若者の海外旅行離れ&少年犯罪の増加データは本当か

3月10日(土)7時0分 NEWSポストセブン

海外旅行離れも? 次々生まれる「若者の○○離れ」の真実とは(時事通信フォト)

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〈世の中には3種類の嘘がある。『普通の嘘』、『大嘘』、そして『統計』だ〉──19世紀イギリスで首相を務めたベンジャミン・ディズレーリの言葉だ。根拠に乏しい理論ほど、統計が頻繁に用いられることを見抜いた至言であるが、この国にも“統計の皮を被った嘘”はあちこちにある。


 例えば、法務省の出入国管理統計では、2016年の20代の海外渡航者は282万人で、ピーク時(1996年)の463万人から4割減っている。それをもって観光庁は、「若者の海外旅行離れを食い止める」と有識者検討会を設置している。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が指摘する。


「少子化の影響を無視して人数だけで比較するという間違いをおかしている。割合で比較すればほとんど変わっていません」


 厚労省の人口動態調査では、1996年の20代人口は1953万人で、2016年は1238万人。この数字で“20代海外旅行率”を出すと、1996年は23.7%で、2016年は22.8%となり、実はほとんど変化がない。


 この観光庁のプロジェクトは、2019年度に予算を要求する見通し。役人が“食い扶持”を得るための方便と見られても仕方ない。


 また近年、〈少年事件「増えた」78%〉(朝日新聞2015年9月20日付)、〈少年非行「増えた」78%、内閣府調査、スマホの影響懸念〉(日経新聞2015年9月20日付)など、「少年犯罪の増加」を実感させる報道が多いが、それも怪しい。


 記事になった内閣府の「少年非行に関する世論調査」は統計というより感想を集めたものだ。「少年による重大な事件が増えているという印象を持つ人」が78.6%いるというだけで、実際の犯罪増加を示しているわけではない。


 警察庁統計によれば、刑法犯として検挙された少年(14〜19歳)の数は、1980年代前半をピークに減少傾向で、最新の2016年統計では戦後最少を記録している。


 もちろんここにも少子化の影響が現われているわけだが、少年1000人当たりの検挙者数で見ても、2016年は4.5人。戦後最多だった1982年、1983年の18.8人の4分の1以下になっている。


※週刊ポスト2018年3月16日号

NEWSポストセブン

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