フードロス防止策 ドギーバッグと自己責任カード普及が重要

3月14日(水)16時0分 NEWSポストセブン

0~1フードロス削減に貢献、2~5及第点、6以上はフードロスの増加に加担(井出留美著『賞味期限のウソ』より引用し編集部改編)

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 食品関連事業者から出る年間のフードロス339万tのうち、レストランや居酒屋など外食産業から出るのはおよそ120万t。うち7割弱が注文した料理の『食べ残し』である。


「フードロスを防ぐには、この食べ残しをいかに減らすかがポイントです」


 そう語るのは、愛知工業大学経営学部教授で「ドギーバッグ普及委員会」の理事長を務める小林富雄氏。


 ドギーバッグとは、レストランなどで残した食べ物を持ち帰るための容器や袋のこと。アメリカ発祥で、食後に「残りは持ち帰ってペットの犬に食べさせます」と店員に告げたことから名づけられた。


「日本は、欧米に比べて持ち帰り文化が普及していない。理由は飲食店側の過度な衛生管理にあります。戦後の日本では、不衛生な食品の流通を防ぐため、保健所が飲食店を厳しく指導し、食品衛生法で食中毒を起こした飲食店の名前を公表することを定めました。このため、飲食店側は、客が持ち帰りを望んでも断る方向になったのです。持ち帰った先で食中毒でも起こされたら、お店は責任を取れませんからね。


 しかし、食品衛生法では、持ち帰りを禁止する決まりはありません。しっかり火を通したものであれば、よほどのことがない限り安全なのですが、今も戦後の名残を引きずっているわけです」(小林氏)


 時代を経て、客側に“持ち帰るのは恥ずかしい”との意識が芽生えたことも、フードロスを生む要因となった。


 ドギーバッグ普及委員会は、こうした「恥ずかしさ」を払拭するため、おしゃれで携帯しやすいプラスチック製のドギーバッグと、「自己責任カード」を会員に配布している。


「“お店には迷惑をかけません”と消費者が自らアピールすることで、残った食べ物をスムーズに持ち帰ることが狙いです。自己責任を浸透させ、持ち帰り文化が日本に定着すれば、手つかず状態だった『食べ残しによるフードロス』を減らせるはずです」(小林氏)


◆スーパーで棚の奥から取る習性も影響


 また、忘れてはならないのが、各家庭におけるフードロスの問題だ。家庭から出るフードロスは年間282万t。全体の45%を占めている。家庭でのフードロスについて、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書)の著者で、この問題に詳しい井出留美さんは「買い方」と「食べ方」が大きな要因だと指摘する。



「スーパーの安売り食品や『期間限定』『数量限定』の食品を買いだめし、結局は使いきれなくてゴミ箱行きとなる“直接廃棄”が原因の1つです。調理の際に、野菜や肉の食べられるところまで切り取る過剰除去も、フードロスを増やすことに繋がっています」


 食に対する私たちの姿勢が282万tもの食料廃棄を生んでいる。「フードロスを生む買い物チェックリスト」を掲載したので、ぜひチェックしてほしい。井出さんはさらに、厳しすぎる日本の賞味期限の問題にも踏み込む。


「日本では食品検査をしておいしく食べられる目安の期間を決めた後、その数字に安全係数をかけます(国の推奨は0.8以上)。検査で10か月はおいしく食べられると認定された場合、8か月が賞味期限になります。


 実際には0.8より小さな0.5や0.6をかけて賞味期限を短くする企業も多くある。“1つのリスクも許さない”という日本人の安全志向がフードロスを生み出しているといえます」


 スーパーで食品を買う時、棚の奥にある日付の新しいものを手に取る人間が多いのも、日本の鮮度信仰が生み出した光景である。


「売れ残った“手前の商品”は廃棄されることになります。賞味期限はあくまでおいしさの目安にすぎず、保存法を守れば多少の日にちが経っても食べられる。“棚の奥に伸ばす手”がフードロスを生み出すことに気づいてもらいたいです」(井出さん)


※女性セブン2018年3月22日号

NEWSポストセブン

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