米民主党・サンダース氏のような政治家は今の日本にこそ必要

3月5日(土)7時0分 NEWSポストセブン

 アメリカ大統領選挙の民主党予備選挙で支持を急拡大させているバーニー・サンダース上院議員は、「民主社会主義者」と自ら名乗り、格差是正を訴えて若者層からの支持が大きい。経営コンサルタントの大前研一氏は、今の日本こそ彼のような政治家が現われれば、政権奪取も可能だろうという。


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 アメリカ大統領選挙で異変が起きている。民主党の予備選挙で当初は“無印”だったサンダース上院議員が支持を急拡大して“本命”とされてきたヒラリー・クリントン前国務長官に肉薄し、共和党の予備選挙でも不動産王ドナルド・トランプ氏が依然として高い支持率を維持しているのだ。大統領選の行方は予断を許さないが、私が注目したいのはサンダース氏躍進の意味だ。


 サンダース氏は候補者の中でも最高齢の74歳だが、若者から圧倒的な支持を集めている。テレビ局の出口調査によると「30歳以下の支持率が85%」(ニューハンプシャー州予備選)と、クリントン氏に大差をつけた。


「民主社会主義者」を自任するサンダース氏は、若者層に向けて「君たちは虐げられている」「教育を受けるため、多額の借金を強いられる」「1%の金持ちのためだけでなく、全国民のために働く政府が必要だ」「億万長者の金は要らない」などと平易な言葉で格差是正を訴え、ウォール街などの富裕層と政治の癒着を批判。


 具体的な政策としては「公立大学の授業料無償化」「大手金融機関の解体」「国民皆保険制度の導入」などを提唱している。こうした主張が若者の気持ちを文字通り“わしづかみ”にしているのだ。


 実は、今の日本にこそサンダース氏のような政治家が必要だ。なぜなら、これまで日本では若い人ほど投票率が低いからである。今夏の参議院選挙から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるが、もしサンダース氏のように若者層から熱狂的な支持を集めて彼らを投票所に駆り出すことができる政治家が登場したら、圧勝するに違いない。


 最近は「下流老人」や「老後破産」が話題になっている。たしかに下流老人は一定数いるし、老後破産も起きているが、それは多数派ではない。日本の高齢者の多くは裕福なのだ。実際、バブル崩壊後のデフレ不況が20年続いても貯蓄は増え続け、個人金融資産は1990年の約1000兆円から現在は約1700兆円に積み上がっている。そして、その大半は65歳以上の高齢者が持っている。


 この25年で700兆円増えたということは1年平均28兆円で、GDPの6%ほどにあたる。これが市場に出てきて消費に回っていれば、「失われた20年」などなかったはずである。


 高齢者は平均すると年金の3割を貯金しているとされるが、地方銀行の人によれば、丸ごと貯金している人も少なくないという。だから日本人は平均約3000万円の資産を残して死んでいくのだ。


 その一方で、若者の多くはチャンスがなくて富もなく、今の年金制度では払い込んだ額より少なくしかもらえない、という状況になっている。とはいえ路頭に迷うことはなく、贅沢をしなければ、それなりの生活はできる。


 だから少ない収入でも満足することを覚えて「低欲望」になり、自分が生まれ育った20km圏内の地元エリアから出ない人たちや、休日を巨大ショッピングモールで家族そろって一日中過ごす「イオニスト」「ららぽーたー」が増殖している。


 この富の偏在、世代間格差を選挙の争点にして若者層に訴求することができれば、政権を取ることもできるのではないだろうか。


※週刊ポスト2016年3月11日号

NEWSポストセブン

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