生田斗真の言うことしか聞かない!? 『鬼ゴロシ』娘役・心陽ちゃんとの秘話 流血シーンの裏側も明かす
2025年3月7日(金)10時33分 マイナビニュース
●心陽ちゃんのシーンで撮影協力! 田中征爾監督が感謝
アクション、コメディ、ラブストーリーなどあらゆるジャンルの作品で活躍し、見る者を魅了している俳優・生田斗真。Netflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』(世界独占配信中)では、最愛の妻と娘の復讐を誓う殺し屋を演じた。セリフはほぼなし、すべての感情をアクションで表現しなければならない難役に挑んだ生田、そして監督・脚本を担当した田中征爾氏にインタビューし、現場でのエピソードや座長としての生田の姿について話を聞いた。
河部真道氏による漫画『鬼ゴロシ』を実写化した本作。殺し屋稼業をしていた坂田周平(生田斗真)は、家族のために足を洗おうとしていた矢先に、謎の組織「奇面組」によって愛する妻・葵(木竜麻生)と娘・りょう(鷲尾心陽)を奪われてしまう。頭を撃たれた坂田は奇跡的に生き延びるも昏睡状態に。12年後、再び奇面組に襲われた坂田は、眠っていた殺しの本能が覚醒。壮絶な復讐が始まる。坂田の仇敵となる「奇面組」には尾上松也、東出昌大、高嶋政伸(高ははしごだか)、田中美央が名を連ねる。
本作は、5日に発表されたNetflix「日本の週間TOP10(映画)」で1位、「週間グローバルTOP10(非英語映画)」でも2位を獲得(2月24日〜3月2日)。さらに、韓国、カナダ、イタリア、ドイツ、フランス、ブラジル、インドなど世界69の国と地域でも「週間TOP10入り」を果たした。
——家族を殺され、復讐に命を懸ける殺し屋役ですが、生田さんご自身が共感した部分などはありましたか?
生田:なかなか難しいですけど、撮影に入る前に家族役の3人で仲良くなりましょうというレクタイムみたいな時間があって、その日から本当に3人が仲良くなって、いい時間を過ごせたので、家族が奪われてしまうシーンは、とてもいい感じにできたんじゃないかなと思います。
——レクタイムのおかげで本当の家族のような雰囲気になれたんですね。
生田:鷲尾心陽ちゃんもすごく懐いてくれて、撮影の途中も、大人の言うことを全然聞かず、僕の言うことしか聞かなくなる時間もあって(笑)。それぐらい心を通わせることができたので、とてもよかったです。
——心陽ちゃんが、ほかの人ではダメで生田さんだから言うことを聞いたというのは、例えばどんなことがありましたか?
生田:けっこうありました。「カメラの横から走って、拳銃の音が鳴ったらパタって倒れて」と言われて「やだ! やらない!」みたいな感じでしたが、「心陽、お父ちゃんがトンって肩を叩いたらあそこまで走って、バンって言ったらバタンって倒れてみようか」と言って、カメラを回してもらって撮影したりしていました。
——ちなみに、レクタイムはどれぐらいの時間だったのでしょうか。
田中監督:仲良くなろうという時間は、撮影に入る1カ月ぐらい前に、たぶん30分とかだったと思います。そこですごく仲良くなって、現場では生田さんの言うことしか聞かないという状態にけっこうなって。キャストさんでここまでやってくれる人はあまりいないと思います。
生田:けっこうやりましたよね! 楽しかったですけど(笑)
——心陽ちゃんのいる現場で生田さんがかなり助けに?
田中監督:いらっしゃらなかったら成立しなかったんじゃないですか。
——30分という短い時間でそんなに仲良くなれるってすごいですね。
生田:たぶんお家とかでご両親が僕の話をしてくれていたのかな。わからないですけど、そういうこともあってすごく懐いてくれました。
——小さいお子さんの心をつかむポイントがあるのでしょうか。
生田:とりあえず何でも言うことを聞いていたので(笑)。「抱っこして」と言われたら「はい!」、「お外散歩行こう」と言われたら「はい!」ってやっていたからかな。
●監督が見惚れ…なかなかカットかからなかった流血シーン
——田中監督からご覧になって、生田さんはどんな座長でしたか?
