『べらぼう』「夢から覚めるつもりは毛筋ほどもねえ」瀬川最後の花魁道中でのまさかの<タイトル回収>に視聴者興奮「無音のシーンの粋」「夢を見続けている限り二人の関係も続く」「ドラマはここから…」
2025年3月10日(月)14時37分 婦人公論.jp
「べらぼう」公式インスタグラム(@berabou_nhk)より
大河ドラマ『べらぼう』
横浜流星さん主演の大河ドラマ『べらぼう』(NHK総合/毎週日曜夜8時ほか)。第10回「『青楼美人』の見る夢は」が3月9日に放送され、話題になっています。
*以下「『青楼美人』の見る夢は」の放送内容のネタバレを含みます。
●「『青楼美人』の見る夢は」あらすじ
瀬川(小芝風花さん)の身請けが決まり、落ち込む蔦重(横浜流星さん)は、女郎屋の親父たちから瀬川最後の花魁道中に合わせて出す、錦絵の制作を依頼される。
しかし調査に出た先で、作った本が市中の本屋から取り扱い禁止になり、捨てられているという事実を知ることに…。
さらに江戸城では、田沼意次(渡辺謙さん)が徳川家治(眞島秀和さん)から、種姫(小田愛結さん)を自分の娘にして、将来は家基(奥智哉さん)と夫婦にする計画を告げられる。発言の裏には家基のある考えが…。
瀬川が心から喜ぶことをしたいと考えた蔦重
盲目の大富豪・鳥山検校への身請けが決まった瀬川。
同時に最後の花魁道中が年の暮れに行われることが決まり、<市中の本屋をぶっ潰したい>と考える吉原の親父たちは、併せて花魁たちの錦絵本を作るように蔦重へ命じます。
しかし吉原側が瀬川を利用して儲けるだけでなく、瀬川が心から喜ぶことをしたい、と考えた蔦重。思いついたのは、女郎たちの普段の姿を描いた錦絵本でした。
しかもその本には、田沼意次を通じて将軍へ献上することで箔をつけつつ、花魁道中に合わせて大々的に売り出す…という施策まで盛り込むことに。
吉原を楽しいことばかりの場所にしようと
かくして完成した錦絵『青楼美人合姿鏡』。
直接蔦重から手渡された瀬川は、花魁たちの絵の中に、本を読んで過ごす普段の自分の姿を見つけて喜んだ様子を見せます。
まじまじと絵を見つめる瀬川。口を開くと「わっちの絵はこの世でこれきり。嬉しいもんだね。フフフ」と微笑みながら、「ずるいよ。こんなふうに描かれると楽しかったことばかり思い出しちまうよ」と大粒の涙をこぼします。
すると障子を開き、吉原の大通りを眺めた蔦重。
「俺は吉原を楽しいことばかりの場所にしようと思ってんだよ」「(女郎が)吉原来りゃ人生ひらけるなんて言われて…そのうちわざわざ吉原来て、うめえことやろうって考えるやろうも出てきてよお」
と、心の内に秘めた夢を語ります。
この夢から覚めるつもりは毛筋ほどもねえよ
蔦重に向けて「馬鹿らしゅうありんす」と笑顔を見せた瀬川。
しかし「馬鹿みてえな昼寝の夢みてえな話だ」と話すと、蔦重は瀬川のほうに顔を向け「けど、お前も同じだったんじゃねえの? こりゃ、2人で見てた夢じゃねえの?」と伝えます。
すると場面は瀬川最後の花魁道中へ。
詰めかけた大群衆の中、白無垢の花嫁衣装をまとい、花魁道中を行う瀬川。その先にはどっしりと構えた蔦重の姿が。
二人が視線を重ねると、先ほどのやりとりへ場面が戻ります。
まっすぐに瀬川を見据えると「だから俺はこの夢から覚めるつもりは毛筋ほどもねえよ。お前と俺をつなぐもんはこれしかねえからよ。俺はその夢をずーっと…見続けるよ」とあらためて伝えた蔦重。
対して、目を見開いて蔦重の話を聞き終えた瀬川。「そりゃまあ、べらぼうだねエ」と蔦重へ笑顔で伝えて涙を流したところで、場面は再び花魁道中へ。
無音の中で歩を進めていく瀬川。
今度はまったく目を合わせることなく蔦重の横を過ぎると、そのまま吉原の大門を出ていくのでした。
視聴者の声
ついにドラマは瀬川最後の花魁道中へ。作中、蔦重をずっと支え、お互いに好き合いながらも結ばれない運命にあった瀬川との別れ。加えて二人を演じる横浜さん・小芝さんの圧巻の演技に涙した視聴者は多かったようです。
たとえば「何も語らずとも目と目で分かり合える瀬川と蔦重。二人に託した無音のシーンにとことん<粋>を感じてしまう」「蔦重により流通しまくった本を瀬川がたまたま手に取って奥付けを見て微笑む光景まで一気に浮かびますね!!」「『青楼美人合姿鏡』に本を読んだ瀬川がいることから本好きの設定にし、本屋の蔦重と両想いの設定にし、鳥山検校の身請けの話と絡めて『青楼美人合姿鏡』の誕生秘話を描いた…脚本家ってすごい」「二人を繋ぐのは<本>だけだから蔦重は作り続けるし、蔦重が夢を見続ける限り、二人の関係は終わらない」「蔦重栄華乃夢噺というタイトルが回収されたこのドラマは、きっとここからまた始まる」といった声が、SNSやコメントなどを通じて見受けられました。
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大河ドラマ第64作となる『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』は、“江戸のメディア王”として時代の寵児になった、”蔦重”こと蔦屋重三郎が主人公。
蔦重を演じるのは、NHKドラマ初出演となる横浜流星さん。脚本は、連続テレビ小説『ごちそうさん』大河ドラマ『おんな城主 直虎』などを手掛けた森下佳子さん。
さらに語りは、蔦重らを見守る吉原の九郎助稲荷(くろすけいなり)として、綾瀬はるかさんが担当する。
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