ソニン『しくじり先生』のホラー映像が怖い…無茶苦茶すぎた『うたばん』内企画

3月15日(水)2時0分 messy

ソニンInstagramより

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 3月13日の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日)放送直後、SNSのホットワードに<ソニン><しくじり先生>のワードが並んだ。それを見て筆者は深く頷いた。「やはり、あのソニンの姿は多くの人々に感動と勇気を与えたのだな」と。かくいう筆者も放送を見てうっかり落涙してしまったひとりである。溢れる涙と鼻水と戦いながら、これ家でよかった、電車の中で見てなくってホントによかった……と思ってしまったほどだ。

 番組内でソニンは、自らを<指示待ち人間>と省み、それが人生で何度か訪れたしくじりの原因であったと分析していた。彼女が芸能界デビューしたきっかけは、かつて一世を風靡した人気オーディション番組『ASAYAN』(テレビ東京系)のモーニング娘。第2回追加メンバーオーディションを受けたことだが(優勝は後藤真希)、オーディションの直後から、コンプレックスのかたまりとなってしまったというソニン。書類審査に合格しスタジオでの二次審査に挑むも、周囲の女の子たちの<細さ>と<可愛さ>に圧倒され自分の容姿に自信をなくしてしまったことがその原因だったという。結果、オーディションには落選するものの、三人組ユニットとして歌手デビューの誘いを受けることになる。そうこれこそが、あらゆる意味で伝説となってしまったあの<EE JUNP>のスタートなのである(デビュー直前にひとりが脱退、デビュー時にはふたり組となった)。

 メンバーのユウキが、モー娘。加入後すぐに大ブレイクした後藤真希の実弟であるということから、デビュー直後から大きな注目を集めていたEE JUNP。当時まだ16歳だったソニンは、周囲の人間が自分ではなくユウキしか見ていないことに気づき、さらにコンプレックスを刺激されることになっていく。やがて自分はユウキの添え物なんだと思うように。自分を奮起させ、そして人に気に入られるためにも次第に周囲の大人たちに「なんでもやります」「なにをやればいいですか」と指示を仰ぐようになっていったという。

 ほどなくして事件が起きた。ユウキの失踪、さらにユウキが15歳にして歌舞伎町のキャバクラで飲酒・豪遊していた事実が発覚してしまい、ユニットは解散。ソニンは事務所から「これからどうしたい?」と聞かれるものの、指示をもらってから動くことに慣れきっていたために、自分がどうしたいのか、どうすべきなのかを言葉に出せなくなっていた。ソニンは言葉の代わりに、その場で大量の鼻血を出してしまったのだという。

 そこからは芸能界生き残りをかけて過酷な仕事が続くようになる。高知から韓国までのマラソン、ひとりで体育館に寝泊まりし6万個のドミノを並べる、土佐犬と闘う……徹底した指示待ち体質となっていたソニンは指示があればどんな仕事でも受け、結果あまりの過酷さにメンタルが崩壊し何度もパニックを起こすようになっていったそうだ。

 『しくじり先生』内では、当時のソニンがパニック状態に陥っている様子を記録した映像がほんの短いバージョンで流されていたのだが、いや〜どれもかなり恐ろしいものがあった。これらはおもに当時の人気番組であった『うたばん』(TBS系)内の企画だったわけだが、非常に過激な内容でいまなら瞬く間に問題視されるだろう。とくにドミノ企画でのソニンの壊れっぷりは見ているこちらにも恐怖が感染するほどだった。ほぼ完成状態のドミノを誤って倒してしまったソニンはうなだれ、やがて笑い出し、そして最後には体中が震え、歯の根が合わずにカタカタと鳴る……そんな様子が収録されているのである。もうその映像は拷問やホラーに近い。繰り返すようだが、現在ではとても放送どころか実施することも不可能な、危険な企画ばかりだった。人を追い込み、その精神が壊れるような瞬間をカメラに押さえて放送するのは音楽バラエティといえるのか、今さらながら疑問だ。



 ソロ歌手デビューをしたソニンは裸にエプロン姿のCDジャケットが印象的な『カレーライスの女』でスマッシュヒットを飛ばすものの、次第に鳴かず飛ばずに。そしてまたもや崖っぷち状態に陥った時、女優・大竹しのぶが出演する舞台を観劇し、その演技に強く感動する。その後、ソニンも初めてのミュージカル舞台に出演するためオーディションで役を勝ち取り、初舞台で憧れの大竹しのぶと共演することになったのだという。ここが彼女の大きな転機となったようだ。

 舞台女優こそが自分の求めていた場所だと気づいた彼女は、歌と演技と踊りを本格的に学ぶためにミュージカルの本場NYへの留学を決意する。当時、事務所は1年以上にも及ぶ留学を猛烈に反対したが、彼女はこのときはじめて事務所に「NO」を宣言し留学を決行した。自分の居場所に気づいたことで、指示待ち人間ではなくなったということだろう。そして指示待ち人間でなくなったことは、彼女自身のメンタルとそして人生までをも大きく変えることとなっていく。

 留学を経て帰国し、いまや舞台には欠かせない存在となったソニン。筆者も何度か舞台でその姿を拝見したことがある。童顔でキュートなルックス、よく通り聞きやすい声、ハリがあって力強い歌声などに加えて、舞台の上に立つ彼女には元アイドルならではの独特の華がある。演技も安定しており、好きな舞台女優さんのひとりだ。2016年には過去に錚々たる役者が受賞している菊田一夫演劇賞を受賞しており、今後の活躍も楽しみで仕方ない。

 『しくじり先生』の最後でソニンは涙ながらにこう言った「努力は必ず報われます」「きっと見ていてくれる人がいます」「人生に無駄はない」——。ふだんなら「そんな耳当たりのいい言葉を言われてもね」と斜に構えてしまうようなワードでもあるが、番組内のソニンの言葉はひどく心に沁みた。それまで起こったことは、すべてソニンのしくじりのせいだろうか? ユニット解散は不運が重なったせいだし、若かった彼女が周囲に巻き込まれて自我を見失ってしまったことを責めることは酷だろう。ただ、それらの苦難があってこそいまのソニンがあるのだと、彼女自身が過去を肯定できていることは確かのようだった。

(エリザベス松本)

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