にっぽんワチャチャ・遠藤Nozomi「武道館で振る舞い酒を」 3畳の事務所から始まった希望とクエスト【ソロインタビュー連載第1回】

2025年3月4日(火)11時0分 スポーツニッポン

 5人組女性アイドルグループ「にっぽんワチャチャ」(通称ワチャチャ)が3月31日、結成5年の集大成となる日本武道館公演を行う。。20年3月、新型コロナウイルス禍で世界中が閉塞感に包まれていた中、大阪の3畳一間の事務所から出発した彼女たち。厳しい状況でも、決してあきらめることなく「武道館」の目標を掲げ続けた。「NGなしアイドル」として全力で突き進んできたワチャチャは、夢舞台を前に何を感じ、何を語るのか——。個性あふれるメンバーたちに1人ずつ迫るソロインタビュー連載。第1回は遠藤Nozomiにスポットを当てる。また、取材後、結成メンバーの鈴木Mob.(もぶぴ)、そして2期生の中村Ameが武道館公演をもって卒業することを相次いで発表。仲間を送り出す現在の心境も聞いた。(「推し面」取材班)

——武道館公演に向けて現在取り組んでいることは?

遠藤「本当に小さな部屋から始めたグループなので、まずは多くの方に知っていただくことを最優先に活動しています。例えば、生配信やSNSを活用し、バズりそうな投稿には必ず『ワチャチャ日本武道館』のキーワードを入れるようにしています。また、ファンの方々にも毎日『ワチャチャ』について発信していただくようお願いしています。メンバーそれぞれも個別に取り組んでいて、私は他のアイドルと合同で生配信を行ったり、ビラ配りをしているメンバーもいます。みんなで力を合わせ、武道館を満席にするために日々活動中です」

——武道館に立つまでのこの5年は?

遠藤「公演が決まるまでは本当に長く感じました。特にコロナ禍でスタートしたので、思うように活動できなかった時期があり、苦しい期間が長かったです。その中でYouTubeを始めたり、新しいことに挑戦することで少しずつ前進してきました。やっとお客さんを多く迎えてライブができるようになった頃に『武道館』というワードが現実味を帯びてきました。いざ決まった時は信じられない気持ちでしたが、その後は次の課題、1万人規模を収容できる会場の集客というプレッシャーを感じました。正直、時間が足りないと感じるほどでした」

——路上でのビラ配りやさまざまな方法で集客活動をされている中で、受け取ってもらうコツや工夫は?

遠藤「私はお酒が好きなので、路上ではなくライブハウスの中でビラを配ることが多いです。特に対バンライブの時はアイドルファンの方が集まるライブハウスで、バーカウンターの前に立ちます。『お酒好き?ちょっと乾杯しようや!』と、手持ち無沙汰そうにしている人に声をかけます。あえてビラ配りに来た感を出さず、『ほんまお酒飲まんとやってられへんねん。話聞いてや〜』と少し話してからビラを渡します。その場で武道館公演のチケット(1枚1000円)も売っているので、『よかったらどう?もう飲み友やん!』と言って買ってもらうことが多いですね」

——商売上手ですね。

遠藤「ビラを渡しつつチケットも買ってもらう作戦は、結構売れ行きがいいです。だから武道館はお酒好きがいっぱい集まるかもしれません(笑)」

——武道館に向けてさまざまな企画をされてきた中で、特に印象深いエピソードは?

遠藤「ファンの方々とのやり取りが特に印象的です。今はSNSの時代なので、ファンの方も『どうやったらワチャチャをバズらせられるか』を真剣に考えてくれています。例えば、私のファンの女の子が、特典会の30秒間をループして『次はこういう作戦で行きましょう』と作戦会議をしてくれるんです。その場で動画のアイデアを出してくれて、『じゃあこれを撮影しよう』と一緒に進めています。実際にその動画がバズったりもして、本当に心強いです。ファンの方が提案してくれたことを最大限に形にして、武道館で良い結果が出せるように頑張ります!」

——昨年末にベストアルバムをリリースされましたが、その中に収録されている「キミとクエスト。」という曲は、ワチャチャの代表曲です。どのような曲ですか?

遠藤「『キミとクエスト。』には少し面白い裏話があります。今ではお客さんからも一番人気で、大きなワンマンライブの最後に歌うと盛り上がる、いわゆる“エモ曲”ですが、実はデビュー時に作られた6曲のうちの1曲なんです。当初、ワチャチャは『楽しい』『面白い』をテーマにしていたので、こんなエモ曲はいらないと言われていました。

 でも、メンバー全員が『1曲ぐらいは真剣な曲がほしい』と思っていました。その中、青色担当のもぶちゃん(鈴木Mob.)がソロ時代にスキルマーケット系のサイト経由で持っていた音源がこの曲のベースになりました。実は、元々の音源を誰が作ったのか未だに分かっていないんです。そこから歌詞が載って奇跡的にできた曲で、デビュー曲として歌ったら想像以上に反響が大きく、どこのシーンで歌っても毎回違う景色を見せてくれて特別な感情が込められる、非常に大切な曲になりました」

——この曲を初めて聴いた時の印象と、5年間でどのように育ってきたか教えてください。

遠藤「最初に聴いた時は『わーい、私の名前が入ってる!』という感覚でした。というのも、歌詞の中に『希望(のぞみ)の方へ』というフレーズがあって、それが私の名前なんです。でも今振り返ると、自分の名前が歌詞にあることは非常に責任重大で、この曲を歌うたびにワチャチャを作って良かった、このメンバーと一緒に活動できて幸せだと感じます。特にそのフレーズは初期メンバーで渡辺Liliが歌ってくれています。苦楽を共にしてきたメンバーなので、その声でその歌詞を聴くとしみじみします」

——武道館公演では、開演前にオープニングアクトとして他のアーティストも出演されます。この企画の意図は?

