来栖乃々ルートが本編に登場! 伏線回収が進む、『CHAOS;CHILD』第8話レビュー

3月8日(水)18時0分 おたぽる

アニメ『CHAOS;CHILD』公式サイトより。

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——『STEINS;GATE』などで知られる科学アドベンチャーシリーズ。その第1作『CHAOS;HEAD』(カオヘ)の続編、『CHAOS;CHILD』(カオチャ)のテレビアニメが放映開始となった。原作ゲームも評判が高い本作。本稿では、良作の期待が持てるアニメ版『CHAOS;CHILD』を、科学アドベンチャーシリーズのファンがレビューしていく!

 視聴者に強烈なトラウマを植え付けた前回。第8話「錯綜する光と影に惑う思いは」は、橘結衣の葬儀シーンから始まった。遺影を持つ山添うきと位牌を持つ橘結人のうつむく姿を見ると、本当に橘結衣は死んでしまったのだと、改めて実感させられてしまう。

 一方、意味深に「信じてくれる?」と宮代拓留に問う来栖乃々。ん? 何だこの展開!? と、「私は南沢泉里という人間が嫌いだった」と南沢泉里について語り始めた。

 南沢泉里は幼稚園の頃から、自分が傷つき悲しい目に遭わないようにと他者と関わることを避け、一人で過ごすことが多い子どもだったという。内向的な性格は小学校に上がって、ますますひどくなっていき、ある日、母親に友だちがたくさんできる性格になりたいと、打ち明けたそうだ。

 そして、母親が引っ込み思案な性格を直してくれると南沢泉里を連れて行ったのが、AH東京総合病院。そこで、南沢泉里は心理テストのようなものを受け始める。はじめこそ、医師たちも優しく、テストが終わればお菓子をもらえたので、次第にそこに通うのが楽しくなっていった南沢泉里だったが、無理矢理目を見開かされて映像を見せられたり、ノイズのような音を聞かされたりと、次第に実験が本格的になっていく。

 絶望の縁に立たされた南沢泉里。しかし、あるとき心配した来栖乃々が彼女に声をかける。それをきっかけに友達になった2人。が、2009年11月6日。渋谷地震が起こり、そこで来栖乃々は南沢泉里の前で亡くなってしまう。「乃々ちゃんみたいになりたかった。乃々ちゃんの代わりに私が死んでしまえばよかったんだ」と泣き叫ぶ南沢泉里。と、ディソードが現れ、気がつくと南沢泉里は来栖乃々になっていた。

 来栖乃々の告白を聞き、「まさか」と声を上げる宮代拓留。いや、「まさか」と言いたいのはこっちだ。まさか、ここで来栖乃々ルートのネタバレを挟んでくるとは!

 来栖乃々として生きていくことが心地よく、それに罪悪感すら感じられなくなり、宮代拓留たち家族に嘘をつき続けたことで、橘結衣を死なせてしまったと、悔しさと後悔の念を見せる来栖乃々。だが、強い決意で宮代拓留に訴える。真犯人を必ず見つけ出してほしいと、そのために何でもすると。「私はもう嘘はつけないから」とまっすぐ宮代拓留を見つめる南沢泉里。そんな彼女に、宮代拓留は「わかった。信じる、乃々」と答える。

 たしかに、この後の展開を考えると、来栖乃々のネタバレエピソードを挟める場所がなくなってくるので(筆者は、この後の来栖乃々と尾上世莉架の戦いの直前あたりに回想として入るのかと予想していたのだが……)、ここいらで入れ込むのがベターなのかもしれない。

 ただ、原作をプレイしている身だと、宮代拓留があっさりと来栖乃々の真実を受け入れてしまったことに、少し違和感を感じてならない。家族の間に隠し事をしないという青葉寮のルールに反して、嘘をつかれていたことに、原作では怒りをあらわにしていた宮代拓留。まぁ、ルートも違うし、尺がないから、そこを掘り下げても仕方ないというところか。

