「何?この時計!!」は誉め言葉。映画やドラマで引っ張りだこの「くるき亭」腕時計ができるまで

3月10日(土)15時0分 おたくま経済新聞


 スマホを持っているだけで、今日の天気も、ニュースも、「時間」も、これ一つですぐに確認できてしまう便利な世の中。近年では「腕時計は持っているけれど身につけない」という人も多いと聞きます。

 このように時計業界にも時代という荒波が押し寄せる中、個性的なデザインがスタイリストの目にとまり、映画やドラマで使用され、さらにネットでも評判を集める腕時計があります。

 作っているのは、オリジナルデザインの時計・腕時計・アクセサリーを製作・販売しているくるき亭さん。Twitterで偶然回ってきて初めて知り、筆者も思わず一目惚れしてしまった一人です。そこで、多彩にあるデザインの中から特にコンセプトに惹かれた「Flower Hair Girlシリーズ」の「若葉の腕時計(税込24819円)」を中心に、くるき亭にある“モノづくりマインド”を聞いてみました。

—FlowerHairGirlと名付けた由来を教えてください。

 はい、くるき亭の場合、時計のデザインを行う前に、テーマや物語を作ることが多いのですが、この時計はその逆で、最初に物語があって生まれた時計でした。デザイナーの一人が、もう20年以上も前に、「髪の毛が花になってしまった女の子」というキャラクターを生み出していて、くるき亭を始めてからも、Tシャツ等にしていました。



 もちろん、「この女の子がしている腕時計を作りたい」という想いはずっとあったのですが、当時は、技術的に追いつかず、ずっと作れずにいました。しかし、数年前に、やっと「作りたい時計ができそう」ということになり、それでもやり直しにやり直しを重ねた末、やっと、この時計が完成しました。そして、この時計をつけるキャラクターである女の子の名前をそのまま取って、「Flower Hair Girl」と名付けました。



—最初に腕時計を発売された時、どのような心境でしたか?

 FlowerHairGirlの発売時は、いつも時計を発売する時は一緒なのですが、「お客さんは驚いてくれるかな……?」と思っています。ご質問を頂いて、改めて考えてみると、「驚いてくれるかな?」というのが一番強いです。「おおー」とか「なにこれ!」なんて言って頂けると嬉しいですね。



 くるき亭が最初の時計を販売した時は、元々、個人で活動していた人などが集まって始めたお店でもあったので、自分たちで考えたモノを販売したりということが始めてでは無かったのですが、やはり、始めてお買い上げ頂いた方のことは今でも覚えていますし、また、その光景も目に焼き付いています。

 ちょっと変わったデザインで、全く知らないお店の時計に興味を持って見て頂き、しかも買って頂けたということは本当に勇気のいることだと思いますし、非常にありがたくて、あまり顔を上げられなかったのも覚えています。今でも、何かあった時には、その時のこと、その方のことを思い描いていることが多く、今も続けていられるのも、その方のおかげだと思っています。



—女性向けは可愛く、男性向けはすごくカッコイイ。どちらも人気がありそうな腕時計ばかりですが、どのような方が、デザインを考えられ製作しているのか教えてください。

 みんなで考える場合、一人で考える場合、ケースによって、様々なのですが、どちらでも企画決定後は、担当を決めて、一人でデザイン(設計)をします。どちらの場合も、まずはテーマや物語を考え、その後、それらに沿った時計を考えていきます。「時計のデザイン」ということでデザインを考えてしまうと、「パーツをちょっと変えた」「一部を少し変更した」というようなデザインばかりになってしまうかなと思うためです。テーマが決まり、大体のデザインが決まったら、担当のデザイナーが細部のデザインを詰め、○ミリとかの寸法をつめて、プロトタイプやパーツの制作をしていきます。

 オーダーを受けてからの実際の組み立てや制作は、女性が行っています。決まっている訳ではなくて、いつの間にか、女性だけになっていました。ちなみに、FlowerHairGirlは、かわいいものが好きな女性がすべてデザインしました。

—こちらの腕時計で一番こだわっているところはどの部分でしょうか?

 はい、色々と作り手としてはあるのですが、やはり、そもそも始めた動機が「時計は安い時計も高い時計もあまり見た目は変わらないかも……」というところでしたので、基本的には「デザイン」かなと思います。今の時計は強度も品質も良くて、色々と機能もつけいていたりするので、すごく良くて、非の打ち所がないと思うのですが、その中で、くるき亭は、「品質はもうある程度でもいいから、何か変わった時計はないの?」と思われている方にお役に立てればいいなと思っています。

—お客様の声を聞き製作に役立てるとのことですが、どのような要望が今までで一番多かったですか?

 はい、どちらかと言うと「お客さんの声を聞いて」というより、「お客さんから学ばされる」という方が多いかもしれません。例えば、私たちが組み合わせないような組み合わせの色をお選びになって、「この時計でこの革の色を合わせるんだ。確かに素敵だな」とか「ゴツいバングルタイプの時計だけど、普通の時にはつけられるかな?」と思って制作してみると、つけているお客さんを見て、「なるほど、こういった服装に合わせるんだ」とか「意外とゴツくなく、自然だな」というように、お客様に教えられることも多く、それらを参考にして制作も行っています。



 話を伺ったところ、通常「企画→デザイン→販売」までは、ほとんど年単位で時間がかかるとか。FlowerHairGirlシリーズの場合、構想段階を省いてデザインの段階から発売まで2年くらい時間がかかっているそうです。

 とはいえ、「お客様のオーダーから制作まで」の場合は、オーダーを受けてから、革を切り、色をつけ、ベルトを制作し、部品を用意し、時計を組み立て、テスト等を行い10日ほど。色々、納期短縮へ向け努力を続けているそうですよ。

 ちなみにくるき亭の特徴的なドーム型のパーツは、当初は業者さんに頼む予定だったそうですが、試作を業者さんに見てもらったところ良く作られていると高評価だったため、結局「じゃあ、今後も自分たちで作ろう」ということになったとか。万が一、不具合が生じた場合は、アフターサービスも完備しており、インターネットでお手続きも可能とのことでした。

 最後にお客様からの反応で嬉しかったことは? と伺ったところ、腕時計をずっとつけていなかった方が「この時計を見て、これならつけてもいいなと思って」と言われた時は本当に嬉しかったと、その時の感動が筆者にも伝わってくるほど熱く語ってくださいました。純粋に「何?この時計!!」と言われるとやっぱり嬉しいとくるき亭さん。遊び心のある視点から生まれる腕時計、ご興味のある方は足を運んでみては?

<取材協力・画像提供>

くるき亭

(黒田芽以)

おたくま経済新聞

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