遠藤「約1時間の枠で、アイドルだけでなく、歌手の方や芸人さんなど、さまざまなジャンルの方に出演していただく予定なので、さまざまな界隈の方々が集まることに期待しています。そうやって幅広い層の方々が集まり、ちょっとしたお祭りのようなワンマンライブにしたいと考えているんです。ワチャチャがずっと目指してきた武道館ですが、私たちだけが光るのではなく、これまで仲良くしてくださった方やお世話になった方々も一緒にステージを楽しんでいただけるようにしたいです」

——当日は「お祭り騒ぎ」?

遠藤「3月31日の日本武道館は、ワチャチャにとって特別な日ですが、そこに多くの方が集まり、ライブ全体をみんなで作り上げるような一日にしたいです。これまで5年間で関わってきた方々を招待し、たくさんの人が一緒に楽しめる空間にできればと思っています。ワチャチャらしさ全開で、最高のお祭りムードを作りたいですね」

——ワチャチャのライブの魅力は?

遠藤「アイドルライブに初めて来る方でも必ず楽しめるところです。実際、今のお客さんの約8割がアイドル初心者の方で、そういう方々が『楽しかった』と思えるような演出やパフォーマンスを心がけています。私たちは『目で聞いて楽しむ』というコンセプトで活動していて、音楽やアイドルをよく知らない方でも視覚的に楽しめるようなライブを普段から作っています。初めて来た人でも『絶対楽しかった!』と思わせられる自信があります」

——そんな普段のライブが、さらに武道館では特別なものに?

遠藤「武道館という夢の舞台で、ワチャチャのライブを“デラックスバージョン”でお届けします。演出も普段よりさらに豪華になりますし、ワチャチャの楽しい世界観を最大限に感じていただけるライブにしたいです。そして何より、ライブチケットが一般席1枚1000円というのも魅力だと思います。武道館公演ですよ」

——確かに、1000円という価格には驚きますね。

遠藤「せんべろ1回我慢すれば参加できる値段です。赤字じゃない?とよく聞かれるので、『赤字やで。だから来てな』と言うようにしてます(笑)大阪出身のグループらしく『安ければエエよな』という気持ちもありますし、何より多くの方に武道館でのライブを体感してほしいです」

——武道館への思いを聞かせてください。

遠藤「実は武道館に行くっていうのを言ってしまったのは、自分なんです。大阪にあった3畳ほどの小さな事務所で、ホワイトボードに『武道館で振る舞い酒をしたい』と書いたのが目標の始まりでした。当時は何気なく書いた武道館が、目前に迫っています。一生の思い出になるので、生涯恥ずかしくない最高のライブにしてみせます」

——これからのグループの未来をどのように描いているか教えてください。

遠藤「武道館でのワンマンをきっかけに、まだ私たちのことを知らない方にももっとワチャチャを知ってもらえるようになりたいです。ワチャチャは『楽しい』『面白い』を届けるグループとして活動してきました。コロナ禍で始まったグループだからこそ、少しでも世の中を明るくしたいという思いがあります。ライブやYouTubeを通じて、生活の中のちょっとした笑顔や楽しさを提供できる存在であり続けたいです」

<追加分>

——結成当初から一緒に走り続けてきた鈴木Mob.さんが卒業を発表されました。発表を受けた心境をお聞かせください。

遠藤「私が、にっぽんワチャチャを作る時に一番最初に誘ったのが、当時ソロでアニソンを歌っていたもぶちゃんでした。たまたま見かけて、『この子はもっと世間に見せるべきだ、売れてほしい』と思って声をかけたので、次のステップが必要だと勇気を出して卒業を決めたもぶちゃんに『行っておいで!実家は守り続けてるから何かあったらいつでも頼ってほしいし、帰っておいでね』と、背中を快く押しました。自立する娘を見守る実家の母の気持ちがようやく分かりましたね(笑)」

——その後、中村Ameさんも卒業を発表しました。

遠藤「Ameちゃんも、私がお客さんとして来てくれた子をナンパ感覚で誘っちゃったんですけど(笑)。今思えば、普段は絶対そんな発言を周りにしないので、何か運命だったのかなと思っています。入ってきてくれた時には武道館という目標がグループに出来ていて、沢山の重圧の中活動するのは大変だったと思います。でも嫌な顔ひとつせず、当時既に沢山ある楽曲のダンスを覚えてきてくれたり、努力家なところは今後どこでも生きれると思ってます!ワチャチャのアイドルを担当してくれてたAmeちゃんが今後どんな活動を見せてくれるのかとても楽しみにしています」

——この5人体制で臨む最初で最後の武道館になります。残り少ない5人での期間をどのように過ごしていきたいですか?

遠藤「今までも色んな事があったり、壁にぶち当たる日、特別な日、沢山ありましたが、メンバーとの時間はいつも変わらない日常が当たり前のように続いていたので、『この5人で最後だ』とか『武道館までになにか思い出作らなきゃ!』ということは特になく、悔いのない活動をしつつ武道館の日に、『この5人で叶えられて良かった』と心の底から思える時間にしたいです。そして無事終わったら、また自然と集まって、武道館の思い出話を肴に美味しいお酒でも飲みたいです」

スポーツニッポン

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