アイドルバラエティの概念を変えた『乃木坂工事中』

3月4日(月)22時6分 財経新聞

 3月4日早朝に放映された『乃木坂工事中』(テレビ東京系)は、ある意味アイドルバラエティの歴史を越えたエポックメーキングな神回になった。普段は、こういう番組の紹介まではしない当欄だが、この回だけは取り上げざるを得ない。

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 今回は、高山一実の小説『トラベジウム』大ヒット記念と銘打って、小説が映像化、舞台化する前に、メンバーの演技力を鍛えておこうという内容で、メンバーに演技研修をするという内容。まあ、アイドルの冠番組では、ほぼ定番となっている演技力チェックである。

 これだけならどうということはないのだが、いざ番組に入ると、MCのバナナマンが困惑するほどの事態となった。

 特に「1フレーズ劇場」という、共通のセリフを状況や設定に合わせてしゃべるというコーナーでは、「ありがとうございます」や「え? ウソ!? 信じられない…」というセリフを様々なシチュエーションで言うのだが、参加したメンバー全員が驚くほど上手かったのである。

 アイドルバラエティというと、料理でも歌や演技や絵でも、下手な人をいじって笑いにするというのが定番だ。実際、乃木坂でも、生田絵梨花の料理とか、和田まあやのおバカとか、秋元真夏&松村沙友理の歌などを弄って笑いにするのが定番でもあったわけだが、今回、失笑したくなるようなメンバーが1人もいなかったのである。

 乃木坂の方針として、様々な舞台で経験を積み、舞台女優としての基礎力は研究生時代から叩きこまれているせいだろうか、3期生の久保や梅澤、さらに不安視された大園や佐藤楓も、しっかりした演技を披露してみせた。

 まさに演技の乃木坂の面目躍如だが、凄いのは、上手すぎて、逆に面白く番組を成立させてしまったことだ。

 このへんはMCバナナマンの力量だが、彼女たちが演技を成功させるたびに、「すげぇ」「(状況が)見える!」と派手にリアクションし、「もうちょっとできないと思っていた」と、思惑が外れたようなことを言いながら、満面の笑顔で拍手をし、日村勇紀へのムチャブリアドリブ演技でわかり易い笑いまで作って番組を成立させたのだ。

 失敗や実力不足を笑いに変えるのは、必ずしも悪いことではない。アイドルというのは、少なくとも今の日本の芸能界では、本物の女優や歌手を目指す若い女性たちの成長過程であるとみなされているのだから、未熟さを暖かい目で見守るのは王道でもある。

 しかし、芸歴も7年を超え、アイドルという肩書を持ちながら、本物の実力を身に付け、あるいは身に付けかけている彼女たちには、こういうバラエティもできるんだということを見せつけてくれたのだ。いや、これは「アイドルバラエティ」が「アイドルによるエンターテイメント」に成長した姿なのかもしれない。

 過去の似たような演技力チェックと、今回を見比べて、彼女たちの成長ぶりに改めて感慨を覚えたのは記者だけではないだろう。

財経新聞

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