二世俳優 評価される条件は「自らの立ち位置を確立する」

3月7日(水)7時0分 NEWSポストセブン

北村にいわゆる「二世俳優」のイメージはない

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 芸能界には多くの二世がいるが、「二世」という“肩書き”がなくても活躍している人たちもいる。映画やドラマで、キラリと光る演技力を発揮している「二世俳優」について、コラムニストのペリー荻野さんが解説する。


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 有名人の二世たちがバラエティーで両親の素顔を暴露トークするのは、恒例のようになっているが、それとは別に映画、ドラマでいい味を出す二世たちが増えている。

 

 トップランナーともいえるのが、北村有起哉。名優北村和夫を父に持つ北村は、今シーズン、『アンナチュラル』でいかにも胡散臭いフリー記者宍戸を演じている。ヒロインのミコト(石原さとみ)を執拗に追いかけ、隠し撮りや脅しまがいのネタ収集も平然とする男。出でくるだけでドラマに暗い影を落とす。


 彼は大河ドラマ『西郷どん』では、主人公・西郷吉之助(鈴木亮平)の薩摩の盟友大山格之助役。熱血で明るく遊びも大好き。初めての江戸でドキドキする西郷を品川の色町に連れていき、大山はノリノリだ。この役ではドラマに明るさをもたらす。宍戸とは正反対のキャラである。私は北村の舞台作品も多く見てきたが、3年前、松尾スズキ主演の『ちかえもん』で見事な義太夫節を披露したのにはびっくりだった。生半可ではできない節回しを必死に稽古したという。カッコよくて面白い曲者。次は何をしてくれるのか。目が離せない。


 もうひとり注目している二世は、本田大輔。父は本田博太郎である。女性ファンの反響を受けて続編も決まった『アシガール』で、殺し屋のような動きを見せる如古坊を演じた本田。坊主姿の役作りのため、あっさりスキンヘッドにしてしまったという。思えば、父も必殺シリーズなどでは水に入り、泥にまみれ、体当たりの演技が評価されている。映画『北京原人Who are you?』では、誰も演じたことがない北京原人役をもこなしたことで知られる。そんな父にも負けない思い切りの良さと内に秘めたパワーがじわじわとドラマでも発揮されている。


 そして意外なところに「俳優」として出てきた二世が、紘毅であった。先日公開された映画『バケツと僕!』。児童養護施設に就職した気弱な神島(紘毅)が、母から虐待され捨てられた軽度の知的障害があるバケツ(徳永ゆうき)と繰り広げる人間ドラマである。ゴミだらけの部屋にいるバケツを一生懸命面倒みる神島だが、肝心のバケツは盗癖があり、好き勝手に動き回って神島を振り回す。興味深いのは、神島がバケツを支えるという単純な構造ではなく、どっちもダメでどっちもちょっと前向きで、関係性がフラットになっていること。


 その分、神島には繊細な演技が要求されるが、紘毅には父・前川清譲りのへなっとした笑顔という武器があった。うれしいときも情けないときも、この笑顔。体当たりとか強烈とかとは違う紘毅にしか出せないもの柔らかい空気を出すと、主役なのに脇役みたいになっちゃう。これもまた個性か。


 自分の立ち位置が確立した二世たちは強い。名優の二世と言われつつ、独自の境地にたどりついた田村正和も船越英一郎も歩んできたこの道。バラエティーで暴露トークしている二世のうち、何人が「本物」になっていくか。なんとなくわかりますけどね…。



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