日本の食品ロス 1世帯年間6万円、全体では11兆円

3月8日(水)11時0分 NEWSポストセブン

世界中で問題となっているフードロス(写真/アフロ)

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 世界では毎年、生産量のおよそ3分の1に当たる13億トンもの食品が捨てられている。中でも日本は、世界の食糧援助量320万トンの倍相当の632万トンの食品を廃棄処分している。


 その日本の食品ロス、632万トンのうち、飲食店やスーパーからの廃棄は330万トン。約半数の302万トンは、家庭から出る食材だ。『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書)の著者で、食品ロス問題に詳しい井出留美さんが言う。


「家庭からの廃棄の要因としては、買い込みすぎ、調理しすぎ、といったことはもちろん、野菜などの皮を厚くむき過ぎたり、食べられる部分まで捨ててしまう“過剰除去”や、賞味期限が迫ってきたために捨ててしまう“直接廃棄”などが考えられます。京都市が試算したところ、1世帯4人として、食品廃棄額は年間6万円分。処理費用5000円を加えて、6万5000円。この数字を全国換算すると、日本は年間総額11.1兆円を食品ロスで失っていることになるのです」


 6万5000円が現金だとしたら、ポイと捨ててしまう人は世の中にいまい。なのに、それが食品で、食べ残しだとか、傷みかけているとなると抵抗感が薄らぎ、廃棄してしまう──。


 飽食に慣れてしまった気持ちを悔い改め、必要以上に食を摂ることを恥じ、むしろ、空腹であることに美学をみるくらいの心を持つことが、今後の私たちには求められるのかもしれない。


 そのためには、食品に対する正確な知識を持つことが肝要だ。賞味期限と消費期限の違いも理解しておきたい。


「消費期限はその日までに消費したほうがよいもので、日持ちが5日以内のもの。対して賞味期限は、おいしさの目安。品質が落ちる日付ではありません。しかも、その日付は実際の日持ちよりも2割近く短くなっている場合が多い」(井出さん)


 全国さまざまな気温や湿度の中、商品は買われていく。メーカーとしては“最大公約数の条件”を想定して賞味期限を設定する。


「賞味期限は、短めに設定された“おいしさの目安”程度に考えるのがいいでしょう」


 そう語る井出さんが提唱する、“家庭でできること”“食品をムダにしないために知っておきたいこと”を下に4つ挙げた(「」内はすべて井出さん)。私たちが少しずつでも意識を変え、行動を起こすことで、状況はやがて確実に変わっていくことだろう。



◆冬場の卵は57日間、生で食べられる


「日本の鶏卵の賞味期限は“夏場に生で食べる”ことを前提に算出され、パック後14日間と設定されています。しかし気温の低い冬であれば、産卵から57日間、2か月弱も生で食べられるのです。生が前提なので、加熱調理をすれば賞味期限を過ぎていても充分食べられます。ですから、冷蔵庫に保存してある卵の賞味期限が少し過ぎていても、捨てずにゆでたり焼いて、早めに食べきるようにしたいものです」


◆空腹で買い物すると、支払い額が64%上がる


 お腹が空いている時に買い物をすると、余計なものをつい買ってしまう。


「アメリカのミネソタ大学で379人を対象に実験したところ、空腹の人はそうではない人に比べて、多く買い物をする傾向が見られたそうで、最高で64%も支払い金額がアップした人がいたそうです」


 当たり前のようだが、歴然とした結果を見る限り、空腹で買い物をしないことは重要だ。


◆賞味期限切れがおいしい食品も


「ある発酵食品メーカーのかたから、“実は賞味期限の切れた辺りが、その食品が熟成していちばんおいしくなる”という話を聞きました。“初物”などの新しいものをありがたがる風潮が日本にはありますが、そればかりを信奉する必要はないと思います。納豆などの発酵食品は前述の通りですし、煮物やカレーも時間をおくと味が染みてきます。食品は新しいほどおいしいわけではない、と心にとめておきましょう」


◆「自分さえよければ」はNG


 安売りをいいことに食べきれないほど買い占める、賞味期限の新しい商品を棚の奥から取り出す。そういった行為は食品ロスにつながるが、心がけひとつでやめられる。


「スーパーやコンビニでは“ここは共同の冷蔵庫”と考えるだけで自然と行動が変わると思います。家の冷蔵庫に牛乳が2本あったら、古い方から飲みますよね。それと同じです」


※女性セブン2017年3月16日号

NEWSポストセブン

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