田中監督:すごく現場を明るくしてくれる方だったので、助かりましたね。僕がけっこう人の顔色を気にしいで、本当はもう1回やりたいけど、怒ってしまいそうだからやめておこうとなってしまうタイプなんですけど、すごくこだわらせてもらって、作品のクオリティを上げることに集中させていただけたのはありがたかったです。
——生田さんなら何でも受け入れてくれると思えたということでしょうか。
田中監督:そうです! 冒頭、坂田の頭から血が流れるところを撮ったんですけど、あまりにもいい血の流れ方をしていたので、ずっと撮っていたんです。回しっぱなしで。いい画だなと思いながらずっと見てたら、いつの間にかすごい時間が経っていて。それも超大変だったと思います。
生田:息を止めてますからね(笑)。床に倒れて、頭から血が流れて、床に血の海が広がっていくんですけど、なかなかカットがかからないんですよ!
田中監督:『スラムダンク』で桜木が背中を痛めて、これ以上やったら選手生命に関わるということで交代させられるんですけど、安西先生が「君のプレイを見ていたかったからだ」「あと少しで一生後悔するところでした」って謝るんです。その思いです(笑)。「いい血の流れだなあ、もっと見ていたい。あ、ごめんなさい。カット!」みたいな。
——監督が見惚れるほどのシーンに。
田中監督:素晴らしかったですね。
生田:確かに、スタッフとの連携もうまくいって、血の広がり方がものすごくきれいでした。僕も心の中で「うわ、めっちゃうまくいってる!」と思って、「だからカットかけないんだな」って(笑)。
田中監督:事前のシミュレーションで、別の場所で助監督さんがやってみたりしていたんですけど、あそこまでうまくいったことはなかったので。
——監督は、また生田さんとタッグを組むとしたらどんな作品を作りたいですか?
田中監督:ラブコメやりたいので、ぜひラブコメでご一緒できたらうれしいです。
生田:『メランコリック』を見ていても、男女のシーンとかすごくぐっとくるシーンがたくさんあって、銭湯で2人で話しているシーンとかけっこう好きなので、今ラブコメと聞いて確かにと思いました。
——生田さんはラブコメへの意欲はいかがでしょうか?
生田:呼ばれればぜひ、馳せ参じます!
■生田斗真
1984年10月7日生まれ。1996年にNHK Eテレ『天才てれびくん』に出演後、ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(07)や『魔王』(08)などで注目を集める。2011年、映画『人間失格』(10)、『ハナミズキ』(10)でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、ブルーリボン賞新人賞を受賞。そのほかの代表作に、映画『土竜の唄』シリーズ(14、16、21)、『予告犯』(15)、『グラスホッパー』(15)、『彼らが本気で編むときは』(17)、『友罪』(18)、『告白 コンフェッション』(24)、ドラマ『ウロボロス〜この愛こそ、正義。』(15)、『俺の話は長い』(19)、『書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活〜』(21)、『鎌倉殿の13人』(22)、『警部補ダイマジン』(23)、Netflixシリーズ『さよならのつづき』(24)などがある。今年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』にも出演中。
■田中征爾
1987年8月21日生まれ、福岡県出身。日本大学芸術学部を中退後、映画を学ぶために渡米。帰国後は舞台の演出と脚本執筆をしながら映像作品を製作。2019年、監督・脚本を務めた初の長編映画『メランコリック』が、第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門監督賞ほか、世界各国で数々の賞を受賞する。今年2月21日に映画『死に損なった男』が公開。
ヘア&メイク/豊福浩一(Good) スタイリスト/前田勇弥