藤井王将 激闘ネギらわれ、ゆるキャラ「ふっかちゃん」に 名人戦では4年間封印の初手解禁か
2025年3月11日(火)5時0分 スポーツニッポン
◇王将戦恒例「勝者の記念撮影」
将棋の藤井聡太王将(22)=7冠=が埼玉県深谷市の旧渋沢邸「中の家(なかんち)」で永瀬拓矢九段(32)を4勝1敗で退けたALSOK杯第74期王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)第5局から一夜明けた10日、本紙恒例の「勝者の記念撮影」に臨んだ。深谷市のゆるキャラ「ふっかちゃん」のイメージで、特産のネギ畑で撮影。同じく永瀬と対戦する4月開幕の名人戦へ向け、ここ4年封印する初手▲7六歩の採用をにおわせた。
舞台設定を「ネギ畑とかでしょうか?」と言い当てた。田園風景を走り「勝者の記念撮影」へ向かう車中でのこと。大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、谷川浩司十七世名人、羽生善治九段に続く4連覇を達成した王将、恐るべしだ。
今回は名産「深谷ネギ」が生い茂ったネギ畑をバックに「ふっかちゃん」のいでたちで撮影した。ネギは藤井自身好物で「甘みと辛みのバランス、食感も好きです」。確かに棋聖戦対局が行われる兵庫県の淡路島でも「(名産の)タマネギが好物」と前夜祭のあいさつなどで語ってきた。
「中村修王将(現九段)の雪かきから始まった撮影と聞きます。スポニチさんの工夫があればこそ、私自身の予想を超える企画もあって楽しませてもらいました」
7番勝負の王将4連覇、つまり16回目となった撮影。たらいでうごめくウナギを前に「つかむんですか?」と硬直したのは、2年前の佐賀県上峰町対局。それでも、全てを乗り越えてきた。藤井の前の王将、通算5期の渡辺明九段(40)を念頭に「インパクトのある写真が多かった。前例に従いました」と読者サービスに努めてきた。
栄光の棋士人生に価値ある1勝を刻んだ前夜。後手番258局目で初の2手目△3四歩を指し、雁木(がんぎ)から長い中盤戦を経て終局まで主導権を手放さずに快勝した。対局予定がなければ練習将棋を指す間柄の永瀬。研究パートナーとの初の2日制対局を「開幕前から楽しみだった。長い持ち時間の中で5局指してどの将棋も難しく、充実感があった。勉強になったシリーズだった」と総括した。
未放映のNHK杯決勝を残して今年度の全対局を終えた。そして4月からの来年度、9日開幕の名人戦でも永瀬を迎え撃つ。
2手目△3四歩を解禁した今、角の活用という同じ狙いでここ4年封印する先手番での初手▲7六歩もあり得る。「最近はずっと▲2六歩ですが、一定数はありました」。数えるとその21年4月以前に計37局あった。
採用する戦型が多ければ、いや多いと意識させるだけでも、対戦相手はそれへの備えを整える必要がある。名人戦3連覇への布石か?との問いには「準備はこれからです」と笑みを見せた。 (筒崎 嘉一)