生田斗真、『鬼ゴロシ』壮絶アクションの裏側明かす 田中征爾監督が身体表現を絶賛「レベルが違う」

2025年3月6日(木)10時44分 マイナビニュース


●“原作の本質”を作品の土台に「絶対に見失っちゃいけない」
アクション、コメディ、ラブストーリーなどあらゆるジャンルの作品で活躍し、見る者を魅了している俳優・生田斗真。Netflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』(世界独占配信中)では、最愛の妻と娘の復讐を誓う殺し屋を演じた。セリフはほぼなし、すべての感情をアクションで表現しなければならない難役に挑んだ生田、そして監督・脚本を担当した田中征爾氏にインタビューし、本作の制作においてこだわったことや壮絶アクションの裏側について話を聞いた。
河部真道氏による漫画『鬼ゴロシ』を実写化した本作。殺し屋稼業をしていた坂田周平(生田斗真)は、家族のために足を洗おうとしていた矢先に、謎の組織「奇面組」によって愛する妻・葵(木竜麻生)と娘・りょう(鷲尾心陽)を奪われてしまう。頭を撃たれた坂田は奇跡的に生き延びるも昏睡状態に。12年後、再び奇面組に襲われた坂田は、眠っていた殺しの本能が覚醒。壮絶な復讐が始まる。坂田の仇敵となる「奇面組」には尾上松也東出昌大高嶋政伸(高ははしごだか)、田中美央が名を連ねる。
本作は、5日に発表されたNetflix「日本の週間TOP10(映画)」で1位、「週間グローバルTOP10(非英語映画)」でも2位を獲得(2月24日〜3月2日)。さらに、韓国、カナダ、イタリア、ドイツ、フランス、ブラジル、インドなど世界69の国と地域でも「週間TOP10入り」を果たした。
——田中監督が制作において大事にしていたことや作品に込めた思いをお聞かせください。
田中監督:原作の本質をどういう風に映画に持ち込むかというのが一番考え抜いたところでした。僕がこの企画の話をいただいたときは、まだ漫画が完結していなくて、物語を映画用に0から組み上げなきゃいけないということは自明でした。原作の本質的な魅力のどこの部分を抽出すれば一番正解なのか考え、悪役の造形、超ピュアな家族を失った男の復讐劇である、そして、坂田はめっちゃ強いけど体がしんどいという、この3つを絶対に見失っちゃいけないというか、全体の土台にしなきゃいけないと思いました。漫画でも、めっちゃ戦うけどめっちゃ体が痛いみたいな描写が頻出するんです。
——原作の本質を大事に撮影していく中で、特にこだわったことを教えてください。
田中監督:アクションの立ち回りのときに、生田さんにしつこく「しんどそうにしてください」と言っていました。
生田: ハァハァしんどそうにするのってしんどいので、「やべ、バレた!」みたいな感じはあったかもしれません(笑)
○「どういう体の使い方をすればどういう風に見えるのか熟知されている」
——生田さんの坂田役への起用は、監督のご希望でもあったのでしょうか。
田中監督:生田さんが筆頭候補だとプロデューサーから伺っていて、まだ台本も出来上がっていない段階だったので、そこから生田さんをイメージしてどんどんブラッシュアップしていきました。
——脚本の段階から生田さんをイメージされていたんですね。
田中監督:そうですね。一番最初は原作に沿って坂田の年齢をもっと上にしていましたが、生田さんと伺ってから、もうちょっとここは動ける感じにしようとか、周りのキャラクターとの関係性の中で、このキャラクターはもうちょっと上の年齢にしようとか、そういう風に仕上げていきました。
——監督は生田さんの凄みをどのように感じましたか?
田中監督:僕の中で、身体性をどうやって表現するかというのがテーマでしたが、長い期間ずっとパフォーマンスをやられてきた方なので、どういう体の使い方をすればどういう風に見えるのか熟知されているんだなと、アクションの練習を拝見しているときから強く感じました。アクション以外の普通のお芝居でも、表情も含めて、体でどうやって見せるかというところは、ちょっとレベルが違う人だなと思いました。
生田:ありがたいですね。でも身体表現がここまで試される作品はそうそうないので、監督がシーン終わるごとに僕のところに来て、「あそこめっちゃよかったです」などと言ってくれることが僕の毎日の喜びでした(笑)
●“覚醒シーン”で確信「この映画は面白くなりそうだな」
——坂田が生田さんでよかったと、監督が具体的に感じた瞬間がありましたら教えてください。
田中監督:冒頭、家族が殺されて、悪役たちに対して「お前ら全員殺す」と言うときの表情はしびれましたし、あることをきっかけに体が動くようになるシーンがあるんですけど、そんなにディレクションしてなかったのに完璧に演じてくれて、あの覚醒シーンを撮ったときに「この映画は面白くなりそうだな」と確信しました。
