、バランスを誤ったときの世間の反応などには熟慮を重ねており、「慎重にならざるを得ない」と幹部は口を揃える。


 果たして、今回の平昌五輪のメダリストたちには水面下でどんな交渉が行われているのか? 結果がわかるのは、しばらく先のようだ。


撮影/雑誌協会代表取材

NEWSポストセブン

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