これぞ王者の後手番戦術 藤井王将が意表の初手から永瀬九段圧倒で4連覇 ALSOK杯第74期王将戦七番勝負第5局

2025年3月10日(月)11時30分 マイナビニュース


藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑戦するALSOK杯第74期王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は、第5局が3月8日(土)9日(日)に埼玉県深谷市の「旧渋沢邸 中の家(なかんち)」で行われました。対局の結果、後手番で雁木を採用した藤井王将が120手で勝利。堂々たる指し回しで王将4連覇を達成しました。
○意表の初手に一同歓声
カド番の永瀬九段が1勝を返して迎えた本局は埼玉県深谷市での開催。後手番で迎えた本局で藤井王将は2手目に角道を開ける一手を披露します。自身のキャリアで初となる選択に控室の面々も興奮を隠せません。藤井王将はそのまま雁木に組んで戦いの時を待ちました。
後手番における藤井王将の雁木は先日行われた増田康宏八段との棋王戦五番勝負でも2度用いられている作戦。これを見た永瀬九段は局後「本局では(2手目に角道を開ける作戦が)意識が抜け落ちてしまっていて、準備不足だった」と打ち明けます。それでも早繰り銀の速攻から駒組みを進めたのは現在主流の対応で、永瀬九段が先手番の利をどう生かすかに注目が集まりました。
○仕掛け与えず後手番快勝
藤井王将が持ち時間でリードする展開が続きます。封じ手の10手ほど前、藤井王将がじっと角を引いて歩を守ったのが玄人好みの均衡策で、先手は攻めを焦らされる形に。永瀬九段が金銀四枚の堅陣に組んだのは具体的な攻め筋がないのを認めた妥協策ですが、対する藤井王将の反撃策が見事でした。下段飛車を転回して飛車先逆襲を用意したのが平凡かつ厳しい構想です。
右辺での折衝が一段落した局面は「悪くはないと思った」(藤井)、「もうすこしバランスを取りたかった」(永瀬)と両者の評価が一致した場面のひとつ。ここからは藤井王将の力強い寄せを見るばかりとなりました。終局時刻は18時55分、最後は自玉の寄りを認めた永瀬九段が投了。先手の攻めを封じ込めた藤井王将の巧みな序盤術が光る一局となりました。
藤井王将は本局の結果シリーズ4勝1敗で防衛に成功、王将4連覇としてタイトル通算28期に到達。「谷川浩司十七世名人の記録(27期)を超えることができたことは光栄なこと」と喜びを語りました。
水留啓(将棋情報局)

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