春闘で相次ぐ大手の満額回答、経済専門家は「これから回答が出る中小企業は...格差は開いていく」
2025年3月13日(木)11時55分 スポーツニッポン
野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏が13日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜前8・00)で、2025年春闘の集中回答日となった12日に電機や重工、鉄鋼大手では労働組合の賃上げ要求に満額回答が相次ぎ、自動車も高水準だったことについてコメントした。
物価高や人材獲得競争に対応し、過去最高を更新した回答もあった。今後は中小企業の労使交渉が本格化する。1月の実質賃金がマイナスに沈み、トランプ米政権の関税政策で世界経済の先行きを見通しにくい中、大手との賃金格差の是正が課題となる。
トヨタ自動車は過去最高水準だった前年と同水準、最高で月額2万4450円とする労組の要求に対し、総額として満額回答した。スズキは要求を上回る賃上げ総額平均2万1600円で応じた。一方、日産自動車は賃上げ額を1万6500円と回答し、労組が求めた1万8000円を下回った。ホンダも労組要求を下回る総額1万5000円。高水準の賃上げだったが、上げ幅でばらつきが目立った。
電機大手では日立製作所やNECが、基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当分で労組要求の1万7000円に満額回答した。三菱電機は1万5000円で、ベアの金額として過去最高だった。重工大手では三菱重工業や川崎重工業、IHIがベアに相当する賃金改善分として1万5000円の満額回答。三菱ケミカルは要求超えの平均約1万8000円のベアを決めた。
大手の相次ぐ満額回答について、番組では、木内氏の「おおむね想定通り。しかし、これから回答が出る中小企業は大企業より生産力が低いため大きく賃上げできない。大手企業との格差は開いていく」とのコメントを紹介した。