祖父がシベリア抑留帰りの内野聖陽が50代を目前に描く夢

3月11日(日)7時0分 NEWSポストセブン

俳優生活は25年目に突入

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 180センチ近い長身に、落ち着いた色気と渋さを纏う内野聖陽(49)が現われると、その存在感に圧倒される。


 早稲田大学在学中の1992年、留年した内野は先輩から文学座の受験を勧められ、見事合格した。研究生になった翌年には、土曜ドラマ『街角』(NHK)で俳優デビュー。以来、舞台や映画と着実に活躍の幅を広げてきた。


 ここ数年は、大河ドラマ『真田丸』(NHK・2016年)の徳川家康役に体重を16キロも増やして挑んだかと思えば、昨年末の『ヘヤチョウ』(テレビ朝日系)では、悩みや葛藤を抱えつつも事件解決に奔走する刑事を好演している。


「『真田丸』の時はたまたま舞台を終えた直後で痩せすぎていたので、家康のイメージに合わせて体重を増やしただけ。役として求められると、自分を追い込んで必死になれるんです。僕が思うのは、役者っていただいた役がご縁で続いていくものだってこと。だから目の前にある役を全うすることに精一杯。舞台を中心にやりたいとか、映画がいいといった希望はないんです」


 役者人生は25年目に入った。ストイックに役と向き合い続けてきた内野だが、最近プライベートで凝っているのは「アクアリウム」だという。


「去年の夏に地方ロケに行ったとき、サービスエリアで鑑賞用のタナゴが売られていて。昔からタナゴが好きだったから『かわいい!』と思って、悩んだけど勢いで買っちゃった(笑い)。水槽やポンプも一式揃えました。水槽に生えるコケをエビが食べてくれると聞いて、ヤマトヌマエビとミナミヌマエビも飼い始めた。今はメダカもいるから、もうね、水族館でしょ(笑い)」


 屈託ない笑顔で「魚に餌をあげていると癒されるんですよ」と話す。


「いわば、小さな盆栽。ここ最近は一番お金をかけていますね。好きな魚を泳がせたり水草を増やしたり、自分がデザインした水槽で魚たちが優雅に泳いでいるのを楽しむの。ただね、最近メダカが増えちゃって困ってる。誰かいりませんか?(笑い)」


 茶目っ気たっぷりに場を和ませる内野だが、3月下旬には渾身の力で主役を演じたドラマ『どこにもない国』(NHK)の放送が控えている。


 内野が演じる丸山邦雄は、旧満州に取り残された日本人を故郷に返すため、命をかけて立ち上がる。


 ドラマの原案となるのは、丸山邦雄氏の三男が記した『満州 奇跡の脱出』。終戦後の旧満州に150万人以上の日本人が残されていた事実は、あまり知られていない。


「実は、僕の祖父はシベリアに抑留されていたので、シベリア抑留の話は聞いたことがあったんです。でも旧満州の話はほとんど知らなかった。出演が決まってすぐに、長野にある満蒙開拓平和記念館に行って、満州から引き揚げてきた『語り部』の方からお話をうかがいました。図書館で本や資料も借りて、イチから勉強しました」


 脚本を手掛けたのは、内野が主演した大河ドラマ『風林火山』(2007年)や、『精霊の守り人』(2016〜2018年)で知られる大森寿美男氏だ。


「目を覆いたくなるような戦後の混乱と悲惨な状況の中、希望を持って未来を切り開いていった方たちがいる。大森さんの台本を読んだ時、そうした時代を生き抜いた“負けない魂”に感動しました。僕を含めて多くの人が戦争を知らない世代になったけれど、歴史は繰り返さないでほしい。改めて、当時のことは知っておくべきだと実感しています」


 ひとつひとつの言葉を丁寧に選びながら力強く語る内野からは、役柄を超えて、内に秘めたる熱い思いが伝わってくる。だからこそ、その演技は見るものを引き付けて離さないのだろう。50代を目前に、今後はどんな夢を描くのか。


「強くて男らしい役のオファーをいただくことが多いですが、『えっ、この人がこの役やるの?』と思われるような“逆振り”をしたい。強そうに見えるけれど繊細で壊れやすい男だとか、表向きは優しそうだけれど裏ではすごく凶悪な詐欺師だとか、意外性があって引き込まれていくような……。自分の表現力をもっと試していきたいです」


●うちの・せいよう/1968年、神奈川県生まれ。1993年、土曜ドラマ『街角』(NHK)でドラマデビュー。連続テレビ小説『ふたりっ子』(1996年)で人気を博す。大河ドラマ『風林火山』(2007年・NHK)で主演を務めたほか、『臨場』(テレビ朝日系)、『JIN−仁−』(TBS系)など出演作は多数。4月スタートの日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)に出演予定


◆取材・文/戸田梨恵、撮影/太田真三


※週刊ポスト2018年3月16日号

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