 今回、来栖乃々の真実を知るエピソードが来栖乃々本人から告白する形や、橘結衣の事件の直後で“嘘をついていたことの報いを受けたからこその告白”というシチュエーションに改変したことで、宮代拓留もすんなり受け入れられた……ということなのだろう。宮代拓留の来栖乃々に対する葛藤が描かれなかったのは残念だが。

 そして、もう1点。ある日、実験を誰かが見ている気がしたと話した場面では、“彼女”が写ってなかった方が良かったのではと思う。ゲームでは、“いなかったこと”が強調されていたので、来栖乃々視点の回想なら、いない方が“後で見返したときに納得”というパターンにできたのではという感じもするのだ。

 続くシーンは変わって、新聞部の部室へ。一連の事件の推理をする宮代拓留たち。「回転DEAD」の事件のあったラブホテルの中を、制服を着て歩いていたのに警官に補導されなかったのはなぜか。「ごっつぁんデス」で犠牲になった有名なネット記者の渡部友昭は、すればさらに炎上するはずの新聞部との対談をなぜ申し込んできたのか。彼らは思考誘導されていたのではないかと考える宮代拓留。すると、んんっ! 完全空気キャラだった香月華が動いた!

 宮代拓留に手渡されたレポートには、第1の事件、第3の事件、第4の事件の被害者の画像が。そこには、被害者の目にマーキングがしてある。思考誘導を受けた人間は、目から出血していたというのだ。

 予想外の香月華の活躍。しかも、思考誘導を受けた人間が血涙を流すって、アニメオリジナルの設定じゃないか。カフェLAXで宮代拓留が目から血を流すのはゲームでもあったシーンだっただけに(極度の緊張で、出血することがあるとかいう話だった)、完全にそれ以前のシーンは気づいていませんでした。やはり見返すと面白い作りになっているわ、このアニメ。でも、思考誘導されていると血の涙を流すという設定だと、この後のあのシーンって、「思考誘導しています」ってバレてしまわなくないか?

 香月華によって、被害者が思考誘導されて事件が引き起こされたことは分かったが、「私たちを操って、何を犯人は何がしたかったんです?」と有村雛絵。ゲームでは、ここでなぜ犯人は事件を起こしたのかを推理し、宮代拓留を追い詰めるために事件が起こされているようだ……ということが分かってくるのだが、尺の問題ですべてカットされてしまったようだ。

 カオチャはじわじわと推理をしていき、事件の真相を明らかにしていくのが、またミステリー感あって面白いのだが、アニメでは犯人がズバッと言ってしまって終わりなんだろうな(それにしても、TRUEルートで印象深い、来栖乃々と尾上世莉架のツーショット写真がちらっと映っていて、相変わらずマニア心をくすぐる演出が細かい)。

 アニメではというと、伊藤真二が真犯人のヒントを宮代拓留に伝える場面もそうだ。原作では、意識の回復した伊藤真二が伝えたいことがあると、本来接触が禁止されているところを神成岳志刑事の計らいで、電話越しから命と引き換えレベルで必死に伝えてきたのが、印象的だった。それではアニメだと絵映えがしないということなのだろう。病院に普通に行けるんかい! というツッコミと、声だけに比べると伊藤真二の必死さが少々半減された感じだった。しかも、宮代拓留が大事にしていた青葉寮の家族写真も、スマホを落としていないから、犯人持っていましたっけ? と思うところだったし。

 さて、ラストでは、ついに犯人に辿り着く。来栖乃々が「こっちみんな」の動画を検証し、あることに気づいて、急いでどこかへ行ったという。側にいた山添うきの証言と、動画を再生していたパソコンの状態から、音声にヒントに宮代拓留は来栖乃々が気づいたことを突き止めるが……。そこに紛れていた音は、聞き慣れたゲロカエルんのストラップから鳴るプシュプシュという音だった! 今回も、いいところで終わっている。まったく、作りがうまい。物語もいよいよ大詰めだ。
(文/桜井飛鳥)

おたぽる

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