——生田さんはその覚醒シーンに関して、かなり考えて演じられたのでしょうか。
生田:台本にもなくて現場で通達された演出だったので、その場で考えて、わからないからちょっとやってみようと思ってやったらうまくいったという感じでした。
田中監督:体が動き出してから車に乗り込むまでの一連のショットがあるんですけど、これは面白いなと!
生田:面白かったですね! 「これはフィクションです」というのを、あのシーンで提示できたというか。
○最も過酷だった螺旋階段でのアクション「本当にキツかった」
——生田さんも印象に残っているシーンを教えてください。
生田:覚醒のシーンも印象に残っていますし、螺旋階段を駆け上がりながら大人数と戦うシーンのアクションは本当にキツかったです。撮影の時間もかなりタイトで、1つの山場を越えるとまた次の山場がやってきて、というのを繰り返していて、あの螺旋階段のシーンはピークと言っても過言ではないぐらいかなり大変でした。坂田としての疲れもピークな状態でアクションがスタートするので、ゼーゼーしながら一人ひとり倒して階段を走っていかなきゃいけないという、地獄のようなトライアスロンみたいなアクションシーンでした(笑)
田中監督:倒し終わって階段の上まで行って、まだあるみたいな感じで上るのをやめて出ていき、そのあとエレベーターに乗るという流れになっているんですけど、なんで最初からエレベーターに乗らなかったんだろうって(笑)。最初から乗ってくれればこんなことやらなくて済んだのに。
生田:そうなの! エレベーターあるのになんで非常階段から……人が多いのに(笑)
田中監督:それがキービジュアルに。
——満身創痍の坂田がエレベーターに乗っている場面ですね。
生田:非常階段を使わず最初からエレベーターに乗っていたら、こんなことにならず普通に乗っていましたよ(笑)
——生田さん史上一番大変な作品でしたか?
生田:大変でしたね。体力的には一番しんどかったかもしれません。
——これから作品を見る方たちにメッセージをお願いします。
生田:日本作品でここまで復讐心に燃える男をアクションで見せていく作品はそう多くはないと思うので、Netflixですし、日本だけでなく、さまざまな国の方々に見ていただけたらなと思います。
田中監督:アクションはもちろんですが、親子愛のストーリーだったり、悪役だったり、それ以外の方々の味付けの濃いお芝居がすごく面白いので、楽しめる要素がいろんな種類詰め込まれた作品かなと思います。そんなに普段アクションは見ないという方も普通に面白く見られると思うので、ぜひ見ていただきたいです。
■生田斗真
1984年10月7日生まれ。1996年にNHK Eテレ『天才てれびくん』に出演後、ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(07)や『魔王』(08)などで注目を集める。2011年、映画『人間失格』(10)、『ハナミズキ』(10)でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、ブルーリボン賞新人賞を受賞。そのほかの代表作に、映画『土竜の唄』シリーズ(14、16、21)、『予告犯』(15)、『グラスホッパー』(15)、『彼らが本気で編むときは』(17)、『友罪』(18)、『告白 コンフェッション』(24)、ドラマ『ウロボロス〜この愛こそ、正義。』(15)、『俺の話は長い』(19)、『書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活〜』(21)、『鎌倉殿の13人』(22)、『警部補ダイマジン』(23)、Netflixシリーズ『さよならのつづき』(24)などがある。今年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』にも出演中。
■田中征爾
1987年8月21日生まれ、福岡県出身。日本大学芸術学部を中退後、映画を学ぶために渡米。帰国後は舞台の演出と脚本執筆をしながら映像作品を製作。2019年、監督・脚本を務めた初の長編映画『メランコリック』が、第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門監督賞ほか、世界各国で数々の賞を受賞する。今年2月21日に映画『死に損なった男』が公開。
ヘア&メイク/豊福浩一(Good) スタイリスト/前田勇弥

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